90.穏やかな就寝
夜中3時頃までに追記する予定
9/16 4:28追記終わり
明日起きれるか心配だ。
携帯用のランタンを吊り下げた御者は、様子を確認しに来ただけのオルキスの顔を見て小さな悲鳴を上げたが、この状況にそこまで怯えているようではなかった。
「す、すみません。変わった服装の方が手を振っていたので、偉い人かと思って止まりました」
「何について謝っている?この顔に驚いたことにか?」
「い、いえそんな。驚いたなんて」
「ふっ、アイツらはマフィアだぞ」
「マ、マフィア!?何でこんなところに。というか、アイツらじゃないですよ。見てください、ひとりじゃないですか」
馬車からの明かりは一人の男を照らし出していた。山高帽に蝶ネクタイ、モーニングコートにピカピカの黒い革靴。クーさんが暴れた時にリンが呼び寄せた手下の一人だ。
「後ろに手下も控えてますんで、変な動きはしないでくださいよ、お兄さん」
ザッザッと土が擦れる音が聞こえたと思えば、一人だと思われたフォバット・クロスの後ろからは20人ほどの男達が現れた。
御者はすっかり怯えてしまい、口を開けたまま固まってしまう。バードンはといえば、全く身に覚えのない罪を着せられ、目の前の男達に少しだけ腹が立っていた。
「お前ら何しに来た?こっちは大人しくしてたってのに余計なことしないでくれよ」
「余計なこと?勘違いしないでくださいよ、オンツキーさん。こっちは姉御の命令で来てるんです」
「ほら!な!?ほら!俺じゃないんだって!」
バードンは言質が取れた喜びで、オルキスの肩を掴み揺さぶる。鬱陶しそうにその手を振り解いたオルキスはクロスの前へと進み出た。
「何の用だ。まさか騎士に喧嘩を売るつもりか?」
「是非そうしたいですが、今回は遠慮しておきます。今回はオンツキーさんを連れ帰りに来ましたよ」
今度はオルキスが振り返りギロリとバードンを睨みつける。
「やはりお前を連れ戻しに来ているではないか!」
「だーかーら、俺は呼んでないの!」
お互いにお互いの白々しさに苛立つ二人の状況が、いまいち掴めないクロスは事情を説明し始めた。
「何を揉めてるんだか知りませんがね、ちょっとしたトラブルがあってオンツキーさんの手を借りたいと姉御の命令があったわけです。どうやら犬どもに捕まったと聞きましたので、念の為手勢を連れてきたんですが、その様子じゃあ解放していただけるんで?」
「解放も何も俺達はコイツを宿に送る途中だ。全くややこしい。さっさと連れて行け!」
「ちょっと待てい!断る!俺は眠い!それに娘が心配してるはずだから家に帰って」
「ああ、それなら問題ありませんぜ。さっき娘御と話してきましたよ。ホロトコさんには恩があるんだから絶対に帰ってこないでって伝言です」
「……う、うそだ」
「何なら連絡しますかい?若い金髪の姉さんと兄ちゃんが証人です」
「ミリスとアーリマか。眠いんだけどどうしても?」
「さっさと連れて行け!そしてお前達はマルブリーツェから出ていけ!まったく、なにか問題を起こしてみろ。半殺しにしてやるからな!」
「ふっ。キャンキャン吠えなくても帰りますよ。行きましょうかオンツキーさん」
「はあ」
バードンは項垂れながらクロスの元へと赴き、恨めしそうな視線をオルキスに向ける。
「あんたは帰るのか」
「当然だ。じゃあな」
オルキスはマフィア達に背を向けると、そそくさと荷台へと向かう。するとその後ろに突然3人の騎士が現れた。息を潜める必要もない為魔法を解き彼らも荷台へと向かっていった。
「で、では失礼します」
荷台からドンドンと叩く音が聞こえると、御者はおどおどしながらバードンとクロスに別れを告げ、ぐるりと来た道を戻っていった。
馬車が遠ざかるにつれどんどんと暗くなり、誰の顔も見えなくなっていく。すると、クロスは魔法を唱え空へと光の球を無数に散りばめた。
