76.宴会を振り返ってみよう。
アレフシアに戻ってみました。
昨日は結局遅くまでドワーフ達に絡まれ続けたので屋敷で休むことにしたのだが・・・
剣聖さんを牢屋で寝かすわけにはいかないので、急遽メイド達の部屋を使えるようにしたらしいが・・・
なら俺の部屋も・・・ダメ?そうですか・・・。
「勇者殿の屋敷で、勇者殿は牢屋で寝泊まり・・・?それを全員が納得していると・・・?」
剣聖さんの混乱度合いが増しているようだが気にしない。これがこの屋敷の平常運転のなのだから。
ここで昨日の宴会での出来事をおさらいしておこう。
一応鎧は受け取ったけど、何の革だよこれ?としつこく聞かれたので変態の革ですと答えておいた。
そして火魔法が使えるようになる指輪、知力Upのイヤリングは交渉の末、快く受け取ることが出来た。まぁ宴会のお酒以外に更にお酒渡したし十分だろう。
尚、イヤリングはジュリアが装備している。俺ではない、これは重要!
滋養強壮Upと精力Upアイテムはメイド達が買って行ったらしい。ドゥリンさんも涙目になっていたのできっと良い取引だったのだろう。俺の知ったことではないが。
なんでも子供がいない貴族へ貸し出して一儲けするとかなんとか・・・その手があったかと俺も悔やんだものです。
一方、剣聖さんとドワーフの間でも何かあった様だ。
「おい、爺さん!あんた神裸のあんちゃんの知り合いかい?」
「神裸とは誰を指すのか分からぬが多分そうだ。」
「おいおい、神裸のあんちゃんを知らないとは、そりゃドワーフに馴染めて無いわけだ。」
「ドワーフの中では神裸と呼ばれているのか、勇者殿は?」
「そうだよ!この大陸中のドワーフが知ってると思ってもらっていい!だがな神裸のあんちゃんは何故か鍛冶工房に興味を示さないんだよ!何故なんだよ!」
「そうなのか?それにしては立派な剣を持っている様じゃが?」
「あれは、国王から授かった物だからな。俺達の物じゃない!だからよ、爺さんのその剣をちょこっと調整してやるから神裸のあんちゃんに鍛冶工房へ来てくれるように頼んでくれないか?」
「この剣をか?もうこれ以上は無いと思うのじゃが?」
「おい、おい、爺さん凄腕の剣士だろ?それなのに気付いてないのか?それを打ったドーワフ全力で打ってないぜ!だから儂が調整してやると言ってるんだよ。だから頼むよ爺さん!」
「そうなのか、あのドワーフめ、やはり嘘ついておったか!」
「がははは、そりゃそうよ!ちょっとやそこらじゃ中々俺達の信用は得られないぜ!だが儂は全力で調整するぞ!神裸のあんちゃんを呼ぶためならな!どうだ頼めるか?」
「勇者殿はそれほどなのか?」
「そりゃそうよ!俺達の体を流れる酒を惜しみなく出し、更に飲んだことない美味い酒を次から次へと、そして極めつけがあの芸よ!俺達の芸の遥か彼方上を行っている大盛り上がりよ!」
「ムムム、やはりあの芸が必要なのか・・・儂には出来ん・・・」
「なぁ爺さんいいだろ?俺達可愛そうな鍛冶工房の為に頼まれてくれよ!」
「うむ、わかったドワーフの本気とやらが気になるし頼むとしよう。」
「よし!さすが凄腕の剣士は言うことが違うな!俺が責任をもって調整するから楽しみにしていていいぞ!がははは、これで神裸のあんちゃんが来てくれるぞ!」
「まさかこの歳になってもまだ、ドワーフの本気を見たことがなかったとは情けない話じゃ。だがやはり勇者殿は面白い!ますます興味が沸くのぉ。」
「調整は2・3日かかるから、出来たらあのメイド達に伝えておくぜ!よし爺さん!話はおしまいだ、ここから本気を出して盛り上がるぞ〜〜〜〜!!!!」
「儂も芸の練習しようかな・・・。」
こんな感じの出来事があったとかなかったとか・・・
剣聖さん芸は憶えない方が良いと思いますけどね・・・
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さて、王妃様に呼ばれています、王宮へ・・・。
行きたくないでゴザル。恐い人たちが身近に居るので行きたくないでゴザル。
この思いをメイド達に伝えたが・・・拒否できると思っているのか?と普通に返された・・・。
こっちだって拒否できるとは思ってないよ!もしかしたらって思っただけだよ!
もういいからな、知らないからな!騎士団へレイリーと剣聖さんを派遣するからな!どうなっても知らないからな!
「どうぞ、私達には関係の無いことなので。」
グヌヌ、やはり独立した部隊だったか。仲間意識が微塵もない!
仕方がない王宮へ向かおう・・・。
玄関を出る前に、そいえばレイリーやジュリアの親への報告してなかったと思ったがもうみんな知ってるよね?
挨拶は本当に結婚する直前に行こう、もうそれでいいや!と娘を持つ父親が聞いたら殴られそうなゲスいことを考えて玄関を出る。
・・・。襲撃は無かったようだ。よし!今日も平和でいい天気!
王宮へ向かう徒歩で、近いしいいよね?
渋い顔をメイドがしているので馬車で行こう。徒歩のが遅いから少しでも時間が稼げればと思っただけです、ごめんなさい。
さて王宮へ来たのだが、どうやら早く着きすぎたようだ。王妃様の準備が出来ていないようなので、宣言通り訓練所へ向かう。
「レ、レイリーさん何しに来たのかな?」
ディランさんのが上司のはずなのに何故か丁寧語だ?
「今日は剣聖様をお連れしました!」
にっこりと笑う剣聖さんと剣姫。
「け、剣聖様だと!?本当か!」
「はい、此方が剣聖様です。稽古をつけて貰いましたが大変ためになりました。」
にこにこ〜と笑うレイリーさんに対し青い顔になる騎士団の方々。
「今日は剣聖様が稽古を見てくださるという事なので、皆さん張り切って行きましょう!」
「レイリーさんは張り切らない方向でお願いします!」
騎士たちの心の叫びが聞こえるがレイリーには届かない様だ。
一方ジュリアの方はというと、イヴィアンがあばあば言っている?
毎度お馴染みのどうなっているんだ?攻撃をくらっているジュリアはにこにこ受け答えをしている。
うん、うん、ジュリアは頑張っているからね、もっと褒めてあげて、うん、うん。
騎士団の方々も疲れたようだし今日はもういいかな?
俺の用事も終わったことだし帰ろう!
「ジィー」
目の前に来て「ジィー」っていうのやめてもらっていいですか?
分かってますよ!行けばいいんでしょ行けば!




