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現代魔法学概論 ベルムストン・ハウラー著

解説書風です。

 序文

 魔法は古代より人間の生活を保護し発展させてきた。まだ文明が無く狩りをしていた時代、人間は身を守り生活を維持するのに必要な力を持っていなかった。弱肉強食の世界でのそれは人間の絶滅を危惧させるのに充分なインパクトである。

 その時代に初めて魔法が行使され、人間は種族の繁栄という形で魔法の有用性を示した。


 では、現代の魔法はどうであろうか。

 古代の生きる術や種族の保全という目的ではなく、もっぱら利便性や富をもたらす魔法に比重が大きく傾いている。

 人類が文明を築き、動物的闘争を捨て始めた頃からその傾向は顕著になった。狩猟、農業、漁業を始めとした食の確保は、自然に左右されながらの最低量でなく、安定した最低量にシフトし、更に備蓄の保存にシフトする。ひいては品質の向上へとシフトし、通貨の流通によって買い手のニーズに答える生産へと切り替わった。当然そのニーズは千差万別であり多角化した生産には多種多様な魔法が使われるようになった。

 この他にも住居や衣類の素材や製造に係る魔法も、食料生産と同様に多角化していき様々な魔法を生み出した。


 現代魔法学概論では、現代の魔法について考察し、魔法を使う際に必要な知識を解説する。更に幅広い魔法を使えるように少々発展した内容についても解説する。


 ここで、現代の魔法と時代を限定しているのは、古代の魔法は、今を生きる私達の役に立つと断言出来ないからだ。

 その理由は自然界での生存競争の優位性確保から文明という自然界から切り離された生活での利便性獲得へ目的が変化したからに他ならない。

 しかし、古代の魔法は魔法学においても基礎を学ぶのに有効な場合がある。その場合は古代の魔法を考察し解説するが、あくまでも現代の魔法を学ぶ補助的な役割であることをご留意頂きたい。


 仮に、本書を読み古代の魔法について興味を持たれたならば、魔法史1や深める魔法学!などをお薦めしたい。


 最後に、本書の制作に携わった方々に御礼を申し上げる。特に、魔法学の権威ウィルヒル・チャンバー王命魔法学博士には深く感謝申し上げる。

 その他にもここに記すべき恩人が数多いるのだが、これ以上書き連ねると読者の機嫌を損ねてしまう可能性がある為、省略せざるを得ないだろう。


 ベルムストン・ハウラー魔法学博士



 第一章 第一節 現代魔法学概論

 現代魔法学概論とは、現代の魔法について考察し、身近に使われる魔法の基礎を理解し、幅広い魔法を使用できる知識を習得し、次世代の魔法を生み出す新たな芽を育てる事に主眼を置いた、現代魔法学における入門書である。


 魔法学とは主に、古代魔法学と現代魔法学を統合した学問である、というのが一般的説明である。しかし、魔法学と一口に言っても、時代による分類、種族による分類、魔法の性質による分類、魔法の範囲や影響規模による分類など、それぞれの分類にそれぞれの専門家がおり、各分類の知識の集積は他学問に比べ非常に大きい。魔法学の現代魔法学一つとっても一学問と呼べるほどに研究されている学問なのだ。ちなみに呼び方としては、種族魔法学、魔法特性分類学、個別魔法学等とすれば問題ない。

 話を戻そう。それらを統合しようという動きによって、時代による分類を基に魔法学と一括りにされたのであるが、筆者はその意義について図りかねている。


 結論として、現代魔法学は一つの学問であり大きな枠組みに嵌め込む必要は無いだろうと考えている。理由は三つある。


 一つ目は、時代による分類は目的による分類と言えるからだ。古代は生存競争における優位性確保が急務であり、それが目的で作られた、若しくは意図せず作った魔法はその有用性を人類の繁栄という形で示した。