『光球』
近くまで星が降りてきたような幻想的な風景を意にも介さず、クロスは淡々と話し出す。
「さて、今から馬車じゃあ遅すぎますんで、コイツをどうぞ」
コートの内ポケットをまさぐり、黒革の手帳を取り出すと、そのうちの1枚をビリっと切り離しバードンへと手渡した。
すべすべとした肌触りの紙には転移陣が描かれており、その陣の色は綺麗な紫色。バードンが日頃持ち歩いている陣紙とは比べ物にならない程高級なものだとすぐに分かった。
「わざわざこれを使うのか?なーんかもったいないな」
「精度と速さが必要なので。では参りましょう」
バードンは頷き、摘んだ陣紙をグッと握りしめた。すると景色は一変し、煙で視界が悪い薄暗い部屋へと転移した。3台の丸テーブルに4脚の椅子が置かれた中央部分。振り返るとそこには扉があり再び前を見ると丸テーブルの奥にはソファーとそこに座る人影がぼんやりと見える。
「姉御、戻りました」
突然隣に現れたクロスはカツカツとその人影の側へと歩み寄り頭を下げた。
「バードン!さっさと来い」
ソファーに座る人影が怒鳴った。そこに居たのは、ホロトコ一家の頭であり5大マフィア連合、月覇会会長であるリーンピム・ホロトコ・カワギシであった。
バードンは言われるがまま、丸テーブルの間を縫ってクロスの隣に並んだ。
「何をしてんだ。さっさと座れ」
短くなったタバコを山盛りになった灰皿に押し付け、苛立たしげに向かいのソファーを指さした。
何を怒っているのかと思いながら、とりあえず向かいに座ったバードン。
「まず、ギルドが本気を出してきた。脅し強請りガセネタで店を追い込んで安くで買われていってる。対抗勢力を作るのは間に合わない。それから東の動きが明らかにおかしい。簡単に出入りできなくなってる。うちの人間も何人か消された。そして最後に」
「相変わらずせっかちだな。お前から呼び出しておいて吾輩を待とうとは思わないのか」
「イムリュエン!?」
リンの言葉を遮ったのは昔馴染みのあの声。煙の奥には漆黒のコートを羽織ったイムリュエンと、護衛騎士2人が立っていた。予想外のゲストにバードンは驚いたが、久々の再開に心も晴れやかになる。
「久しいなバードン」
「おおおお!久しぶりだな。いや、この前話したからそうでもないのか?まあいいや。こっち来い」
騎士をソファーの横に立たせたままゆったりとバードンの隣に座ると、向かいのリンはシュバッとマッチを擦り、タバコに火を灯す。
「この煙は全部お前か?全く。健康とは程遠いな」
「随分と能天気だな、アホ領主」
はにかむイムリュエンの顔にタバコの煙を吹きかけ、気に入らないといった表情で睨みつけるリン。主への無礼をただ見過ごせるはずもなく、ブロンドの髪を後ろで束ねた碧眼の女性がリンに飛び掛かろうと背の低い机に足を乗せた。
すると今度はクロスがリンを守ろうと咄嗟に飛び出す。
カツーンと蹴り出された灰皿の上で、真っ直ぐに伸びていく腕を掴み拳が止まると、骨をへし折ろうとギチギチと握力を込めていく。
「いきなり失礼だなお嬢さん」
「誰がお嬢さんよ」
女性騎士は机の上に立ち、左手でクロスの首を握りつぶそうと力を込める。
「止めたら?お前らの部下でしょ」
バードンは久々の再会をかき乱す彼らを冷めた目で見ながら、向かいのソファーへと魔法をかける。
『収集』
灰も吸い殻もある一点に集まりだし、徐々に球体になっていく。浮いた吸い殻の球は基礎魔法『動』にて空中に留め、ひっくり返った灰皿も同じ魔法で机に置き直すと、吸い殻の球を灰皿へと戻した。
『無水洗浄(消臭)』
仕上げに最近改良した消臭型無水洗浄によって、ソファーの汚れとタバコの匂いを消し去った。
