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「ア」行の巻

本編の訳が難航しておりますので、以前チラリと予告いたしておりました人名録の一部を、暫定的なものではありますが、アプしておきたいと思います。シャリー殿の

気まぐれ備忘録的な性格が濃厚且つ大変いい加減な記述が目立つようですが、あくまでも中間報告的な暫時改訂版=同時進行版として適宜参照していただければ幸いです。

なお、本編に未登場のキャラが含まれており、ネタバレ的な先行記述に鼻白む向きもあろうかと存じますが、どうか御海容の程を宜しくお願い申し上げます。

シャリー殿による増補改訂があり次第即日アプの予定です、が、予定は未定、の格言通りのテイタラク・・・ となる可能性大、デアリマス・・・

ここより人名録が始まる。厳密には人名のみではない。重要な器物、異種生命体、なにより、あらゆる連関の焦点となる時空の結節点─屈折点、すべての次元間生命体が含まれる。与えられた名は決定的なものではない。異なる階層のテキストの侵入によって変動する可能性がある。故意に多重の名称を与えられている存在は、その扱いが少々やっかいであるが、任意の時点において注記されるはずであるので、多分、問題はない。


このページはこれで終わり、次のページより始まる。






☆仮─人名録



「ア」行の巻




アグライア;

フェズ家に飼われ、或はフェズ家を宰領している智慧ある猫。雌猫である。女気のない同家では唯一の女性。時に変化するので、その正体は甚だ掴み難い。但し、誰の目にも明らかに灰色の、尻尾の長い、美人猫である。

滅多に鳴かないが、その声にはある種、

神霊力がある。

トリクトゥア・ミュオウェル・ネフェルルスとして人の姿をとるが、


(最後の、ネフェルルス、に関しては、発音に自信がないしなによりも意味が不明である・・・)


変幻自在であり何とも把捉し難い・・・




アズレイン;

足萎え。生まれつき左足の長さが足りず、しかも神経接続にいささか異常があり非常に奇妙な歩き方になってしまう。但し、素晴らしい美声であり、特異な作詩能力をも持つ。

心霊言語の発見者、接続者、鍛錬者であり、その力の反作用として、否、むしろ、副作用として異常な共感能力を持つ。

長い黒髪、白皙の肌、長身だが、時に身体定位能力に欠け、痛ましい。

疑うことを知らず、何も恐れない。その共感能の射程は時に非生命体、無生物の境界にも及び、感情は常に、極度の振幅にさらされる。悲しみが、より強く、その心を彩る。不思議にも、完全な無防備状態にあるこの娘を、人は無条件に擁護し、慈しむ。

しかし、完全な愛に守られている訳ではない。

この状態はアヤウい。

バルダモ・ワルトランディスとラゼナ・グネトニアスの間に生まれた

事実上の第一王女。しかし、不具の為、王家の慣習法に従い、

〔秘密裏に〕誕生直後に遺棄される。

ほどなく旅芸人の一座ミルマーク・デイ・チリアンに拾われる。神秘的な歌姫として次第にその名は広まってゆく。

歌姫としての名・・・


アイリアーン・ソゥトゥス・ブレマンデル、 

チゲリソーマ・ロラン・ウォルヘイオン、 

ラーラン・ガイビケン、

・・・その他、もある。




アトゥーラ;

最凶、最悪、最低のヒロインとして、運命付けられた我が主人。

物語の主人公としてこれほど不適格な女?も珍しい。同時代のあらゆる階層の人々より忌避され、恐れられ、唾棄された。しかしそれも理由無き事ではない。まず、その出自が明らかではない。といって悪ければ、明瞭さを欠く。その血統は明瞭だが、しかし、ある微妙極まる局面において疑義がある。しかし、この主張は、ただ一人の、極めて特異な人間?によってのみ為され、その証明は、その男一人の全く特殊な能力によってのみ完成するのであってみれば、殆んど無意味であるといってもよいのである。但し、問題は、数学的?或いは遺伝学的?証明にかかっているわけではなく、全宮廷が、また大多数の民衆がそれを認めたという事実にある。

