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74.ダンジョン新説

絶対に編集しますし、追記します。とりあえずの投稿です。


7/2017:57追記と修整。

すいません。もっかい読んでください。未推敲なので、また修整するかもですが、大筋は変わらないはず。

 ケリー(スカーレット)が知りたのはダンジョンの魔力が複数人の魔力を元にしたものなのか。それから、バードンの執務室、更に従業員の使う部屋でダンジョンの魔力が流れていない可能性である。


「ダンジョンの魔力は宿泊者の魔力を使っていると聞いたわ。まず、それが間違いないのか確認したいの」


「そーだよー」


「私達からは取らないの?」


「だって困ってないし。お客さんが少なくなったら君達からも貰うかもね〜」


「という事は、今の所十分魔力は足りているのね。じゃあ、ダンジョンの魔力は何処にどんな風に使われているの?」


「どこ?そんなの使いたい時に使いたい場所で使うから分かんないよ」


「……それなら魔法の発現とは無関係に魔力が流れているのね。さっき私達はバードンさんの執務室にいたの。そこ以外で魔法を使った?」


「さっき?使ってないよー」


「という事は魔力経路の問題ね」


「先輩。俺達にも分かるように説明してください。今の所全く理解できてないですよ」


「ええ、そうね。魔法が発現するという事は魔力が流れる。それが特定の場所ならそこに魔力が集中するでしょ?てことは、そこ以外の魔力量が減少するから、魔法を使用したのか聞いたのよ」


「使ってないそうですから、魔力は平常に流れていたはずですね」


「そうよ。つまり、バードンさんの執務室にダンジョンの魔力が無いのは魔法の発現とは無関係だと言える。そして、魔法が関係無いのなら平常の魔力経路の中にバードンさんの執務室が入っていないという事よ」


「だから、さっき複数人分の魔力の滞留があの像から出てこなかったんですね」


「ゴホン。スカーレット、ウネツ君。俺にも分かるようにもっと噛み砕いてくれないか?」


 バードンは、自分の世界に入り込んでしまったケリー(スカーレット)に噛み砕くよう促したウネツに良くやったと内心思っていた。だが、噛み砕いても相手が技術者では素人には全く分からない。

 これだからオタクはとバードンは思っていたが、彼もこういう事がイムリュエンやリンとの間で起きた事が何回もある。だから、オタクという言葉は飲み込み、率直に尋ねた。


「あ、ごめんなさい。さっきバードンさんの執務室では複数人の魔力のヴェールが出なかったでしょ?鉱物商人の部屋では見たというのに、執務室では出なかった。つまり、そこにダンジョンの魔力が無いという事よね」


「うん」


「でもそれって異常じゃない?だから魔法を使ったのか聞いたのよ。答えはNO。てことは、魔力の流れる道、つまり魔力経路が異常な状態がこのダンジョンの通常ってことよ」


「あー、執務室にダンジョンの魔力が流れてない原因が分かったってことか。ん?意図的に流してないってことはないか?どうなんだダンジョン」


「ジョン!ボクの名前!ジョンだよ!」


「どうなんだダンジョン?」


「もう!何時になったならボクの名前を呼ぶのさ。意図的に流さないってそんな事考えたこともないよ。なんでそんな面倒な事するのさ」


「嫌がらせでしそうだろ」


「ボクはそんな暇じゃないもん」


「ジョン君、まだ質問があるの」


「おお!お姉さん優しいね。名前なに?」


「お姉さん?私はスカーレットよ。あなたも優しいわね」


「ん?ボク優しいかなー?ありがとう!なになに?1つじゃなくてもいいよ!」


「魔力を解析する道具がこのダンジョンに運び込まれ、バードンさんがそれを見つけた時に、複数人の魔力がこのダンジョンにはあるという結果が見られたらしいの。ジョン君、あなたの魔力は一体いくつあるの?」


「いくつ?そりゃー1つだよ」


「じゃあ、人間から引き取った魔力をそのままの形で使っているの?」


「そのままの形?そのまま……そのまま?どういう意味?ボクにはさっぱりだよ」


「あなたの魔力に変換して使っているのかしら?」


「そんなことできないよー。ボクの魔力はエイミ・ウキタの魔力。でも、それだけじゃ足りないから色んな人の魔力を貰うんだ。まあ、人間じゃなくてもいいけどね」


「エイミ・ウキタ?エイミさんて確かバードンさんの」


「お嫁さんだよー」


「その魔力があなたの魔力。足りないというのはいずれ尽きるという事なの?」


「そりゃーね。永遠に魔力が残るならわざわざ魔力の供給を頼んだりしないよー」


「最後にもう1つだけ。この世界には沢山のダンジョンが存在するわ。でも、それぞれに特徴がある。その特徴のせいでダンジョンと一括にしても体系化出来ていないのよ。あなたはこうして人と交流し魔力についても教えてくれたわ。他のダンジョンもこうなの?」


