91.修行の成果を見てみよう。③
修行も終わりです、ちょっと寄り道のつもりが。
「次はジュリアちゃんどうぞ。」
天から駄神の声が響くと同時に魔物が現れる・・・
真っ赤なドラゴンが!?剣聖さんが相手した奴と同じ奴だ!鋭い目で俺達を睨みつけ「グギュアァァァァァ」と俺達に襲い掛かる!
名 前 レッドドラゴン
L V 50
スキル 火魔法Lv5・ブレスLv5 ・・・・
状態異常 なし
「お兄ちゃん、私の魔法が詠唱終わるまで結界張って持ちこたえてね。」
さらっとそんなことを言うジュリアの指示通り俺は結界でみんなを守る。
「グギュアァァァァァ」と結界を殴りつけ、尻尾を振り回し結界を破壊しようとするドラゴン。魔族10将には破られた結界も魔物相手にならどうにかなるようだ。
「〇〈ΛΘΦδΣγ・・・」日本語ではない謎の言葉を唱え「準備できたよ〜」と可愛く言うジュリアの頭上には可愛くない物が浮かんでいる・・・。
「アイス・ディカピィテェイト!!!!」巨大なドラゴンよりも巨大な氷の刃がドラゴンを襲う。
「グギャァァァ・・・」ドラゴンの叫び声は途中で途絶え緑の血が吹き上がる・・・
その吹き上がった血もドラゴン体も全て氷漬けになり辺りは唯々静寂に包まれる。
ジュリアの魔法によって、ドラゴンは首が斬れたのではなく、開きになっているのだ・・・
干物にすればうまみ成分が増えるのだろうか?
「みなさんを真似してみました。テヘッ」ジュリアは可愛くテヘッと言っているが実際に可愛い。
「「「・・・。」」」
「あぁばば、あばば、あばばばばぁ?」
口を盛大に開きあばば言っているのは、剣聖さんレイリー、マエリスさんの3人だ。
仕方がない俺が通訳しよう、何々、イオリ君にお小遣いをあげるべきだ!うんうんそうかそうか。
「旦那様違うのじゃ!何々、ドラゴンの肉美味しいそうだのぉ」と言っておる!
「次は私ね!何々、・・・」
世界樹さんあなたの参加は認めません!
「なんでよーケチ!」
どうせ、ろくでもないことを言うだけじゃないですか!
「むっ!信用が無い!そんなことないもん!プイッ」
神様がプイッとしていいのか・・・?そもそも何処から声かけてるの?
「そうだったわね、姿は見えてないんだった、あははは。では行きますよ〜、ジュリア、なによ、その魔法ぁ?じゃないかな?」
な、何を言ってるんだこの駄神は?
か、完全に騙された、三人目だから物凄いダメそうなことを、完全なる落ちを言ってくるのかと思わせておいて、まともな事を言うとは!駄神のくせに出来る!
いかん、今はそれどころではなかった。
「せ、世界樹様の言う通りなのじゃが・・・儂・・・自信なくしちゃったかも・・・」
しょんぼりしている剣聖さんの背中に哀愁が漂う。
何でも若い時にレッドドラゴンにコテンパンにやられた雪辱をやっと果たせたそうで・・・
それにしてもジュリアの成長ぶりには目を見張る・・・怒られないように注意しよう。
そして最後となるドラゴン戦は俺なのだが・・・
ラヴィーニャはまだ早いということで無し!俺もついでに無しの方向でよかったのだが・・・
「イオリ君はこの辺りで自分の実力を測っておいた方が良いと思うよ?剣術では絶対に勝てないけど、君なら勝てる相手を用意したから。頑張ってね。」
ちょっとまった〜〜〜〜!今回は剣術の修行なのですが・・・
「あぁそうだったね、忘れてた。でも、ゴメンねもう呼んじゃったから。一発でも攻撃喰らったら死んじゃうかもだから、気を付けて頑張ってね。」
ちょ、ちょっとまった〜 と俺の叫びも空しく巨大なドラゴンが空より舞い降りる。
名 前 エンシエントドラゴン(古代竜)
L V 87
スキル 火魔法Lv8・水魔法Lv8・風魔法Lv8・土魔法Lv8・ブレスLv8 ・・・・
状態異常 なし
真っ黒に光り輝く鱗を全身に纏い、その口には鋭い牙を、鼻先には鋭い角を、指先には鋭い爪を・・・
知力・魔力・力どれをとっても並みの人間では敵わぬ程に強く巨大な躯体に、神にも匹敵するのではと思わせる圧力を感じるさせるドラゴンがそこには佇んでいる。
「ゆ、勇者殿、こいつは少しばかり無理じゃとおもうのじゃが・・・?」
大丈夫です俺もそう思いますから!安心してください!
