90.修行の成果を見てみよう。②
修行も終わりです、ちょっと寄り道のつもりが。
「次はレイリーちゃんとマエリスちゃんの二人でどうぞ。」
天から駄神の声が響くと同時に魔物が現れる・・・
緑のドラゴンが!?こいつはでっかいトカゲ?といっても日本には居ないだろうと思う容姿で体長5m程か?
先ほどのレッドドラゴンと大きさは変わらない!
このドラゴンは背中に羽が無いので空を飛ぶことは出来ない様だが、鋭い目で俺達を睨みつけ「グギュアァァァァァ」と俺達に襲い掛かる!
名 前 グリーンドラゴン
L V 38
スキル 風魔法Lv4・ブレスLv4 ・・・・
状態異常 なし
「エルザ!ローザ!行きますよ!」
えっと・・・?誰?どうやら、レイリーさんは剣に名前を付けたようだ・・・。痛い人Lvが上がった様だ・・・。
「ふ、普通ですよ普通!みんなやってますって!」
・・・。誰も目を合わさない・・・どうやら普通ではない様だ。
「わ、儂も名前つけようかな・・・。」
・・・。剣聖さんも名前を付けたいみたいだ・・・ならば剣士の嗜みと言うことにしておこう。
そんなやり取りをドラゴンは待ってはくれない。
マエリスさんがドラゴンの鼻先でチョロチョロ動き回り此方へ意識を向けないようにしてくれている。
「レイリー様お話は済みましたか?・・・。では参りましょう。」
「はい・・・。」
恥ずかしそうに返事をするレイリーさん・・・みんなやっているのに恥ずかしいんだ?自覚有るんだ?
「イオリ君あまりからかっては・・・ポッ」
この二人大丈夫か?ドラゴンのレベルはマエリスさんと同じで、レイリーよりも上だが二人の連携は・・・取れてない!
騎士と暗殺者では戦い方が違うのだから仕方がない部分もあるだろうが、それよりもなによりも、レイリーの双剣の連携が取れていないように感じる。
エルザ?多分最初に買った方の剣は魔剣ではないのでレイリーの言う事を聞いている、当たり前だけど・・・。
一方ローザ?魔剣の方はというと、自由だ・・・レイリー意思とは関係なしにドラゴンに斬りかかっている。
その攻撃がマエリスさんの邪魔になっているようにも見える。
「勇者殿の言う通りですのぉ、しかし勇者殿が言うとなんとも微妙な感じがするもんじゃの・・・」
・・・。ふっ俺もやるときはやるんだよ!やれば出来る子なのだから。
攻撃にしてもそうだが、マエリスさんの短剣とエルザ(呼びたくないが分かりにくいので)ではドラゴンに傷がつくのだが、ローザの自由攻撃はドラゴン鱗に傷をつけることが出来ないようで、単なる邪魔にしかなっていない・・・。
マエリスさんがドラゴンの鼻っ面でヘイトを管理しているのでどうにかなっているそんな印象を受ける。
「キャッ。」
おっとドラゴンの尻尾による薙ぎ払いがレイリーを直撃したようだ・・・俺は急いで回復魔法を掛ける。
「ありがとうございます。イオリ様。」
どうやらまだ戦えそうだ・・・。だがこのままではジリ貧な予感しかしない。
マエリスさんの攻撃は当たる傷もつけれる、だが攻撃が軽いのだ。とてもドラゴンを仕留めることが出来るとは思えない。一方レイリーのいやエルザの攻撃ならいけそうな気はするのだがいかんせローザが・・・。
ドラゴンがイライラしだし口を大きく上げブレスを放とうとしえいる。
マエリスさんの無数の投げナイフがドラゴンの口に吸い込まれるが、剣聖さんの斬撃とは違いブレスが爆発しない。
これはヤバい!俺は結界を瞬時に張りブレスに備える。
そんな状況でもローザは自由だ・・・ドラゴンの口目掛けて斬りかかる。だが相手にされていない様で、ドラゴンも攻撃力の弱い攻撃には目もくれない。
そしてブレスは放たれ、ローザに当たる。剣の持ち主レイリーは結界の中、魔剣は自由に伸縮できるのでドラゴン口付近・・・レイリーはローザを弾かれ落としてしまう・・・。どうやらローザの刀身は砕けている様だ。
レイリーはエルザ1本を構えドラゴンと対じし、マエリスさんのヘイト管理は続く。
ドラゴンの尻尾がまた振り回される「コンサントレイト・ディカピィテェイト!」レイリーさんも出来るの?一瞬だがレイリーの体が大きくなり、エルザも太く長くなったように見える。
緑の太い尻尾の衝撃を殺し更に切断する・・・そんなことが出来るのか・・・?出来るのですね・・・。
「初めて出来ましたーキャッキャウフフ」喜ぶ美少女の隣でビチビチ撥ねる尻尾・・・なんとも絵にならない・・・
それにしても練習してからにしてもらってもいいですか?