「違うと思うよ。ボクはずーっとここにいるし他のダンジョンの事は知らない。1つだけ共通していると思うのは異世界人の魔力を元にダンジョンが出来るって事だけだと思うよ。ボクがそうなんだから他もそうだと思うよ。断言は出来ないけど」


「そうよね。分かったわ。ありがとうジョン君」


「どういたしまして。スカーレットちゃん」


 ケリーはバードンの方へ振り返った。


「詳しい話は上でしましょう」


 バードンは頷き、ユーリに視線を送る。帰るぞと引っ張って行こうかと思ったが、彼女が結んだダンジョンとの契約がある。遊ぶとはどれ程の時間なのか分からないし、楽しそうにしていたユーリを無理に引っ張っていくのも憚られる。


「ダンジョン、怪我させるなよ」


「治すから大丈夫だよー!」


「……とにかく怪我をさせるな」


 ダンジョンのジョンは親指を立て手を振った。


 執務室に着くと、やおらケリーは捲し立てた。


「魔力が流れるって事は魔力を吸収している、魔法を使っている、魔力経路である。この3つの可能性しか無いの」


「まあ、まずは座らないか?」


「まず、魔法を使っていないという事は、ここが吸収場所か魔力経路から外れていた。そして、私達からは吸収しないと言っていたわ。そうなれば残るのは1つ」


「魔力経路の線ですね」


「そうよ。鉱物商人の部屋では吸収も行われるし魔力経路でもある。だから、沢山の魔力の滞留が見られたのよ。そして、ここや研究室、私達の部屋では吸収も行われないし経路でも無い。つまり、何の魔力も認識できない。まずそれがここでダンジョンの魔力を認識できなかった理由。そして、複数の魔力については、ジョン君が言ってたわね。宿泊者の魔力をそのままの形で流用している。どういう理屈か分からないけど、他人の魔力を使えるのよ!スゴイわ!」


「確かに俺たちじゃ出来ない事ですね」


「そして、ダンジョンの元になるのは異世界人の魔力。それはいずれ尽きると言っていたわね。つまり人間みたいに再生産できないのよ。これは大発見よ!」


「ダンジョンと一括りにしても、ダンジョン毎に機構が違うというのも重要ですね」


 よいしょと座ったバードン。熱くなる2人に割り込めず、一人蚊帳の外だが、なかなか興味深い話である。そして過去に読んだ本のある記述を思い出していた。「人間のみ唯一魔力が流れない場所がある。それは心臓である。はっきりとした理由は不明であるが、いたずら好きな魔力から人体の大事な器官を守る為ではなかろうか」というものだ。いたずら好きというのは、下手な者が魔法を使おうとした場合に、魔力が変則的な動きをし、人体に損傷が出るという意味なのだが、それから守る為であろうとこの著者は言いたいのだ。


「バードンさんはどう思う!?」


 息を切らしたケリーが質問してくるが、途中から話を聞いていなかったバードン。いきなり振られて驚くが、とりあえず話を合わせる事にした。


「ああ、まあ凄いな。とりあえず、疑問は解消か?」


「解消どころか新たな疑問が出てきたわ!何で従業員が頻繁に使う部屋に魔力が流れないのか、どうやって自分と違う魔力を使用するのか。恐らくジョン君に聞いても本人は分からないような構造の問題。研究しがいがあるわ!」


「ああ、うんそうか」


「ひとまず、気になる事は聞けた訳ですし、この像の実験しましょうか先輩」


「そうね。客室行くわよ!」


 バードンを残し、意気揚々と引き上げていく2人。ダンジョンの事は何となく分かったのだが、気になるのはユーリである。このまま冒険者になりそうな娘になんと言えば思い止まってくれるのか。


 危険で万年金欠で家にも帰れないような職業。ロマンと一攫千金だけが冒険者を目指す者達を駆り立てるのだ。


「アイツ、そんなタイプかなー?」


 ユーリの心情を読みきれないバードンであった。


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