60.とにかく混乱してみよう。
神界へ、行けません?
エリクシア様に会いに行こうと思って、像の前で祈るが神界へ行けない・・・?
さては話したくないことがあるんだな?
「ドキッ!」
どうせ、魔王は私の双子の姉妹なんです的な話なんだろう?
「ブッポーン!」
聞き慣れない音?
「不正解のブッブーと正解のピンポーンを合わせた結果こうなりました。半分正解で半分ハズレです、残念でしたー。なので神界へは来れません。」
こんな会話をしているのに何を言っているんだ?若干の苛立ちを覚えた俺はエリクシア様の像のほっぺを摘まんでみた。
「い、いた、痛い、ごめんなさい。」
どうやら、願いは届くようだ。
神界へ着いた俺はまじまじとエリクシア様の顔を見る、若干ほほが赤くなっているが今回は少し置いておこう。また取りにと戻ればいいのだから。
やはり魔王と瓜二つだ。
「神界にはね、兄弟姉妹と言う考え方はないの、確かにあの子と私は同じ時に誕生したけど、只それだけなのそれ以上でもそれ以下でもないの。」
でも、エリクシア様は情が湧いてると、相手は何もないと、こんな感じですかね?
「ドキッ!」
ドキッじゃなくて、今回は正解ですよね?
「ブッピーン!」
もうなんの事かわからないですよ、それ・・・
「大丈夫です、私もよく分からないので・・・あなた達勇者も大切だし、あの子の事も大切なの。だから、私にも分からないの・・・」
はぁー。俺は一つため息をした。取り敢えず今のままでは殺されるだけなので、先ずはもっと強くなります。
そして、まとめて全部どうにか出来るように頑張りますから、エリクシア様は心配しないでいいですよ。
だ・か・ら・思い切ってお願いしてみよう!!!
でも、多分?また襲撃があると思います、今回みたいに次も生き残れるかはわかりませんよ?
なので空間魔法がほしいなー、チラッ。手っ取り早く移動できると、俺の成長も早そうだな、チラッ。どうにかならないかなー?次は死んじゃうかもー、チラッ。
「あなたにばかりスキルを与える事は出来ません。」
えーもう一つくれるって言っていたじゃないですか?
「あれば攻撃スキル限定の話です!だからセーフなのです。他の神に見つかると色々と有るんです。」
じゃぁ見つからなければいいの?なら今は二人きりだから、チャンスなんじゃ?
「ダメダメ、私たち神に隠し事できると思うのですか?誰が見ているか分からないの、例えば今だと・・・あなた達の言うところの世界樹とか・・・」
あの神か・・・もしもーし世界樹さん?内緒に出来ませんか?
「いいよ、内緒にしてあげる。」
かるっ!こんなに軽くて良いのか神?
「どうせなら私からあげようか?」
えっ?
「えっ?それはダメ!」
「何でー?いいじゃんいいじゃん、私もイオリ君に係わっておいた方が良いような気がするから、いいじゃん。」
「ダメーあなたが係わるとろくなことにならないから、ダメー!」
「でも、イオリ君は欲しいんでしょ?ならいいじゃんかー。」
これが神様の会話なのか?小学生並の会話である。
「いいじゃんいいじゃん、もう強行手段でスキル渡しちゃうもんね!」
「ダメー!やめてー!」
どうしてそんなに嫌がるのかな?理由が不明である。
「この子はね、何でもやり過ぎるの、だからダメなの!」
疑問符を頭に浮かべる俺と、ぶつぶつ怒るエリクシア様を尻目に、俺の唇に何やら柔らかい物が当たった?目の前には世界樹さんの顔が物凄く近くに・・・俺は何をされているんだ?俺の頭は必死に考える。
キィ、キィ、キィ・・・お猿さんになってしまったエリクシア様が俺達に稲妻を落とすが、世界樹さんは被害なし!俺は黒焦げ・・・
前にも言ったけど、俺は無実だ!