バルダモ・ワルトランディスとラゼナ・グネトニアスの間に生まれた、

事実上の第二王女。しかし、不具の為、王家の慣習法に従い、

〔秘密裏に〕誕生直後に遺棄される。

直接の理由は、生まれつき左眼が失明(消失)していたことによる。

しかし、ヨナルクは、これを、誕生直前、母親の胎内において、その左眼球が魔神に捧げられたものと認定した。その根拠は明らかではない。この娘には、後天的に第二の不具が発生している。

これにも、ヨナルクが、しかも、直接にかかわっているが、これについても、ヨナルク自身の弁明はない。その左手首の消失は、否、消失かどうかは明らかではないのだが、ドナドナによる銀?の義手の装着という事態を生んでいる。この義手の適合過程は想像を絶する苦痛を娘に齎したが、にもかかわらず、娘はこの銀手を愛した。

赤髪、緑の目。のち、ドラコドラコより新しい左眼(これは二つ目である、最初に嵌め込まれたのはドナドナに調製されたもの、が、これの運命は悲惨であった、ドルカニ公による陵辱・・・)を貰うが、これの色を表現することは難しい。

アクロバットダンサーとしてのアトゥーラ

剣舞者としてのアトゥーラ

侍女としてのアトゥーラ

これらの局面は重要である。


不死者としてのアトゥーラ

この局面は最重要である。出生以来娘は絶えざる虐待と迫害に痛めつけられ続けたが、奇妙にも身体的に重大な、永続的な障害を負ったことが無い。しかし、所謂、瀕死の状態に陥ったことは幾度となくあるわけであるが・・・。(精神的には又別問題である。)

これは基本的には次元間生命体へと移行した死後のイヨルカの守護によるものと思われる。

あらゆる超越的存在・・・霊的とはいうまい・・・邪悪なものをも含めて・・・は、

娘の肉体との接触を切望するがこれが成功した例は非常に少ない。

(例外的なケースとして、しかも最も大規模な接触例として、今のところ、唯一挙げうるのは、即ち、ヨナルクによる左手首の切断時流れ出た血液がこの第三現象界と接触を果たし、十三の悪夢的生命体が生まれた事実がある。― 即ち、この時点ではイヨルカはまだ生存しており、次の存在次元へと移行してはいなかったからである ― この十三体は後にアトゥーラに仕え、或いは敵対し、或いは・・・、奇妙な役割を果たすことになる。)

何故ならば、イヨルカの形成した霊的物質的複合障壁は多重的多元的であり非常に強力であって凡そ想定しうる如何なる突破力浸透力にもほとんど無限の対抗性を示しているからである。にもかかわらず、娘の肉体には考えうるあらゆる傷害が加えられその痛ましい傷跡は到る所に残っている。だが、致命傷ともなるべき打撃とその結果は巧妙に回避され或いは阻止されている、ように見える・・・

ここにはほとんど神慮とでもいうべきものが働いているようにも思われる。但し、イヨルカがその全能力を発揮し始めるのはアトゥーラの第一回投身自殺未遂以後のことである。

とにもかくにも、極めて邪悪


邪悪・・・度々出てくるこの言葉について

明確な定義が必要と思われるが、ここでは、まだ困難である、


なぜならば、善と悪の両義性、相互補完性、その他解明すべき問題は山ほどあるにもかかわらず、私にはあまり時間が残されていないからである


と思われる霊的存在者ほど、娘との直接的接触を熱望するのであるがその理由はまだほとんど解明されていない。彼等は灯火に飛来する蛾のように、或いはセレン虫のように、我知らず、本能的にそうせざるを得ないようであって、意識的な目的があるようにも思えない。けれども彼等がアトゥーラの肉体に触れ、或いはその極一部分でさえをも取り込むことによってある劇的な変化を、しかも極めて本質的で特異な変化を想定し、望んでいることは確かなように思われる。

アトゥーラを訪れる「邪悪なものたち」・・・ これの接触頻度の統計を取ることは難しいが、かなり奇妙な傾向があることは確かである。



剣を見る者としてのアトゥーラ(神速、或は無限の剣技をも見切るものとして、という意味だろうか)

その目の前ではあらゆる速度が、無意味となるということ

これは、時間と空間の根本的な関係に関係するある特殊な能力であろうか、フーム?


