表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/193

22.勇者と出会ってみよう。

やってまいりました、街のとあるお宅へ。



ソフィアさんの仕事が終わるまで冒険者ギルドでウダウダしていた俺たち。


スライム・ゴブリンの討伐証明部位も貯まっているので換金できないか聞いてみた。


換金は出来るが、報酬は少なくなる。常時依頼としてではなく只の換金となるため安いそうだ。


幸いお金にも、収納場所にも困っていないので今回は換金するのをやめておいた。



あまりにも暇なので、冒険者ギルド内の探検がしたかったが、奥には入れてくれないらしい。まぁ当然だ。



とても暇なので、各種アイテムを売っているコーナーへ行き物色を始める。


ジュリアが仲間に入ったことで必要な物があるかもしれないからだ。


おぉ冒険者らしいなと自画自賛していたら、本当に必要な物があったらしい。


そう、魔力が回復する薬だ。


俺自身はあまり魔法を使わないのでMPが減っているのか知らなかったがどうやらジュリアは減るらしい。


普通の人は俺みたいになんでも鑑定できるわけではないので、魔法使いの皆様は感覚で自分の限界をわかっているらしい。


なので、孫にねだられたおじい様のごとくジュリアが望むだけ買っておいた。


買ったついでに魔力回復薬に必要な薬草を聞いてきたが、今までに見つけていない薬草だった。


生息地は、ゴブリン達が居るとこをよりもっと森の奥らしいが、行ったことがないのでわからない。


もっと強くなったら奥へ行ってみよう、だがまずは冒険者ランクをDに上げることが先決だ。


あと五回ほど依頼をこなせばランクアップするらしいので薬草を収納空間から取り出し納品しようとしたが、同じ依頼は一日一回しかポイントにならないらしい。


夢のDランク冒険者の道はすごく遠い・・・


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


さて、ソフィアさんの仕事が終わったので冒険者ギルドを出た。


その時に、「グヌヌヌヌ」と俺を睨んでいる冒険者がいたが俺にはどうすることもできない。


ソフィアさんは美人さんだだから人気があるのだろう、俺はイガイガするから無理だが・・・



ソフィアさんに付いて行くこと数十分が経過した結構遠くから通っているみたいだ、市場の区画から結構離れた所まで来たがまだ着かないらしい。


そしていくつかの角を曲がり通りを超えた場所、俺の来たことのない区画にとってもとっても気になる建物があったのだ、そう大人の店と奴隷商の店だ。


大人の店は今の俺にはランクが高すぎるので、もう少し年をとったらこっそりと覗いてみよう。


レイリーやジュリアに見つかったら何となく気まずいし、幻滅されされたらと思うと・・・


まぁどうせメイドに見られているからバレバレなので近づかないようにしよう。



もう一つの方、そう奴隷商だ。気になるとっても気になる。


卑猥な意味でなくただ単純にこの国の獣人の扱いについて自分の目で確かめたいのだ。そう確かめるだけだ。


屋敷へ帰っても居心地が悪いしどっかに小さな家を買って奴隷とのほほんとしたいなんてことは微塵もない!


耳や尻尾をモフモフしたいなんてことは微塵もない!


あぁ〜想像しただけで涎がたれる・・・ジュル・・・


いかんいかん、最近真面目モードが多かったから思考が良からぬ方へ行ってしまう。


いかんいかんと首をぶんぶん振っていたら、レイリーに冷たい目で見られた・・・


いやいや違うんだ俺は無罪だ!有罪はあなたそうレイリーさんです。


説明不足チャンピオンのあなたには勝てませんよ、あはは・・・



レイリーの目が冷たいので建て前を説明しどうにか冷気を回避することに成功した。


やましいことは何一つないから堂々と奴隷商へいって現状を確かめようと思う。


俺は人と獣人が共存できる世の中を目指しているのだ、うんうん俺立派!



本音の方はしばらく内緒だ・・・


さーて、不動産屋はどこかなー?キョロキョローこっちはコッソリ行こう。


あぁー夢が広がる・・・



そして小さな家に着いた。俺の屋敷に比べれば小さいってだけで、モフルだけなら十分な広さの家だ。


総二階建てで、一階で俺の作るお菓子を売ってもいいな、時間があればひらすらモフモフ。


妄想だけでこんなにも幸せだ。



ち・が・う!目の前の家の説明中だ!


妄想に思考の92%を使って残り8%を真面目顔に使っていた俺に突然殺気がぶつけられた。


そうこの殺気はニーナさんだ。覚えたくないが覚えてしまった。


そして背筋がゾクッとしたと思ったら首元に例の光る物が当てられていた・・・


知っていると思うか寸止めではない・・・チョイ切りだ・・・


何度も説明したがニーナさんは理解してくれない、少し切った方が効果的だろって言って聞かない。


確かにそうかもしれないが、それは俺以外に適応してもらいたいものだ。


そうしてお馴染みのお言葉・・・


「どうしてお前がここを知っている?返答によっては・・・」


おいおい、このうっかりさんめ!


周り見てよ、呆れ顔のソフィアさん、まぁいつもの事か顔のレイリーとジュリア・・・


「ニーナ・・・、私が連れてきたのよ。もしかしたらと思ってね・・・」


「いや、こいつにはとても・・・いやでも確かに・・・」


ニーナさんにしては珍しく動揺している?


動揺しているニーナさん可愛いいんだろうなー、早く短剣どけてくれないかなー


よし!こんな時は説明してよオーラを発動させるしかない、レイリーとジュリアに目線を向けお願いした。


そんな思いも空しく、首元短剣のまま、家の中に入っていく・・・


お洒落アイテムみたいに聞こえるけど、血出てるからね実際・・・



家に入れてもらって食堂と言うか居間というかへと通され


「ようこそ御出でくださりました、五人目の勇者イオリ様。」


えっ?いき成りかしこまりモード?