俺の理解の範囲を越えた出来事に思考が停止している。俺は混乱Lv1になった。
唇から柔らかい物が離れていく・・・そこでやっと理解が追い付いた、どうやら、キ、キ、キスされてしまったらしい。
あぁーあのキスですか、天婦羅にすると美味しいよね。違う違う違ーう!幼少のころ、母や姉とした以来の、実質初めてのチューをしてしまったのだ。
この同様の童謡読んで動揺するなんてどうよ?訳が分からない!俺は何を言っているんだ?頭を抱えて悶える俺は混乱Lv2になった。世界樹さんはスキルちゃんと渡せたか確認してみてねと悪気も無さそうに、にこやかに言う。
自分を神眼で見てみると、確かに空間魔法が増えている。LvMAXで。これで転移ができる、やったーと喜んで・・・喜ぶのは抑えて・・・
俺達を見るエリクシア様の顔が、驚き、照れ、怒り、無の四段階変化をしたようだ。
世界樹さんは、お腹を抱えて笑っているが、俺の顔はきっと青くなっていることだろう。
女の人の無の表情、これは何があってもさせてはならない、多分日本国憲法にも載っているに違いない案件なのだから。
俺は命の危機を感じ、世界樹さんの腕をとり、エリクシア様の前に連れていく、謝るために。
エリクシア様の顔が、無から般若に変わる・・・5段階変化とは、この世界の終わりを感じる。
「そんなにその子が良いのかな?腕を組んじゃって見せつけてくれるわね・・・」
ぶちギレのエリクシア様。ひたすら謝り誤解をとこうとする俺。大爆笑の世界樹さん・・・もう収集が着かない。俺の混乱レベルはついに最大値になった。
俺の脳は限界を越え、煙が出始めた。
俺はエリクシア様の肩を掴み、エリクシア様もスキルをくださいと言ってチューとキスをした。
驚き→やるね→大爆笑の神
般若→驚き→照れの神
混乱→混乱→混乱の人
みんな、深呼吸をして落ち着こう。
大爆笑の神、テレテレモジモジの神、混乱中の人。
深呼吸をした結果・・・何も変わっていない・・・何故だ?
どうやら、スキルの譲渡は体のどこかを触っていれば良いらしく、わざわざ、チューっとする必要はない!と・・・
知らなくてごめんなさい、生まれてきてごめんなさい・・・
今だ混乱から立ち直れない俺はオロオロしている。
そんな俺を見かねたエリクシア様が落ち着くようにそっと抱き締めてくれた。スーハースーハーとエリクシア様の香りと共に深呼吸して落ち着く。
大爆笑の神、ドキドキの神、ドキドキの人。どうやら、皆落ち着いたようなので?、話を進めよう。
世界樹さんは、笑いすぎてお腹がお腹が痛い、さては二人で私を殺すきだなと涙を流し訳の分からない事を言ってのた打ち回っている。
よくよく考えるとそこまで笑える要素はないような気がするが、笑いのツボは人それぞれだから仕方ないかな?
「次に会ったときにもスキルをあげるね」、チュッと唇に手を当て俺に投げるが、俺は全力で避けた、隣にいる神が怖いからね。
それが面白かったのか?お腹を抱えながら、
「これ以上ここに居ると本当に腹筋が崩壊しそうだからまた来るね」と言って去っていた。
残された俺と、エリクシア様はその様子を呆然と見ることしか出来なかった。
エリクシア様は、あの子はもーっとプリプリしているが何だか楽しそうだ。そして、モジモジしながら、
「イオリ、チューしたからって特別扱いはしないからね!」
はい!了解であります!と言っても、元々特別扱いをされているみたいなので・・・
さて、今回の事を振り返りまとめてみよう。
今回は二人の女神とキスをした!
だけでしたっけ?
悶々とする気持ちを抑える方法は無いかな?と考えながら戻ることにした。