この存在が物理的に奇妙なものであることは明白であるが、今はまだその本質を確定できる段階ではない、などという無責任な放言もあることは・・・



一般的に醜悪と見なされる存在類への愛がある

例えば、悪夢のように美しいオオムカデ、オオゲジゲジ、オニオオヤスデ、オウオニゴカイ、などなど

アトゥーラがムカデ人間の王を(ほとんど、故意に)逃がしたのは何故か


片目の女としてのアトゥーラ

実際、その破壊された眼窩は醜く惨いものであって殆ど正視するに耐えない。しかしそれは一般的な文明社会でのお話。ヴェラン高原の一軒家の中では正常な感受性は育たない。

眼帯を嫌い、前髪を垂らして隠していたアトゥーラ・・・

ドナドナとの出会いの後、何か気持ちの悪い違和感を感じたウェスタがとっさにその前髪を撥ね退けると適合過程中の石の眼球が現れる。周辺組織との苛烈な反応過程。痛みの中和。

嘔吐するウェスタ。否、危うく嘔吐しかけるウェスタ。

ドナドナによるこの擬似眼球の調製と挿入の過程は描写すべきだろうか。本来なら何日もの周到な準備期間が必要な複雑極まる行程をあっさりとすっ飛ばし、殆ど強姦にも等しい荒技でやってのけたのである。まさしく神の人形師の面目躍如だが、あまりにも・・・


失われた、又は、奉献された、とも言う、真の片目の行方・・・

その存在次元の描写は可能だろうか?

ある特殊な次元の狭間で、ヨナルクは、この「目玉」と出会うことになるのか?

アトゥーラもまた、この恐ろしげな眼球と出会い、会話を交わすことになるのか?

偏次元横超接続・・・?







アドラム・ユギアム;

執事。グロムハイン家に代々仕える。巨大な風船を二つ重ねたかのごとき体型。しかし、非常に敏捷に動く。




アナーロ・アナレクタ公;

名目的にせよ一時はアトゥーラの夫となった男。典型的な没落貴族で気位ばかりがひどく高いが全くの無能しかも無収入である。寡<やもめ>暮らしが長すぎたせいか自分の孫のような娘を無理やり娶らされても酷く無感動であった。但し、持参金としてもたらされた食封一千戸付きの領地権利書には心底感動したのであった。しかし、この男は幸運であり、また、幸福でもあった。アトゥーラとの結婚、及び離婚、そして、その後に拡がった無限の荒野ともいうべき別世界は男の意識を全くの別次元へと引き上げる。

領地の下賜とともに、別に募集もしていなかったのだが、魔法のように、一人の家令候補者が現れる、とともに、一人の侍女も現れる、つまり、奥様には小間使いが必要という訳だ。

これらが、十三悪魔の片割であるという可能性は、無論、ある。けれども、この二人、

デボペロス・ロクシダスとモーリアンナ・ツーハイデンの行動にはあまりにも不可解なところが多いので、断定はできかねる、

この二人の時間認識の基準もよくわからない、つまり、アトゥーラ離婚後の公家に、二人は仕え続けるのであるからして・・・




アフォンゾー;

ゲリダニ公の腹心の一人。アフォンゾウとも。




アムドラーシュ;

最も有名な東方隊商長。ソムド族出身。あらゆる交易に口も手も出す大商人でもある。その名を冠した隊商はあらゆる顧客に絶大な信頼を得ている。常時展開している隊商部隊の数は三百を超えるが、これは主要ルート、直営商人団に限っての数である。

アムドラーシュ・バザン・ダックバイラス:主要交易路=東大回廊

アムドラーシュ・アーサス・トイメトリン:熱湖北岸

アムドラーシュ・ホアン・ロートホイミー:オスメンダリア~ファラノーザン

アムドラーシュ・ログソ・テレホィースィー:大地溝帯西岸~キリア砂漠





アリーグール;

巨大円丘トロイとマカーンの間に広がる窪地の森ニュヒテルムドローン

または、ニュヒテルムドウローン

その真央部ヅガの庵に住む老隠者。その正体は不明。普通、結構小高いところに住みたがるこういった連中とは全く違いこの悪魔の臍とも呼ばれる擂鉢の底に庵を結んでいるのはいかなる意図によるものか? 




