25.説明会をしてみよう。
もどってまいりました、俺の屋敷へ。
今日も疲れたなーと部屋で寝ころんでいた、座る物がないからね!
そう言えば次の休日っていつなのかわからないのでメイドさんに聞いてみた・・・
「明日ですが・・・」
驚愕だ!えっそうなの?曜日の感覚が全くなかった・・・ごめんなさい。ミミーさんメアリーさん。
そりゃ怒るわ、昨日急に言われて明日って準備期間一日かよ!
今晩の夕食にもお菓子追加して機嫌を取ろう・・・
結局、奴隷商にも行けなかったし、家具は届かないし、やることが一杯だ・・・
明日は・・・行けないな。明後日行こう、家具も、奴隷商も全部まとめてスッキリしに行こう!
いかんいかん、行く日を決めちゃうと結局行けなくなるから、いつか行こうにしておこう、五日以降・・・
いやいや流石に遠すぎでしょ、近いうちに行こう。
そして就寝した。
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翌朝俺は叩き起こされた。否、正確には転がり起された。
起きろ起きろと蹴られ転がされ壁にぶつけられ・・・寝袋だからってそれは無いでしょ・・・
今日はオメカシして行くから早く起きろって言っただろうがって?記憶にご・・・ごはぁ
か、顔はやめて・・・
今日のメイド様は朝から機嫌が悪い・・・
時間がないから早く着替えて朝食を食べろって、めちゃくちゃ怖い顔で言われた。
いつもより朝早いよね・・・
「いきなり殴らなくても・・・ブツブツ・・・」
「あ゛っ?」
「す、すみませんでした、すぐ着替えます、今すぐやります。」
何処から声を出したんだかわからない低い声で威嚇しないで・・・
本当に今日のメイド様は朝から機嫌が悪い・・・し、恐い・・・
モーニングと言われる服に着替え・・・一人で着れなかったのでメイド様に手伝ってもらい着替えた。
そして食堂に向かった。何だよこの服動きづらい・・・
「今日は誰かのせいで、王宮で催し物を行いますので普段の恰好では王宮に入れません。」
「・・・すみません。」
「チッ・・・!」
えっと・・・帰りたいです・・・ここが帰る場所ですが・・・
何なんだよこの世界のメイドは!俺の周りのメイドには夢も希望もなさすぎる!
これならそこら辺のメイドカフェの方がよっぽどか夢があるわ!
ヒンヤリした雰囲気で食堂へ入ると、レイリーもジュリアも綺麗なドレスに身を包み食事をしていた。
俺に気づき二人は立ち上がりドレス姿を披露し、どうですか?と尋ねてきた。
レイリーは膝から裾にかけてギャザーやフレアが入った薄いピンクのマーメイドドレス。
ひざまでは身体に沿っていて、裾が広がった人魚の尾びれのようなスタイルで、大人っぽいドレスを着ていた。
ジュリアはレース生地には花柄刺繍があり 、シンプルでフォーマルさを呈しながら可愛さを失わない、可愛い赤のプリンセスドレスだ。
赤い髪とお揃いだ。
これはヤバい、二人とも凄く可愛い、なんだこりゃーって叫んでしまう。
「二人とも可愛いよ・・・」
こんなこと言ったことがない俺の顔は真っ赤なんだろう、顔が熱い。
二人も何となく顔が赤くなっているが、喜んでいるみたいだ。
メイドに恐怖攻撃を喰らい精神が疲弊した俺には素晴らしい回復薬になった。
たまにはこういったオメカシも悪くないかもと思っていたら、メイド達から冷たい視線が降り注いだ・・・
レイリー様とジュリア様はいいがお前はダメだってね。
世の中俺中心に回らないかな・・・そんなことを思いながらそっと涙を拭いた・・・
朝食を食べ終わり、食堂でお茶をしていたら、準備ができたので出発しますと言われ玄関へ行った。
えっ馬車ですよね?こんな馬車どこから持ってきたんですか?