「ウルリカの奴が呼ぶもんだから飛んできたが、儂に何か用かのぉ?」
しゃしゃしゃべったー。な、なら話もつうじるのか・・・?
俺の剣術の修行の為にお呼びしまして・・・
「ほぉ、坊主がか?そっちの白髪の小僧ではなくてか?」
はい、そうなんですけど・・・
「グファハハハハ、坊主では儂に傷の一つも付けることは出来んぞ、そっちの白髪の小僧なら鱗一枚くらいは斬られてやってもいいぞ。」
そ、そうですよね、あははは。見た目恐いが優しい系か?
「駄龍!喋ってないでとっとと始めろ〜〜〜!どうせ殺しても死なないお前なんかとっとと殺やられちまえばいいのだ〜〜〜!」
「グヌヌ、駄神の癖に言いたい放題言いおってからに・・・お望み通り皆殺しにしてくれるわ!」
グギャァァァァと泣き叫ぶ声だけで木々が吹き飛びそうだ。
駄神め〜〜〜覚えてろよ!
俺は無詠唱で思いつく限りの援護系魔法を唱え自分自身と仲間たちを強化する。その上で仲間達だけ結界の中へ閉じ込め駄龍と呼ばれるドラゴンと対じする。
「イ、イオリ様・・・」泣きそうな声でレイリーが何かを言おうとしているが聞いてあげる余裕が無い。
考えていてもしょうがないので取り敢えず斬ってみるが、傷一つついていない、てか剣が欠けた・・・。
「だから坊主では斬れんと言っておるだろうがぁぁぁぁ」
うまい棒で例えるなら、・・・・どんだけだ?分からないほど太い尻尾で俺を薙ぎ払う・・・
グフッ。
そして吹き飛ばされる・・・。うまい棒で・・・そんな場合ではない。
吹き飛ばされながら、わずかに残った意識で、最上級の回復魔法を掛け回復する・・・
魔王の黒い稲妻よりも攻撃力は低いようなのでどうにか生きてはいるがめちゃくちゃ痛い。
うまい棒1000本は超える尻尾で殴られれば痛いに決まっている。・・・。だが、そろそろうまい棒は卒業しよう。
みんなの悲鳴が聞こえる・・・。
女の子を泣かせるとは・・・怒ったよ俺は、世界樹さんも俺なら勝てると言ってくれているのだからきっと勝てるのだろう。
空間魔法、そう空間を支配する魔法と置き換えて、想像と妄想の間から創造する。
先ずは戦闘空間の把握からだ、マッピングスキルと空間魔法で三次元的に把握し、みんなの状況とドラゴンの状況のを観察。
みんなは大丈夫そうなので結界を強化し、ドラゴンの周りの空間にある空気を圧縮してみる。
俺の想像力により、地球上では出来ない極限まで空気を圧縮することにより膨大な熱が生まれ周りの木々を燃やす、いや溶かす・・・。
が駄龍には利いていない。うがーーーー!失敗かーーー!
