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さかさま阿弥陀様

作者: 瀬川なつこ

夢は枯野を駆け巡り

髑髏になっても、人は嗤うのだろうか

人を残忍に殺しても

親や子を殺しても

幽霊は成仏できずに、影法師になって、ほら、あなたの影にひっそりと潜んでいる

蔵の裏の人魚がちゃぷんと水の中で尾を揺らした

美術準備室の開かずの扉

そこが少し開いていて、真っ赤な手がにゅと飛び出ておいでおいでをしていたとか

夕暮れの校庭に転がるボールは寂し気で

教室の染みが人の顔に見えるんです

音楽室でベートーベンが血の涙を零す頃、

たしかにおかしい

なにかがおかしい

鬼やらいを呼ぼう


夢のまにまに

金色の阿弥陀様の夢を見てからというもの、

不思議な事が起こるんです

宝くじが当たったり、財布を拾ったり、

でも、視界の端に、変な黒い人影が見えるんです

その時、気が付きました

あの阿弥陀様、白目と黒目がさかさまだったんです

いい…夢ではなかったんですね


宿場町の、電信柱に貼られたメモに、黒電話で電話すると、

鬼やらいのところに通ぢている

そこのマンホールの中には、鼠の世界が広がっていて、

行くと戻ってこれず、鼠になってしまうらしい

宿場町には色々な不思議がある

あ、片腕が取れた

探しにいかなくちゃ

鬼に喰われる前に


影法師が、けたけたと嗤っている

道路際でけんけんぱをしていました

懐かしさは、郷愁を伴って、どこか遠い昔を、思い出を、思い起こさせる

自転車で、入道雲を追いかける遊び

靴を揃えて道路際に置く遊び

竹馬、けん玉、ベーゴマ

懐古の遊びは、どこか色褪せて、写真の中

あ、今、赤とんぼが飛び立って

シャボン玉が割れた

雷が鳴っている

線路わきのお地蔵様の眼が、雷が鳴るたびに黄色く光っている

お供えの団子が、転がり落ちて、どこかのドッペルゲンガーが、咥えてとんずらだ。

線路沿いには色々あって、

死体が転がっていることがあれば、彼岸花が咲いていることもある。

お地蔵様は、彼岸花に埋もれていて、大層、妖しい


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