43.妖精に出会ってみよう。
やってまいりました、大森林へ。
ガスパールを倒したあと王宮は大騒ぎ、ディランさんがお怒りモードで近衛兵や警備兵を叱りまくっていたので、そそくさと退散したのだ。
ほんとどうやって王宮に侵入したのだろう?もしかしたら凄い強敵だったのかもしれない・・・頭が良ければの話だが・・・
逆にあまりに害が無さ過ぎて盲点だったのかもしれないな。
まぁ、王宮の警備はメイド達に任せておけば問題ない、王様や王妃様には近づけないだろう。
俺にはあんなアホの事を考えるよりも、もっと重要なことがあるのだ!そうカカオ探し!
昨日は強敵と書いて友と呼んでいたが、一日たてばただのアホへランクダウンだ。
そしてやってきました元ゴブリンの集落へ。名前が面倒臭いのでもっといい名前ないかな?
う〜ん・・・・! ゴブリンの村だから、ゴブソンでいいや。
ゴブソンまでの道のりはいたって普通・・・ゴブリンやオークも出てきたが、俺の剣技の前では手も足も出なかった。
ふふふ、ついに俺も強くなれたか。
「今までも、普通に勝ってましたよね?」
レイリーさんこういう時はそっとスルーしておくものだよ・・・
道中、「カカオ〜カカオ〜」と言いながら進んだがカカオの木は見つからなかった。呼べば見つかるなら苦労しないよね・・・あはは
ゴブソンに到着した俺はメイド達に言われ木材を収納空間から取り出し並べた。
メイド達は木材を持って、ゴブリンの住んでいた小屋を修復し始める・・・なんでも出来るんですね。
あっちの方では土魔法で家の基礎風のものを作っている。魔法があるって凄いね、一瞬で基礎ができてしまう。
こいつら本当にここを村にするつもりか?ここに村ができれば遠征時も楽になる。初めてメイド達を尊敬した。
のもつかの間、「遊んでないで早く結界を張れ!」と怒られたので尊敬するのをやめ結界を張った。
俺の結界ありきかよ! なになに、普段も結界を張っているけど結界を張るのに人数が必要になるから、ここへ来た時くらい働けとおっしゃる?
「普段もこき使われてるわ!お・ま・え・ら・に・な!」
「あ゛ぁ?」
「ごめんなさい・・・」
何でこいつらこんなに怖いんだよ!見た目良いのに・・・チョコレート作ってもあげないからな!ふんっだ!
メイド達の相手をしていると俺だけ疲れるので、俺達は大森林の奥に探索へと向かった。
もう昼を過ぎていたのでたいして奥へは進めないと思うが、取り合えず進むことにした。俺達四人は、いや違った、俺だけ「カカオー」と言いながら奥へ進んだ。
一時間ほどの歩いたか?カカオーと呼んだ時に返事が帰ってきた。
「ん?何か用?」
返事が返って来るとは思ってもいなかった俺達は声のする方を向いた!何もいなかった・・・
「「「「あれ?声したよね・・・?」」」」
俺達は辺りをキョロキョロしたが何も見当たらない。強いていうなれば、木がある。森だからね。
お化けのたぐいかと、ビクビクし始めた俺達。お化けは皆恐いので引き返そうということになり、ゴブソンへ引き返す。
帰りも「カカオー」と言いながら帰るが、一回目の「カカオー」で異変が起こった。
俺の頭に衝撃が走った!目の前にはアニメ風の星が出ている。
「イテッ」いて、ではなく、「いつった!」だ。俺でなければ耐えきれない衝撃だろう。
普段から頭を踏まれたり、はたかれたり叩かれたり、壁にぶつけたり?なんで壁にぶつけてるんだ?したりして鍛えている俺だから耐えられるその衝撃!その衝撃のしたほうを見るとそこにはあの赤い箱に書かれている実が落ちていた。
ついに見つけた!そう思ったのもつかの間、
「ねぇーねぇー、さっきから私を読んでおいて、無視しないで!」
やや怒ったような感じの声が聞こえる。
先ほどの声と同じ声が聞こえる、しかし誰も居ない・・・
キョロキョロと辺りを見渡すが見つからない。
そしてまた衝撃が、俺を振り向かせる為だけでいいはずだから、字の大きさで言えば、6くらいの大きさで「コンッ」っと可愛くでいいのに、72ほどの大きさで「ゴンッ」なのだ衝撃の違いがよくわかるだろう。
衝撃のあった方を振り返ると、また赤い箱のチョコレートに書いてある実が落ちていた。
「ねぇー、だからこっちだってば!」
先ほどとは衝撃が来た方が違う・・・こっちとは?どっち?そっち?あっち?キョロキョロする・・・
「もぅ、仕方ない子たちね。」
そう言いながら、緑の髪の、スラっとした(主に胸が)美少女が木の中から現れた・・・・
まず、突っ込んでおこう「木の中に居るのがわかるかぁぁぁぁぁ!」
よし、これで落ち着いた。
「それもそうね、人間にはわからないわよね。あははは」
えっと、俺ぶつけられ損では・・・?