それでもなお続く力比べ。何やってんだかと呆れながら、二人の主に視線を向ける。
「おい、さっさと止めろよ。これじゃ話が進まない。俺は続きが気になってるんだ」
リンとイムリュエンには昔からの共通点がある。どちらも意地っ張りなのだ。今も互いに見つめあい、どちらが折れるかと2つの意味で我慢比べをしているわけだが、こういう時はレフェリーがいないと暴走が止まらない。レフェリーとはもちろんバードンのことである。
「アン止めろ」
「おいアホ。止めろ」
何とも奇遇なのか、手下は主に似るものなのか、彼らもまた意地っ張りであった。どちらもなかなか手を離さない。
「ばや"くばな"ぜ」
「あなたからよ」
こうなっては誰がこの場を納めるのか。昔見た光景を再現しているこの状況に、面倒だなと疲れ切ったバードンは辟易していると、イムリュエンの側に控えるもう一人の騎士がつかつかと歩き出し、アンの首根っこを捕まえ引き離そうとするが、どちらもなかなか離れない。
「命令が聞けないのか。離せ」
至って冷静に伝えると、落とし所を見失っていたアンはすぐに手を離した。するとクロスもそれに続き、やっとテーブルが片付いた。
「失礼しました」
引きずりながら後ろまで下がると、頭を下げ何事もなかったかのように飄々と話す。その横ではめちゃくちゃ痛い右手首をこっそりと背面で擦りながら、子供のように扱った騎士を睨みつける。
「マジュン、今度やったら殺すわ」
はいはいとテキトウに頷く彼に、より腹がたったが、落とし所を見つけてくれたのも事実。ここは勘弁してやろうと心を落ち着かせた。
「ん"ん"っ、ゲホッゴホッ、お"ぇぇ」
咽せかえり更にはえずくクロスを一瞥すると、肺に煙を満たし、大きく吐き出した。
「どこから聞いていた?」
「ギルド、東の動きまでは聞いた。最後はヴォルガの話だろう?」
「そうだ。何処から入ったのか分からないがヴォルガの工作員が潜り込んでる」
「で、俺は何をすればいい」
手を貸してほしいとここまで連れてこられたのだから、させたい仕事があるはず。しかし、今の話を聞く限り、バードンにできるのはギルド対策として何かするぐらいだろうと考えていた。
「宿を拠点にさせてほしい」
「拠点?何の」
「想定としては、ウチの下っ端、護衛の冒険者、それから商人のまとめて東からの圧力に抵抗しつつ、マルブリーツェの基盤を守る拠点だ」
「言っている意味が全く分からない。ギルドがのさばって、東に行きにくくなって、ヴォルガ人が入り込んでる状況だよな?何で東を警戒してる?マルブリーツェの基盤って具体的に何なんだ」
「リン、まさかあれだけで全て説明し終えたと考えているのではないな?」
「……分かるだろ大体」
「いや分かる訳が無い。ちゃんと説明しろ」
口ぶりから察するにどうやらイムリュエンは大方の事情を知っているらしい。
確かにあの説明だけでは、何故ウチの宿が拠点という話になるのか皆目見当もつかない。そうだそうだと頷きリンが続きを話すのを待つバードン。
どうも納得いかない様子で、仕方無しに詳細な事情を明かし始めた。
「まず、食料品の価格高騰はマルブリーツェを含む西側だけで起きてる。これはギルドが輸送網を絞り込んでいる為に起きた一時的なものだと思っていたが、今度は店に手を付け始めた。元々財政基盤の弱い大型商店傘下の商店や商人をこの機に買い叩いている。それだけでなく、健全な商店には強請りや脅しで無理矢理傘下に組み込み、地方では大型だった商店の力がどんどん下がっている」
「それはつまり店を買い叩く為に食料の値段を釣り上げたってことか?」
「現状ではそうだ。食料品は生活に直結するから、客の心が離れやすい。西側州の食料品を扱う商店はボロボロだ。それから東側への出入りだが、前までは1,000ワカチナの通行税で済んだのに今では十倍の1万。そして商人は荷物の重量と品目によって更に加算される。事実上の締め出しだ」