 その魔法に代表されるのが致死魔法である。外敵を排除する為だけの魔法であり、現代では禁忌とされる魔法である。他にも、幻惑魔法や服従魔法、換児かんち魔法など、肌が粟立つような魔法が古代魔法の大半を占めているのだ。その古代魔法と現代魔法を同じ学問に統合することは、過去の攻撃的かつ非人道的魔法を現代の魔法と同列に扱うという事であり、”魔法学”を学ぶ者に感覚的平準化を齎すことだろう。それが、如何程の利益を学問や人類に享受するのかは分からないが、人類が作り上げてきた魔法秩序や道徳を破壊するだろうことは想像に難くない。

 古代魔法と現代魔法の作成や使用目的の違いは、その学問を学ぶ上での目的と概ね合致するはずだ。その分厚い壁を壊す事が愚かであるのは明確であり、統合は結果として、何年もの研究と知識の集積によって厳格に作り上げられた倫理を踏みにじる事になるのだ。


 二つ目は、種族による分類との統合は差別を増長させると思われるからだ。

 筆者は人間である。では仮に、筆者が人間ではない種族の場合、果たしてどれ程の人が本書に目を通すだろうか。ここで断言しておくが、私は現代の人間以外の種族に対する差別に対して嫌悪感を抱いている一人である。統計を取った訳では無いが、風潮や時流を見れば私が少数派である事は理解しているが、敢えて明言した。何故ならば、二つ目の理由の根幹がこの嫌悪感だからである。

 種族による分類は、各種族が使用するもしくは使用できる魔法を網羅的に学ぶに適した学問領域であり、生物学とも親和性の高いものである。しかし、この分類が出来た背景は敵対種族の調査解析が必要とされた時代に、その要請に応える形で発展した学問であり、現在でもそのニーズは消えていない。このまま現代魔法学との統合をすれば、高い確率で差別の増長を齎すと危惧している。ある種族に対しては劣等種族だという間違った心証を強めてしまうだろうし、ある種族に対しては、彼ら独自の魔法の発展過程を知らずに危険分子であると誤認させてしまうだろう。それは現代魔法学を学び教える者として大変不本意であり、ましてや増長させるなどあってはならないと考えている。

 ただし、現代までも根強く残る差別が広い嫌悪に晒される時代が来たならば、種族による分類と現代魔法学の統合についてのみ進めるべきであると考える。何故なら、学問として重なる部分が多く、他種族の魔法を学ぶことは自種族の魔法発展に寄与するだろうと期待するからだ。


 三つ目は、それぞれの分類が同じ基礎を持っていない可能性があるからだ。これを説明するにはまず、魔法の発現過程や用語について知ってもらう必要がある為解説する。

【用語】

 • 【魔法】魔力を使用し万物に変化を与える一連の行為過程とその結果をいう。一般的に使用される場合は結果のみを指す。この定義から行為主体に成り得ない生物以外の"魔法"は正確には特性や特質と呼ばれる。

 • 【魔法の発現】一般的に”魔法”と呼ばれる「魔力を使用し万物に変化を与える一連の行為過程とその結果」のうち特に”その結果”を指し示す言葉である。

 • 【魔力】魔法の源である。大きく3種類あり浮遊魔力、起源魔力、動的魔力がある。

 • 【浮遊魔力】形あるものが持たない魔力のこと。起源魔力と対比して無地の魔力と呼ばれる事がある。

 • 【起源魔力】生物が持つ魔力の基礎となる魔力。固有の魔力。これを基に日々の魔力が生産される。操作可能であるとする学説もあるが、一般的ではない。

 • 【動的魔力】起源魔力を基に生産された魔力。人間が大きく消費する魔力はこれであり、日常生活で最も使用する。操作可能である。

 • 【拡散性】起源魔力、動的魔力は生物が持つ魔力であり、生物は常にその魔力を体外に拡散しているという魔力の性質を表す。拡散している魔力が起源魔力なのか動的魔力なのかについては争いがあるが、動的魔力にのみ拡散性があるとするのが、現在の趨勢である。


 魔法の発現

 魔法の発現過程については大きく3つの理論が提唱されている。

 1. 接続線理論 動的魔力から浮遊魔力へ命令することで魔法を発現させると説明する理論である。この理論では、命令伝達の用具として動的魔力が使用されると考えることから、主体者と浮遊魔力を接続する動的魔力を線に見立て、接続線理論と呼んでいる。動的魔力が魔法の起点の役割を担い、浮遊魔力が終点を担うのが特徴である。

