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95.魂の戻しかたを聞いてみよう。

やってきました、闘技場へ。


さて第5試合を観戦しようかなと、席へ戻ろうとした時、目を疑う光景に出くわした。


ここは賭け屋、周りでは「俺の全財産が〜」とか「嫁を質に入れてもうひと勝負だ〜」とか定番の嘆き声が聞こえる。


そんな嘆き声の聞こえる場所で、俺がよく知っているあれがあれしている・・・。


あれとは、まぁお察しの通りメイドだけど・・・、まぁこれは100歩ゆづって既定路線だからよしとしよう。


あれしているとは・・・金貸しである・・・。


これは声を大にして、ハッキリ言っておこう悪魔の所業だと。


パチンコ屋の店内に設置してあるATMとは訳が違う、あのメイド達にお金なんか借りた日には人生のすべてを毟られる、間違いなくその全てをだ!


んあ!しまった俺の時間が止まっている間に、豪華な服を着た人がぁぁぁ・・・


そっとラヴィーニャの手が俺の手に・・・


「もう間に合わん・・・そっとしておくのじゃ・・・」と悲しそうなその表情に俺は全てを悟った・・・。


どんよりとした雰囲気の中で、俺は一つだけ伝えておこうと思う・・・


「ご利用は計画的に。」と・・・。


−−−−−−−−−−−−−


さて、第5試合を観戦しよう。


女帝、ダニエラ=フォリフィート。


名 前  ダニエラ=フォリフィート (職業 皇帝)(28歳)

L V  38(25126/38519) 

スキル  剣術Lv7・気配察知Lv4・謀略Lv5・・・・

状態異常 なし


昨日の予選の時の格好は真っ黒な鎧に全身を包んでいたため、顔はまだ見てしていない。なぜ女と分かったのかと言えば胸がイガイガっとしていたからだ。


この世界の高貴な方の胸はそろって大きい・・・


そうなるとジュリアの将来が心配になる、今はまだ少しも成長していない様だが、今後成長してイガイガになった場合俺にどうしろと?


好きな人に揉まれると大きくなるという胸・・・大きくなってしまうと困る俺に出来る事は、そっと見守ることぐらいだ。



感傷に浸っているあいだに、どうやら選手が入場するようで・・・。・・・昨日と同じ格好かよ!


これでは、来た意味が無い・・・。まぁいい、女帝様が勝ってくれれば、俺の金貨が増える、その一点においてのみ興味があるだけで、あとは何も興味が沸かない。



試合は始まった様だが、興味のない俺は会場を見渡す。チバウロさんとギュンターさんが観戦している様だ。


ギュンターさんも女帝と同じ真っ黒な全身鎧に身を包んでいる。その姿をジッと見つめるチバウロさん・・・やはりか・・・。


俺の予感は確信へと変わった・・・。予選の時にも感じたあの違和感、やたらと女性参加者に冷たいあの態度。


そうチバウロさんは・・・敢えて言うまい。


人それぞれ趣味や好みがあるのだからそっと見守ることも大事なことだと思う、俺は心の中でサムズアップし、みんなには内緒にしておくね!と内心で伝えておいた。


そんな俺の優しさが世界へ届いたのか、俺の手持ちの金貨は70枚になっていた。ごめん、鼻血が止まらない・・・。





さて、次に試合はマエリスさんだ、俺の為にも頑張ってもらわねばならないので控室に応援に行こう。



控室には、どうやらマエリスさんとニーナさんしかいないようだ。あとの人はいずこへ?


二人は何か真剣に話をしている、きっと最近のメイド達の忙しそうな様子を見るに、重要な案件が影で動いているのだろう。


なるべく話の邪魔にならないようにと思ったが、どうやら、二人は俺の接近に気付き話を切り上げてくれたみたいだ。


恥ずかしそうに、そっと俺に手を振ってくれるマエリスさん・・・


そんなマエリスさんを見てニーナさんは「ふっ、こんなマエリスを見る日が来るとはな」と嬉しそうにしている。


こんな友情も好いなと少しだけ思った。


そしてマエリスさんに頑張ってと伝え控室を出ようとした時に事件がおこった。


「イ、イ、イ、イ、イオリ君!こ、こ、こ、こ、この試合に勝ったら・・・き、き、き、き、キスして!」


ブホッ!な、なに言ってるんですか?


「ムム、その手があったか!」


悔しそうなラヴィーニャは捨てておいて・・・


「約束してくれるなら私、頑張れるから!」


グハッ、どうしてこうなった?ニヤニヤとニーナさんが見ている・・・


もしここで断れば、マエリスさんは凹みきっと負ける、そしてニーナさんに物理的に〆られる・・・。


しかしここでウンと言ってしまうと、隣にいる肉食獣にもチャンスを与えることになりかねない・・・。


本心はキスぐらい、いやついでにチェリーまで貰ってもらえればと思う。


さらに、周りは俺の事が好きだと言ってくれる可愛い子ばかりでチャンスは無限に広がっている、あとは俺の気持ちしだいなんだよ!


知ってるよそんなことは!


だが俺の中のわだかまりが・・・ぐおぉぉぉーーー早い話がチキンなんだよ俺は!


相手がしたいと言っているならしてあげればいいじゃん!それでみんなハッピーじゃん!そう思うよ!


でも、でも、でも、でも、でも・・・俺は一途な恋がしてみたいんじゃーーー!


ぐおぉぉぉーーー!


俺の口からエクトプラズムが・・・そして首がカックンと・・・こうべを垂れる・・・。


少女と言うには少しばかり○○○の眼に火が灯る、戦いの準備は出来たようだ。


「マエリスが羨ましいよ、頑張ってな恋も戦いも!」




そんな俺の魂が神界へ届いたのか、俺の手持ちの金貨は270枚になっていた。ごめん・・・誰か魂の戻し方教えて・・・。



−−−−−−−−−−−−−−−



場所は変わって獣人の国コツェルン、ラヴィーニャの故郷。


そこで一人の獣人が獣人の国の首都サイナルの中央通りから少し奥まった場所にある小さな家の中にたたずむ。彼の名はギャビン狼の獣人だ。


「久しぶりだな・・・レイラ・・・。」


バツの悪そうな表情になるギャビン。


「ふん、なにしけた顔してんだよ!昔のあんたはもっと・・・」


この二人昔何かあったのか?尚レイアは赤い頭巾をかぶり、柔らかそうで、もちもちとした体つきのウサギの獣人である。


「すまない・・・」


「ふん、なに昔のこと蒸し返してるんだよ!で、どうするんだ?姫さんは無事なのか?」


「あぁそれは問題ない。信用できる者に預けてある。」


「へ〜あんたが姫さんを預けてくるなんてね・・・。あんたも変わったもんだね・・・あの時のあんたにも・・・ふっ、あたいも昔を蒸し返しちまった。」


「すまない・・・・」


狼と山羊の話はどうなるのか?狼とウサギの関係は?気になるところだ。


つづく。




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