ドシン、ドシンと俺に近づきながら特大のブレスを準備している、そして放つ。
そんなの喰らったら死んでしまう!捻じ曲げれるか・・・?
ブレスを空間事捻じ曲げドラゴンの背中に導く・・・グギャァァァァと、泣き叫ぶどうやら自分のブレスは痛いらしいざまみろだ。
魔法やブレスはこれで返せることが分かったので、バッチ来いと思っていたのに、物理的な攻撃に切り替えたようだ。
低空で俺目掛けて飛んでくる、俺をかみ砕こうと飛んでくる。
じゃ今度は空気を固体になるように圧縮し見えない分厚い壁を作り出す。
グシャッと壁にぶち当たり、ば、バカなと地面に落ちる駄龍。
バカはお前だーー!もうこっちはヤケクソなんだよ、出来ても出来なくても一通りやってやる!
次は聖魔法だ、一度試してみたいと思っていたことがあるんだよ、回復や再生に俺の意思を込めて変化させることは出来るのかってことをね。
例えばお前が自分のブレスで負傷した背中の鱗を、俺の好きなモフモフに変えたり・・・。
・・・。もっと意地悪なことにしよう・・・。
例えばお前が自分のブレスで負傷した背中の鱗を、末梢神経繊維に変えてみたり・・・。
「グギャァァァァ、い、痛い!な、なにが・・・。」
何って?風だよ風!もがけばもがくほど痛みが増すぞ、十分にもがけ!
「この儂が痛みを感じるだと・・・!?お、お前、何をした?!」
お前に回復魔法を掛けてやったんだよ!感謝しろ駄龍め!
「回復魔法で痛くなる訳なかろうがーーー!」
何かを叫んでいる様だが、聞こえない!
次は空間を切り取ってやる。ドラゴンの羽根を三次元化した俺のマップで座標を指定し切り取る!そしてシュウの中へポイだ!
グギャァァァァと、泣き叫ぶ・・・鳴き声もマンネリ化か?
「ちょちょっと待て、待ってくれ・・・」
待たん!次は、酸素濃度をめちゃくちゃ濃くしてみよう、どうなるんだ?
空気中の酸素の濃度は大体21%だから100%に変えてみよう・・・。
「ん?待たんと言いながら、頭がスッキリしてきたぞ?」
しまったーあれだアスリートがやってる高濃度酸素のなんかだ・・・いやもっと上げれば確か毒になるはず?
「さらに頭がスッキリしてきたぞ?」
・・・効果が出るまで時間がかかるのか・・・?
じゃ、二酸化炭素100%を目指して・・・今度はどうだ?
・・・。グフッ・・・。あ、泡吹いた!
よし、もう悪さできないよに鱗全部剥いでやる!ドラゴンの表皮を薄っすら包み込むように指定して切り取り!
グガァァァァァーーーー。おっ目が覚めた。真っ裸にしてやったぜ、あははははは。
「グフッ・・・。もう許してくれ・・・これ以上は無理じゃ・・・」
「はい、は〜いストップね。」
まだ早いっす世界樹さん!次は牙を根こそぎ抜いてやろうかと。
「こ、この坊主、あ、悪魔か?おい、ウルリカどうにかしろ!」
「あぁ、私も牙のないドラゴン見たいかも、うふふふふ。」
了解です!どうせ抜いても生えてくるんだろ?ごっそり行かせてもらうからな!
「や、やめて、やめて・・・」
止めん!はい切り取りからのポイ!上顎の骨は残してやるから感謝しろよ!
しかし下顎は骨ごと全部貰うからな俺のベットにしてやるよ!
そして臭かったら返す!プイッ!
「もごもごもごーーー!」
「あはははは、わ、私もそれ使う使わせて〜〜〜あははははは。ヒィッーヒィッーお腹がーーー!」
こうして俺の対ドラゴン戦は幕を閉じた。
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