レイリーもアホな子なのだろうか心配になる。
尻尾の攻撃を無くしてしまえばあとはどうにかなるだろう。ブレスの対応もレイリーの斬撃で対処できそうだ。
あっちに心配がなくなったので、こっちはこいつに説教をしなくてはなるまい。
おい!駄剣。魔剣やめて駄剣にクラスチェンジか?
プルプルしているから生きてはいるのだろう・・・
お前の自由さは良い時も悪い時もある、それを自分で判断できないのならレイリーから取り上げるぞこの駄剣め!
ローザはプルプルしている。
分かっているのか分かっていないのか・・・?剣に話しかける俺もどうなんだろう・・・?
お前たちは1人と2本で戦うのだろ?なら役割分担をしたほうがいいんじゃないか?
どう見てもエルザの方が攻撃力が高い、ならお前は何をする?レイリーを危険な目に遭わすような攻撃に専念するのか?みんなが戦いやすいように立ち回るのか?
お前みたいな自由な剣はこの世界にもそんなには無いだろう、攻撃することしか出来ない剣ではなく周りを気付かい戦いを管理するそんな剣の方がレイリーは喜ぶと思うけど?・・・チラッ。
ローザはプルプルしている。
そしてチリジリになった破片が集まり1本の剣になる・・・。その中の一つの破片は俺をつんつんする・・・痛いよ!
レイリーに投げろって事ね、ハイハイ分かりましたよ。
レイリー!こいつ返すよ!
「ありがとうございます。イオリ様。」
魔剣は鞘へ戻り、こっそり鯉口から顔を出し戦いに参加するようだ。
刃の破片をドラゴンの嫌がる場所へ飛ばしマエリスさんの代りをする。
レイリーもマエリスさんも止めを刺す準備に入っる。
シュッと2つの音が重なりドラゴンの首が斬れる。
切断とまでは行かないが半分以上切れている。
ドラゴンは最後の力を振り絞りブレスを放とうとしているが、魔剣ローザがドラゴンの集中力を乱すために目や鼻の中など弱い部分を破片で切り裂く。
「グギュアァァァァァ」と痛そうにもがいて顔を手で押さえているが口の中のブレスはいいのだろうか?
そんな隙を見逃してくれる優しい人はここには居ない、シュッと2つの音が重なりドラゴンの首が宙を舞う。今度は斬れたようだ。
そしてレイリーとマエリスさんの対ドラゴン戦は終結した。
どうやら、レイリーは剣聖さんに怒られている様で、まぁ当然でだ。自分の剣にいいように振り回されていたのだから・・・。
これで1人と2本の関係がどうなるかはアイツら次第ということで帰ろう!
「あはは、油断も隙もあったもんじゃないね、イオリ君まだ早いよ!」
クッ回り込まれたか、この流れならいけると思ったのに!さすがは神!しかし、おかしい俺の行動パターンが読まれているような気がする!?
「いやいや、イオリ君毎回嫌なことがあるとスグに帰ろうとするから・・・。」
な、なんだってー!?そうだったのか?人に言われないと分からない行動パターンがあったとは、なにか新しい手を考えなくては・・・。
「のぉ?旦那様ドラゴンの肉は美味しいのかのぉ?ジュル。ジュル。」
この食いしん坊もどうにかしなくては・・・。
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