54.勇者の本気を見てみよう。
出発しました、隣国へ。
王都を出て街道を進む。ドナドナと・・・売られるわけではないが。
隣国との国境にある関所まではだいたい一週間、二日に一回程の割合で何処かの街か村に泊まれるように配置されているらしいので、夜営必須だ。
王都から離れれば離れるほど、盗賊、山賊の類いが出やすくなり危険も一杯らしい。
そんなことなら護衛依頼を受けて進もう見たいな話も出たが、俺たちが護衛されている身なのに何言っているの?的な目でメイド達に見られたので挫折した。
俺だってその辺の商人よりは強いと思うけど・・・まぁ護衛対象が増えると面倒臭いよね・・・
そんなこんなで俺達だけの旅路となる。
そこで気になるのが獣人の二人の御者なのだが、俺の頭はモヤモヤとしている。
はっきり言って可愛いのである。もふもふしたいのだ、だが何かが俺を止める。
そんな俺の事が気になるのか、俺達の馬車を運転する御者が此方を伺う。
「お兄ちゃん、この間はありがとう。僕は僕達はお兄ちゃんのために頑張るからね!」
なんだってーーー!ここへ来て僕っ子だとーーー!やはり異世界奥が深い!
この見た目で僕っ子とは完璧であります隊長!
俺のハートは撃ち抜かれたよ完全に!
後ろでため息が聞こえるがそんなものは聞こえない!
この子達は、どうやら俺に感謝しているみたいなので紳士的に対応しなくては!俺は紳士になる!
旅は長い仲良くなりもふもふを・・・俺は下心満載で、しかし下心を隠しながら紳士的に接する。
またまた後ろでため息が聞こえるが、やっぱり聞こえない!
王都を出て二時間くらいか、俺のお尻にもう一つ割れ目ができそうなくらいお尻が痛くなったころ、それはおこった!
僕っ子がお兄ちゃんになら全てを捧げる覚悟があると仰るのです・・・
ズキューーーン!!俺のハートは何かに撃ち抜かれた!
ラヴィーニャにはない、慎ましさがこの子にはあるのだ!これは大変だ大変だよお母さん!?
ん?お母さんに言うものなのか?お姉ちゃん!違うな?お父さん・・・?
俺もついに卒業できるよお爺ちゃん!今会いに行くよ!
いか〜〜〜〜ん、会いに行ったら死んでしまう・・・。激しく動揺し思考が定まらない・・・
「僕達は完全に工事が終わっているから、心も体も女の子だから、ぽっ・・・」
工事が?終わっている?
工事が?終わっている?
はい!もう一度!
工事が?終わっている?
点と点が線になり、線と線が・・・全てが繋がり全てが思い出される・・・
後からあぁーあと聞こえるが、やっぱり聞こえない。
余りの衝撃で目眩が・・・そして目の前が真っ暗に・・・
しかし俺は勇者!この世に五人もいる勇者なのだ、こんなことで心は折れない!?
俺の混乱する心は自衛からか訳の分からない凄まじい力を発揮する。
俺はこの世界に来て初めて本気になったのだーーー!心が勝手に。
勇者なら誰でも持っている、ご都合主義や、奇跡の出会い、運命を変える力、ありとあらゆる勇者の力を駆使し記憶を改ざんする!
そうこの力を発揮すれば魔王も倒せそうな力を記憶の改ざんのみに使う贅沢な使い方!
自分の都合の良い記憶に書き換える悪魔の所業!こんなことで良いのか勇者?大丈夫か勇者?
・・・てな具合で一人で盛り上がっているのでしょう。きっと。
分かります、私もそう思います。実際何も起きてないし、何も使ってないし、何も考えてませんよ、だって勇者だから。
そして復活する。
「ごめん君達の気持ちは嬉しいけど俺には心に決めた人がいや神が居るんだ、だからその気持ちには答えれない。でも好きでいてくれてありがとう。」
なんてことでしょうー勇者が記憶を改ざんした気になり気持ち悪いことを言い出しました、記憶の改ざんした気になる前ならあり得ない発言ですね。気持ち悪いですねー。
どのような都合の良い記憶の改ざんをしたと思いますか?
そうですねぇー、多分ですが奴隷商で買った時から女の子だったと言ったところでしょうか?
私はもう一歩踏み込んで、街中でカッコよく助けた的な話に変えてしまっていると思います。
なるほど確かにこの勇者ならあり得ますねー。
では答えを聞いてみましょう・・・か?
いえ別に興味ないです。
あっ!私もです。
意見があったところで、そろそろ一発突っ込んでおきますか?
そうですねそろそろ長くなったのでもういいかと・・・
では、ご一緒に、「「えいっ!!」」
勇者は寝込むことに成功した・・・
今回の解説はメイドAとメイドCでしたありがとうございます。
旅は始まったばかりだ・・・