歩いて行く気かと頭を叩かれた・・・いつも歩いて行ってるのに・・・
今日は普段とは違うと何度も言わせるなと怒られた・・・馬車へ乗り込み・・・怒られた・・・
女性をエスコートしろと、やったことないです。すみません。
そもそもエスコートってなんだよ?16年生きてきて初めてやれって言われたわ!
そんなもんできるかー!
苦笑いのレイリーとジュリア、今日は女難それもメイド難の日だな・・・
馬車に揺られてドナドナ・・・
結構揺れるな馬車って、初めて乗ったが・・・
・・・ウソついたメリーゴーランドの馬車に乗ったことがあった、お母さんと・・・
そして王宮へ着いた。
凄い人だかりだった、商人、護衛、従者・・・こんな大ごとなの?
おっあそこに筋肉なのか人なのかわからないギルドマスターがいる。遠くからでも目立つ。
王宮が広いと言ってもこんなに沢山の人が入れる部屋はないそうなので、中庭に舞台が設置してあるそうだ。
さすがメイドさん達である、ぬかりがない。
俺達は王宮内に通され、王妃様の部屋へ呼ばれた。
王妃様の部屋では、怒られた・・・知ってたよ・・・
しかし今回のお土産はレシピ付き!多分だが完成品が出来るはず。
そしてシュークリームを差し出しご機嫌を取った。二種類のクリームで大満足だ。きっと・・・
王妃様がシュークリームを食べながら、プリプリ言っていたが、口にクリーム付いてますよと言ったら恥ずかしそうにして静かになった。
ふふふ・・・勝った。初めて王妃様に勝った・・・
あまり嬉しそうにしていると首元に短剣アクセサリーを装着しまうので程々にするが初勝利だったのだ。
そして話題を思いきりずらした、俺が怒られる原因から王妃様が喜ぶ原因へ・・・
北極から南極へ話をずらす感じだ、どっちも寒いって?まぁそうだけど・・・
カカオ豆のことについて相談したのだ。チョコレートそれは女性を虜にする魔性のアイテム。
チョコレートの魅力をふんだんに伝えながら、言ったのだ!「口にクリーム付いてますよ」っと
そうしたら首に短剣付いてますよと返された・・・フッ今回は負けたか・・・
カカオ豆の特徴?あぁー知らないや、赤い箱のチョコレートに書いてある実の形や色を伝え、温かい土地で丘陵地に生えていることを伝えた。
全力で探すと、王妃様もメイドさん達も息巻いていた。
この異世界の広大な森のどこかにあるかもしれないと思いながら王妃様の部屋からでて自分の控室へ戻った。
いよいよお菓子とお酒の説明会が始まる。まぁぶっちゃけ心配していなかった。
どう説明しても、普通の人には出来ないのだから。
俺の心配事は、王妃様のご機嫌ただ一つ!それを乗り切った俺に敵はいない。
「あれ、魔王は王妃様がメイド部隊率いて倒せばいいんじゃね?」って思ったのは内緒にしておこう。
舞台の袖で説明会が始めるのを今か今かと待っていた。
そんな時に客席にオーリーのおじさんを見つけた、帰って家具作れよ!
顔色が悪い、きっと禁酒が利いているのだろう。だったら帰って家具作れ!
あれ?まだ二日だよね?それであれなの?どんだけ好きなんだよ酒が。
ナタリーさんの司会で説明会は始まった。
まず国王陛下の挨拶、王妃様の挨拶件いあつ・・・ゲフンゲフン挨拶だけ、そして俺の見せ場?
王妃様に紹介され舞台に立った。舞台の後方にはメイドさん達がずらっと並んでいる。
本当に見た目が良いメイド達だ。中身は・・・知らないが。
「初めまして、この世界に転移してきた八神伊織と申します。
一部では神裸と呼ばれていますが、恥ずかしいのでイオリのほうで呼んでください。」
何言ってるんだ神裸のあんちゃんって声が聞こえたがスルーだ。
「まず、王宮で流行っているお菓子ですが、此方になります。」
牛乳、卵、小麦粉をテーブルに並べ《望んだ料理を作る》を発動しお菓子を作る。
王妃様を始め商人たちにも配って回った。数に限りがあったので前列の方にいた人のみだ。
「作り方は簡単、スキル《望んだ料理を作る》を使うだけです。このスキルを覚えれば誰でもできます。」
はい次!
