11.ルシナの過去
「おはようございます! 今日もいい天気ですね! セリンさん!」
「う、うん……おはよう……」
ジミ村の宿場にて。
僕はルシナと一夜を共にしていた。
これは冗談ではなく本当の話だ。
昨晩、宿場の主に2つの部屋を用意してもらったが、ルシナが「夜にセリンさんを襲うハエたちがいるかもしれないので、一緒の部屋にしてください!」とお願いし、一緒の部屋で寝ることになったのだ。
もちろん、僕は恥ずかしいから抗議した。
だけど、「セリンさんは誰にも渡しませんから!」と、ルシナは僕の腕に腕を絡ませて無理やり部屋へと案内したんだ。
そして、今も僕の隣でルシナが横になっているのだが、もう可愛すぎる!
部屋着を着たルシナの胸からは、ぷるん、と大きな胸の谷間が見えていた。
すらっとした身体からは考えられないほど不釣り合いな大きい胸は、16歳の僕に刺激が強すぎる……。
うう……大きな胸が気になりすぎて、全然寝られなかったよ!
そういえば、気になることといえば、もう1つあった。
「ルシナ、ジミ村のクエストを受注する時、クエストボードの前で不穏な顔をしていたけど、なんかあったのか?」
「え……?」
「いや、話したくないならいいんだ。だけど、僕たちはパーティだからさ。大切なパートナーに悩み事があるなら、仲間として解決する手伝いをしたいんだ」
「セリンさんは優しいですね……」
ルシナは唇をきゅっと結ぶと、小さな肩を震わせた。
そして、僕の目を真っ直ぐ見て頷くと、話し始める。
「先日、私が住んでいたエルフの森は……魔王軍に攻められて全て燃やされました」
「え?」
「セリンさんは勇者パーティに所属して魔王領を攻略していましたから、知らなくて当然です。ですから、私はエルフの森とジミ村をどこかで重ねていたのかもしれません……。もう、魔王軍に殺される方たちを見るのは嫌なんです……!」
ルシナは目の端に涙を浮かべながら、そう言った。
そうか……。
ずっと不思議に思っていた。
なぜ、人より賢いエルフであるルシナが魔王領に1人でいたのか。
エルフの森から魔王軍に追われ、命からがらで逃げてきたと考えれば納得がいく。
「すみませんセリンさん……せっかくジミ村の皆さんを救えたのに暗い話をしてしまいましたね! こんな暗い話は忘れてください!」
「頑張ったねルシナ。もう大丈夫だ。これからは僕がルシナを守るよ」
無意識に僕はルシナの頭を撫でていた。
エルフの森を救えなかったのは、勇者パーティに所属していながら魔王軍の討伐に苦戦していた僕にも責任がある。
もう二度とこんな悔しい思いをして欲しくない。
僕が守ってあげないと!
「ありがとうございますセリンさん……大好きです!」
ルシナはにこっ、と微笑むと抱きついてきた。
うん?
今、ルシナが僕のことを大好きと言ったが気のせいだろう。
街を歩いていたら誰もが振り向くような美少女のルシナと、パーティを追放された哀れな新米冒険者の僕じゃ釣り合うはずがない。
とはいえ、ルシナに抱きつかれるのはいい気分になるな。
このままずっと抱き合っていたいなと考えていると……部屋のドアがノックされた。
「面白い!」
「続きが早く読みたい!」
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