イヨルカ;

ロデロンのイヨルカ。驢馬。最初は老耄れの雄驢馬。灰色。

種族名としては、ダッタンノロバ属<族>と思われる。 

かの庭男に使われていたが、果樹園でヨナルクにスカウトされる。

姿かたちはそのままに、異常な体力と脚力を与えられる。

ついでに、極めて人間的な知性も。

ということは、イワユル、感情をも。後、非常に曖昧な状況のもとで ─ その真因を特定できないという意味であるが ─ 劇的な性転換を遂げ、アトゥーラにその最初の―半ば無限の―母乳を与えるという栄誉を担う。事実上のアトゥーラの、育ての母。そして、我が真の友でもある。私がアトゥーラを追わずにはおれぬのは、

この娘が我が友イヨルカと一体であるからでもある。

すくなくとも、事の成り行き、第一原因としてはそうである。




ヴァレオンヨロイコオロギ;

ベラン高原特産。ウエタ属に似た巨大蟋蟀。一生をベランツルノイバラの樹上で過ごす。羽を持たないくせにやりたい放題である。




ウェスタ・サラザン;

毛皮交易宿、銀の山猫亭の看板娘、としては少々幼いが、中身の方はイッパシである。ヨナルクはこの少女を女として扱い、アトゥーラを託した。

この小娘はよく働き、先ず第一に障壁として作用したが所詮及ぶべくもなくあえなく降伏、

以後、アトゥーラに仕える第一の侍女として終始活躍することとなる。しかし、その少女期、図らずも垣間見ることになったアトゥーラの変成過程とそれらに纏わる隠微極まる超常現象の数々は拭いがたい恐怖と畏怖の念を植え付けることとなった。セリナ・スヌーンとは、好対照の好敵手である。

また、その体術と武技は見事なもので、稲妻の異名を受継ぐにふさわしいものであるがそれを表に出すことを好んではいない。

これの母パリスタ・サラザン、旧姓アムドゥルガーは、双子の妹レイハシスとともに

内庭奉仕宮女として代々ムエン・ラシュダイに仕えていた。

当時、内宮別当職としてラシュダ湖禁域支配の重職にあったマイラ・ヒレーンとは大変特殊な関係にあり、それはマイラの結婚まで続く。ヒレーン家に伝わる秘剣スバル・ランの一部はこの時双子にも伝承されているがあくまでも非公式なものとしてである。




ウーシャ;

サイキスの一人。ヨナルクによって生み出されたらしい。その正体は不明。好んで小鳥の形をとる。




エイブ・サラザン;

銀の山猫亭レェェスギャンドールーの亭主。やもめ。ウェランの白い狼、白き稲妻、と異名をとった亡きパリスタ・サラザンを思い、女断ちの日々。しかし、ベラン高原中を見渡しても女と名のつくのは己が娘ただ一人、おかしなことである。かつて、稲妻のサラザンと渾名された異常なる腕の持ち主であるが・・・その体術の真価は深い森の中でこそ発揮されるのだが・・・即ち猿腕術(飛び猿の術)・・・




エレナ・ワルトランディス;

典型的なお姫様として育つのかと思いきや、そうでもない。両親の愛を疑い、二人の姉の存在を疑い、己が存在の正当性をも疑っている。しかし、表面的には非常に誇り高く、倣岸で、痛々しいほどの虚勢を張るのが、周りの目には素晴らしく映るらしい。

人間社会の不思議である。

バルダモ・ワルトランディスとラゼナ・グネトニアスとの間に生まれた事実上の第三王女。

正式に、第一王位継承権者。表向きの第一王女。





オオガラス;

オオワタリガラスの一種と考えられているが、同定されてはいない。例のフニンとムニンとは親戚であろう、という適当(テキトー)な意見もあるが、確認不能である。誰か強力な術者の使い魔、もしくは分身であろうというのは穏当な見方であるがあまりおもしろくはないのである。その固有名は今のところ不明というしかない。





オルホノウ・カザン;

ドラコ・ドラコの分有変位(分有同位?)体の一つ。「愛の師匠」の異名を持つ、まったくもってチャランポランな女(黒の娘たち総評)なのである、






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