「それだと東の奴らは何を食ってる。食料の生産は殆ど西側だろ?あれ、待てよ。西で作ってるのに輸送で金が掛かるのはおかしくないか?」
「東側の商人は免税だ。もちろんギルドに加入してる商人だ。そらからアホのお前にしてはいい視点だが事は複雑なんだ。まず民会とかいうふざけた奴らが輸送業者の新規参入を止めさせていた。貴族に圧力を掛けてるんだ。すると今ある輸送業者は顧客の確保に動くわけだが、どう考えても東側の業者には勝てない。かたや税金の上乗せ分無く人口が多く金持ちも多い東へ輸送できるわけだからな」
「そうなると、輸送業者の顧客、つまり生産者や卸問屋が東の輸送業者に鞍替えしたってことか?」
「そうだ。初めは目論見通り、引き上げられた税金の分を負担しなくていいんだから喜んだだろう。だが数ヶ月で輸送料金の引き上げを発表した。そのタイミングは戦いに負けた輸送業者がギルドに加盟して資金援助を受けた、ちょうどその時だ」
「今更別の業者に乗り換えても、遅いってことか」
「そういうことだ。それからヴォルガの工作員だが入国経路は不明。だが居場所は割れてる」
「どこだ?」
「ここだ。亜人が作った州、カリーニングだ。随分と舐めたマネしてるから探し出して大人しくさせてる」
「それは、つまり、あれか?」
「殺してんだよ。なかなか口を割らないし、大した記憶も無い。だから本当の目的は分からないが、目先では内乱を起こさせようとしてるらしい」
「内乱ねえ。なんか現実味が無いな」
「一応言っておくが、ここには少ない数の異世界人も住んでる。イムリュエンが連れてきたり、一人で逃げてきたり。言ってみれば被差別者達の州だ。煽られれば武装蜂起する可能性だって十分にある」
「ヤバいのか?」
「最近、民会がやたら煽るからな。機運は高まってる。だが、民は指導者を求めているだけで闘争の意思は無いはずだ、と誰かさんは言っているよな?」
その誰かさんのマネをしながら短くなったタバコを灰皿に乗せると、凭れかかった身体を前のめりにさせてイムリュエンを睨みつけた。
「私はきっかけさえあれば動くと思ってる。それも遠くない未来に」
アゴをさすりながら余裕の表情でイムリュエンは反論する。
「小さなきっかけで争いが起こる事は承知している。しかし、それは論理的でなく感情的な思考の元で行われるのであって、それを翻す正義があれば彼らは必ず止まる」
「正義ってなんだ。亜人にしてみりゃ、散々っぱら差別してきた人間を殺す事こそ正義だろ」
「それでは何も変わらない。争いが続き対立が深まるだけだ。人間も同じだが、彼らが求めているのは自由と平穏。それこそが正義であって、争いか話し合いかという手段に囚われないよう導く指導者が必要なのだ」
「是非ともその御高説を、怒り狂ったドラゴンに垂れてくれ。きっと泣きながら頭を下げてくれるだろうな」
「人とと同じく叡智を持つ種だ。ドラゴンと一緒にするな」
「クソが。あーイライラする」
ポシェットから取り出した銀色のタバコケースの中身は空。すっと目を閉じ深く息を吐くと思い切りテーブルに叩きつけた。
随分と不機嫌だなとバードンはしかめっ面になりながら、すくっと立ち上がった。
『武器棒』
テーブルの上に降り立った逆さまの傘が開き、その中から筒状の古びた陣紙を拾い上げた。武器収納用の魔法である武器棒は静かに閉じるとすうっと浮き上がるようにしながら空中へと消えていった。
「これ、昔にもらったタバコだ。俺は吸わないから返すよ」
取り出したばかりの陣紙をリンへと手渡すとバードンは座り直した。
「状況は分かった。つまり、商人ギルドも民会も東側の貴族と繋がってて西側をめちゃくちゃにしてるんだな?」