「俺の頭にガンガンぶつける、あなたは?」
「私は木の妖精、ドリアード。そういうあなたは?」
「俺は、この世界に移転してきたイオリ、独身です。職業は勇者で、年収は・・・言いたくありません!」
「私はレイリー=エドワーズ、イオリ様の従者です。」
「私はジュリア=オリムカル、同じくお兄ちゃんの従者だよ。」
「これはこれは、木の妖精様、わらはは、獣人の国の姫ラヴィーニャだ、よろしく頼む。尚、イオリの嫁なのじゃ!」
皆それぞれ自己紹介をした。
「い、いえ、年収は聞いてませんし、既婚なのか独身なのか・・・?そんなことより、あなたたちは何故私を呼んでいたのですか?」
「カカオとは呼んでましたけどあなたのことは呼んでないのですが?」
「えっとね、私の名前はドリアード、カカオ=ドリアード。わかったかしら?」
わかったけど、なにか腑に落ちない・・・
ドリアードと話してわかったことは、森を管理していて、ある一定の範囲ごとに木の妖精は何人もいる事。
そして重要なのが、名前も知らない木・で・す・か・らを、名前を知ってる木に変えることが出るのだそうだ。
簡単に言うと、その辺の木をカカオの木に変えることが出来るそうだ。
へーと聞いていたが、今回の目的はカカオの実の大量ゲットとできれば木を丸ごと持って帰りたいことをドリアードに伝える。
「実も木も持って行っていいけど条件があるわ。あなた達がゴブリンの村で食べている美味しそうな物を私にもくれないかしら?」
そんなことで良いのなら喜んで!
唐揚げと、トンカツをだして食べてもらった・・・
「パクッ・・・」
見守る俺達。
「あ、あ、あ、あっついわ!燃えるわ!火事になるわ!」
口をハフハフさせながらドリアードは、
「私が火事になったら森がね・・・ぶつぶつくどくど・・・」
俺達はしばらくの間お説教された・・・
「違う!違うわ!もっと可愛らしい食べ物食べてたでしょ?」
あぁ納得、お菓子系の事か。さっき俺の頭にぶつけてきた実を《望んだ料理を作る》を使ってチョコレートに変え渡した。
「あなたねぇーこの実、苦いって知ってる?私をバカにしてるでしょ?」
急に怒り出したドリアードだが、俺はまぁまぁ騙されたと思って食べてみてと進める。
レイリー達は何も言わずに食べ続けている、口の周りも手もチョコレートまみれだ・・・それでいいのか乙女たちよ?
「嘘だったら許さないからねっ!・・・・ぱくっ」
しばらく考え、決心がついたのかぱくっと口に入れた。
「う〜う〜う〜」
唸っている。どっちなんだ?美味しいのか?不味いのか?
「あ、あ、あ、ああなたに私の管理している森の全てあげるは、だからこれもっと食べたい!」
何を言っているんだこの妖精は?取り合えず正気に戻すためにカカオの実をぶつけてみた。
「いったいわね!・・・・はっ?私変なこと言った?」
正気に戻ったドリアードは恥ずかしそうにしているが、口の周りがチョコレートだ。
「わかったは、私があなた達に付いて行きます。」
何言ってるんだ、この妖精?
「えっと・・・?」
「木があれば私はその木へ移動することが出来るからねっ。ちょうどあそこの国は私の管轄だからね。」
「えっと・・・?」
「だから、あなたの家に木があればそれをカカオの木に変えてあげるって言ってるの!わかった!?」
「えっ・・・そんなことまでしてくれるの?」
「ええ・・・その代りチョコよろしくね。」
そんなことでいいなら、何時でも何処でも誰とでも!
そして俺達は今回の目的だったカカオを手に入れゴブソンに戻った。
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