「ふ、ふ、ふざけるなー」
はぁ?何か?
一部の商人が何か言っているが、聞こえない。
「次は、ドワーフ達のところで流行っているお酒についてです。」
樽を持って舞台に上がれとオーリーのおじさんを呼んだ。満面の笑みで舞台に上がったオーリーさん。
テーブルに麦、トウモロコシ、ジャガイモを並べ《望んだ料理を作る》を発動しお酒を造る。
「よっまってましたー」とドワーフたちが騒いでいる。今回はお望み通り強いお酒も用意した。
ウィスキーとウオッカだ。俺の知っている中で最高にアルコール度数が高いお酒。
もっと強いお酒もあるらしいが俺は知らないので作れなかった。
ウイスキーは人間にそれも薄めて飲んでねと渡し、ウオッカはドワーフに勝手に飲めと言って渡した。
ウィスキーの旨味に驚いた商人達、これはキクーと言って飲んだくれるドワーフ。
俺は同じ言葉を言った。
「作り方は簡単、スキル《望んだ料理を作る》を使うだけです。このスキルを覚えれば誰でもできます。」
今度は少しサービスした。
「スキルの取得方法はエリクシア様に聞いてくださいね。」
「ふ、ふ、ふざけるなー」おいおいさっきと同じじゃないか、芸がない。
「作れる人の情報、作り方の情報、作るための原材料、他に何か?」
「ふ、ふ、ふざけるなー」
「皆様落ち着きなさい」
王妃様の優しい声が響いた。会場は一気に静寂に包まれた。
「いら立つ気持ちもわかりますが、これが事実です。これ以上もこれ以下も情報はありませんよ。
作る本人にも作り方がわからないのです。由々しき事態です。しかし王宮でも料理の研究をしております。
いつの日か皆様にもお届けできる日が来ると信じております。本日はご苦労さまでした。」
といって王妃様は会場を後にした。
唖然とした商人たち。
世の中には納得できないこともあるよ次回頑張れ!
そんな空気の中俺は一人舞台上で勝利のポーズをとっていた。
胸を張ってエッヘンと。
舞台の後ろに並んだメイドさん達からの威圧もとい殺気が痛い。
これは俺に向けられた物だが、舞台の前の方に居る俺を通り越して客席にも被害が及ぶ。
この殺気に耐えられる商人は何人いる?
俺は背中に汗をびっしょりかきながら勝利にほくそ笑むのであった・・・
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もどってまいりました、王妃様の部屋へ。
説明会が終わり、王妃様の部屋へ呼ばれた。
そこで根掘り葉掘り、お酒の造り方やお菓子の作り方を説明した。
俺の数少ないお菓子作り経験をもとに、テレビで見たことや聞いたことを全て絞り出した。
そしてこってり絞られた、メイドさん達に。
そして新作お菓子はいつでも歓迎よと言われ王宮から離れた。
帰りも馬車だ、というか何で着飾ったんだ?普段着でもよかったような?
意味のない説明会だったが、面倒なことが片付き一安心だ、多分だが俺の命を狙うやつも居ないだろう。
商人たちは、俺には護衛メイドが就いていると思ったに違いない。。
まだ昼前だが、屋敷に戻り昼食を取った。
そして俺は一大決心をしてレイリーとジュリアに話した。
そう、奴隷商が見に行きたいと。時間はまだ十分にある、今日がチャンスだ。
渋々ながら同行してくれると二人とも言ってくれた。
早速出発だー
「・・・・・・・」
休みだった・・・そうさ今日は休日だ!日本とは違い休日は休むものだ・・・ガクッ。
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