 2. 染色理論 起源魔力と浮遊魔力の2種類の魔力によって説明する理論。まず、主体者の魔力は起源魔力のみであり、その拡散性でもって周囲の浮遊魔力に干渉し、起源魔力と全く同じ魔力に変換することで主体者が操作可能である状態にし、魔法の発現が可能になると説明する。古くから信頼されてきた学説であり、現在の主流とは相容れないが学問の基礎を築いた学説である。この理論は、起源魔力の特別な色が浮遊魔力を染め上げるというイメージから染色理論と名付けられた。浮遊魔力が無地の魔力と呼ばれるようになったのはこの学説が誕生してからである。

 3. 支配権理論 思考や想像を動的魔力を介して浮遊魔力へ伝達する。その際、浮遊魔力の支配を獲得する事で、伝達されたものが魔法の発現となる。浮遊魔力の支配獲得は浮遊魔力の多寡によって難易度が変わり、密閉空間でないならば誰にでも支配が可能である。この理論は、接続線理論の伝達用具としての動的魔力という点において同じであり、また、染色理論の浮遊魔力(染色理論では起源魔力に変換されると説明しているが簡単に説明する為、浮遊魔力としている)の操作可能性という点において同じである。異なる点として、接続線理論は浮遊魔力へ命令すると説明しており、あたかも浮遊魔力に命令を受けられるだけの能力や意思があるかのような点が異なる。浮遊魔力に命令受容能力や意思は無く空気や土と同じく自然界に存在する物質である。染色理論については意図せずともその拡散性によって浮遊魔力を操作可能な状態にする事も許容する理論だが、支配権理論では思考や想像に端を発した意図無くして浮遊魔力の支配を獲得することは不可能であると説明する点が異なる。


 このように、魔法の発現やその過程、各魔力の性質などについても統一された見解がない。それ自体は議論の活発化と新たな視点を生み出すきっかけであるから排除されるべきではないが、未だ基礎の定まらない不安定な学問であるともいえる。さらに、それぞれの分類で上記3つの理論が対立しており統一されていない事がほとんどな為、それら分類を総じて統合するというのは拙速すぎると言わざるを得ない。

 基礎となる理論の問題は過去何十年も議論されてきた事であり、その議論に適切に終止符を打ち統一基礎を持つことが急務であり先決であると考える。


 以上が魔法学統合に反対する理由である。現在学会で採用されている魔法学は統合された魔法学である。ただし、ほとんどの学会員がこの統合に反対の意を示しており、魔法学を学びたいという方に多大なる混乱を齎している事だろう。

 よって、ここからは混乱を避けるため私見を交えずに学会が発表した魔法学についての説明を引用する。


「当学会では上述(本書でも上述した分類の事)したすべての分類の統合が行われ、基礎的理論を染色理論であると決定する。統合に際して、古代魔法学と現代魔法学の2つに各分類を収束させ、この2つを統合するという形を採った。よって現在の現代魔法学とは、魔法学の時代区分による分類の一分野であり、古代魔法学の対照的分野でもある。内容については、現代の人間の魔法や他種族の魔法、各魔法の有機的構造などの調査研究や現代魔法が及ぼす影響についての調査実験等を行う」


 というのが学会の現代魔法学についての説明である。

 本書は学会の説明に沿わず、統合前の現代魔法学について書いており、第一章 第一節 現代魔法学概論の直下に記述した通りの内容を収録している。ここで試験勉強の為に本書を購入された方が驚いたであろうが、安心頂きたい。王立魔法学院入学試験を受ける方にも十分な知識と発想の基礎を齎せるよう制作している為、試験対策に使用することは可能である。


 第二節 基礎理論の歴史とその特徴

書いてて楽しいけど、吐き気がしましたし、疲れました。


なので、続き読みたい等あればリアクションお願いします。Twitterや感想に書き込んで頂きたいです。


書き溜めはないので、続編書くとしても時間掛かるかも。


お読み頂きありがとうございました。

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