リンは貰った陣紙を握りつぶした。手の中からは押し返してくる感触があり、パッと手を開くとそこには昔懐かしい銘柄のタバコがあった。
「懐かしいな」
「だな。陣紙にぶち込んでたからダメにはなってないと思う」
取り出したタバコに火を点け、深呼吸する。
「どう考えても人手が足りない。金が足りない。力が足りない。コネも足りない。ほぼ詰んでるこの状況を打開する為に、マルブリーツェを防波堤にしたいと思ってる」
「というと?」
「マルブリーツェが存在感を出せば、意識はそちらに向く。その間に西をどうにか纏めたい。バラバラだと勝ち目がないからな。ラサパロスは元々旧帝国派でボボルは最近東側になった。だから中央で対抗できるのはマルブリーツェしかない」
「具体的にはどうするんだ?」
「まずはマルブリーツェが大きな州になってもらう必要がある。具体的には、軍事と経済だ。そうすれば発言にも影響力が出る」
「それは、俺の領分じゃないな。んで、宿は拠点なんだろ?何の拠点なんだ?」
「ウチの手下どもを私の代わりに送って裏側を纏める。最近は疎かになってたから締め直しだ。それから商人を送って新規事業と西側商店との合併を進めさせる。そして軍事は冒険者達を使う」
「冒険者?無理だろ。戦争とは縁が無いぞ」
「人対人じゃない。魔界開拓だ。魔界を開拓して土地を広げ、何か価値のある物が見つかれば商品になる。土地が広がれば家や商店、公共施設を作るだろうから新たな雇用が増えるだろ?」
「ほおー。それでマルブリーツェの存在感を高めていくのか」
「それまでは宿を貸してほしいを。100名ぐらい送るつもりだ。そして金は殆ど無い」
「ただで泊まらせろって?」
「頼む」
「いいぞ」
「いいのか?」
「ウチ、暇になってさ。部屋は空いてるんだよ。まあ、人の出入りが多いと見栄えも良くなるだろ?だから悪い話じゃないし、全然いいぞ」
「それからお前の宿も組合に加入してくれ。金は年10万。業種毎に纏まるんじゃなく、組合っていう大きな看板に集まるようにすれば、西側の商人を団結させやすくなる」
「分かった」
「イムリュエンは貴族をどうにかしろ」
「もう飽きたのか?吾輩への指示は大雑把なのだな」
「餅は餅屋に頼めってことだ。貴族のあれこれは知らん。西側を纏めて欲しい」
「急務だな。最近の東の横暴は目に余る。言われずとも動き出していた」
「私は、カリーニングをなんとかする」
ギュッと灰皿に押し付けたタバコの煙が途切れると、リンは立ち上がった。
「呼び出して悪かったな。この件は出来るだけ内密にしてくれ。仲間に引き入れられるなら話して構わない。これが東に漏れたら、厄介だからな」
「おっけー」
「承知した」
返事を聞き、暫く二人を眺めるとニヤリと笑みを浮かべた。
「老けたな」
「お前もな!」
「フッ。年齢が毎年増えるのは万人に共通する数少ない不変の理だ」
リンは1つ頷くと、小脇に抱えたポシェットから陣紙を取り出した。
「会議があるから私は行く。転移陣を渡すからそれで帰ってくれ。じゃあな」
ギュッと握られた陣紙はリンを指定の場所へと転移させ、役目を終え跡形もなく消え去る。
忙しない一日が終わり、バードンは家に辿り着くとまっすぐにベットへ向かった。
不安になる事ばかりで聞かされた一日だったが、終わりよければ全てよし。馴染みの顔が揃えたことに喜びを感じながら、微睡みに沈んでいった。
ワカチナ連邦王国の中部(ど真ん中)にマルブリーツェ州がある。
ラサパロス州はマルブリーツェ州やや東寄りの北に位置する。
ボボル州はマルブリーツェ州の南に位置する。
ちなみに、マルブリーツェ州のやや西寄りの北にはベイ州がある。(ラサパロス州の西側に隣接)
ベイ、ラサパロス、マルブリーツェ、ボボルがワカチナ連邦王国の中部地域。