ソフィアさん気持ち悪いから止めて・・・



どうやらこの家には三人目の勇者ロクジョウ チヒロが住んでいるらしい。


衝撃の新事実に俺たちは思考が停止した・・・首元短剣は健在だ。


ソフィアさんの説明によると、

三人目の勇者チヒロさんは、二年前にニホンという国から転生してきたらしく元の世界では死んでいるそうだ。


日本人か?日本人なのか?


女神さまからもらったスキルはアフェクションスピア。

能力的には槍の使い方が上手くなり、使い方によっては醜い心、悪い心を浄化する能力もあるみたいだ。



俺に言わせれば勇者丸出しのスキルだなと鼻で笑いたくなるが、これが本当の勇者が得るべきスキルなのかもしれないと考えさせられた。


俺にはエリクシア様からあと一つチートスキルが貰えるので参考にするために聞いておいたが、まぁ俺には到底無理な考えなので人それぞれとして話を進めてもらった。



旅は勇者チヒロさん、ソフィアさん、ニーナさん、今はチヒロさんの身の回りの世話をしている、セレーナさんとターニャさんで順調に行っていた。


何度も魔物に襲われている人や盗賊に襲われている人を助けながら各地を旅していたそうだ。


各地でダンジョンや謎の塔などを攻略してみんな強くなり、その中でもヒチロさんは、ほかの四人に比べても格段に強くなったみたいだ。


ソフィアさんの強さもこれで納得した。



しかしそんなある日のこと、盗賊に襲われている集団に出会い盗賊は撃退したのだが、チヒロさんの心が壊れてしまう出来事が起こった。


普段ならご都合主義全開で盗賊に完全に襲われる前にたどり着くのにその時は、完全に襲われた後に遭遇したそうだ。


その集団は貴族令嬢の御一行で、護衛もしっかり就いていたらしいが、それでも数の暴利で盗賊に敗れ、護衛、従者、男は皆殺し・・・


女は散々辱められ、自害したもの、自害できずに悲しみに捕らえられているもの、気が狂ってしまった者・・・


完全に地獄とかしていた、その惨状をみたチヒロさんは暴走し盗賊を皆殺しにた。


だが悲劇はそれだけではなかった。助けた令嬢、メイド達に殺してほしいと嘆願された・・・


自分では死ねないので殺してほしいと・・・



そして完全に心が壊れてしまい、言葉を失った。

今はほとんど動くこともなく、椅子に座てボーッと遠くを見ている日々を過ごしているそうだ。



その時のチヒロさんは16歳、俺と同じ年であり平和な所から異世界へ来てカッコいい勇者を夢見たいた少年だったみたいだが現実に敗れてしまったらしい。


・・・。


チヒロは女の子だよと言われて時間が止まった・・・


黒目、黒髪、髪は肩くらいまで伸びていて普段は後ろで一つに縛っている。


って知らんがな!チヒロって男か女かわからんし!


そりゃ16歳の少女、多分女子高生がそんな現場見ればおかしくなるよ・・・


殺してくれと頼まれれば俺だって気が狂う。そんな趣味は持ち合わせていない!



悲惨だな勇者のご都合主義はいったい何をしているのやら・・・?



そして自分を取り戻すまで、ここに滞在しているというわけか。


チヒロさんの安全の代わりに王妃様に仕えているってことね、ニーナさん。



「へ〜それで俺に何をしろと?」


首元短剣はまだ外れていない・・・


「そうね、助けてほしい、救ってほしい、そんなところね。」


ソフィアさんが悲しそうにそう言った。



「いやいや待ってください、助けてほしい、救ってほしいのは俺でしょ?首から血出てますよ俺?」


忘れてたとばかりにソフィアさんとニーナさんは照れ笑いをしている。


ジト目で二人を見る俺・・・



「一応確認ですが、今俺がチヒロさんにあった場合、俺生きてます?もしくはチヒロさん脅えます?」


二人は少し考えて、「「あなた死んでるわね」」とにっこり微笑んだ。


にっこりほほ笑む時ですか、今?


男をみると見境なく殺しにくるそうで・・・俺が来た意味がない・・・



「どうしろとおっしゃります?」


「そうね、ただ話を聞いて欲しかっただけなのかもしれないわね、今の勇者に・・・」


寂しそうに悲しそうに呟く・・・



「知っていると思いますけど、俺凄く大したことないですよ。でも俺なりに考えたことを言います。」


そして俺は語った


治るのに時間がかかるのは仕方ないが、いつもでも部屋に閉じこもっているのは良くないと。


たまには女の子らしく買い物したり甘いもの食べたりしたほうが良いと。


それが出来れば苦労しないって?


やだなー出来るでしょメイド部隊なら。


はっと表情を硬くしたニーナさん、今気づいたな・・・チヒロさんが絡むとポンコツになるのか?



例えばこの王都全体で週に一度女性しかいない商店街・市場みたいなことをしても面白そうだし。


どうせお姉さまがたのが強いのだから、どうとでもなるでしょ?


甘いものは俺を脅せばいくらでも出てきますし、安上がりですよ。


「では早速日本の味をお持ちしてください。」


といってイチゴぽいショートケーキを渡した。


そそくさと二階に上がっていくニーナさん、普段とのギャップが凄い。




少しずつ心を取り戻してくださいねと言い残して俺たちは帰路についた。



作品へのご意見・感想・評価・ブクマをお待ちしております。

どうぞ宜しくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