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191.旅立ちの決意をしてみよう。

やってまいりました、アレックスへ。




 今日は我が国の街を視察している。 視察のメンバーは俺、レイリー達お嫁さん達とミニクさんクサイオさんの宰相コンビに俺の妹の国王代理を務める二人に護衛のメイドと結構な大所帯で街をフラフラしている。


 この国の主要な人物が一同にそろって視察しているので、街に住む住人達の反応はと言うと、大歓迎である。 大変に盛り上がっている。


「宰相様ーステキすぎます!」 「愛人でいいので是非〜〜」 


 と若い女の子から結構なお姉さまがたまでキャッキャしている。人種、獣人、ドワーフの女性陣からばかうけの二人なのだ……


 羨ましいことだ。



 俺の国アレックスは異種族の住民が暮らしている。種別は関係ないと差別をしたら刑に処すると俺がお触れを出している。 人種、獣人、ドワーフ、まだ魔族は住んでいないがいずれはと思っている。


 そんな中でもこの宰相コンビの二人はモテモテである。



 そして、国王代理の双子の妹達も……


「あのお美しい方々が国王の妹君? 美しすぎだろおい!」 「まだお若いはずなのに、あの胸は何たる事だ、実にけしからん!」 「結婚してほしいっす!」


 こっちは男連中からモテモテである。


 ついでに言っておくと、俺のお嫁さんたちは男女問わずみんなからちやほやされている。 まぁこの国の王妃ですからね。みんな可愛いしね。納得の出来事だよ……


 で、俺だよ! 俺!


「国王様はどんなかたなんだろうね?」 「さぁー 見たことないからな。」 「俺は戦場で遠目から見たけど凄くカッコよかったぞ?」 「きっとキリッとしたカッコいいお方なんだろうね。」


 ……


「ぷっ! キリッとしたお方ですって!」


 ……


「どこにそんな人がいるんですかね?」


 ……


「こらっ!メイドさんたち! お兄様を悪く言ってはなりません、お兄様はこの何とも言えないだらしない顔立ちが良いのですから!」


「ぷっ!」


 ……


「王よ何故このメイド達は王を侮辱しておるのだ?」 


「あぁーミニクさん、これはいつもの事なので気にしなくていいですよ。メイドさん達はイオリ様が大好きだから遊んで欲しいのです。」


「レイリー様、違います!」


「ふふ、そういうことにしておきますね。」


「レイリー様!」


「なるほど、王は誰にでも優しく接することができるというわけなのだな。 ふふふ流石は我らの王じゃな!」


「……」


 あら? いつもなら俺が突っ込んで終わりみたいな流れになるはずなのに、今回はあれ?


 何かメイド達も黙っちゃったし…… あれ?


 これはこれで新しいおとしどころか?


 いや、そもそも何で誰も俺のか顔知らないんだよ! 女の人ならいら知らず、この間一緒に戦った人もいるだろうが!?


「ははは、王は戦場にいるときと今とでは別人と言っていいほど顔つきが違いますからな、見慣れていない者にはわからないかも知れませんな。」


 そんなに違うかなー?


「わらはは、どちらの顔も好きじゃぞ!」


「あっ、私もです!」


「イオリ君の良さはをわからないとは勿体ない人たちですね。」


「ふふ、そうですね。」


「そうだね。」


「そうだと思います。」


 ……


 なんだか、慰められているようだ……ぐすっ


 もういいよ! 街が国が平和なのはわかったからね! 帰って布団にくるまっていじけてやるからな!






 その夜、俺はミニクさんとクサイオさんのところへ行き二人と話をする。


 二人ともここに居る? 入るよ?


「どうぞ王よ。」


 …… …… ……


 沈黙…… 二人は俺の気配の違いに沈黙する。


「いよいよですかな?」


 そうだね、そろそろ行こうかと……


「妃様たちにはお伝えしたのでしょうか?」


 まだだけど、みんなわかってると思うよ?


「勝算はいかほどで……?」


そうだね、悪く見積もって7対3、良くて6対4でアリーヤの勝ちかな。 でもそろそろ行かないとね。



 ……



 この間、魔族の街でアリーヤに会った後、俺はエリクシアのところへ行って話をした。


 どうにも腑に落ちない事があったのだ。それは、アリーヤの力が落ちてきているのではないかと言う疑問を感じたから。


 確かにあの時は人に憑依というかたちだったがどうにも力が弱かったように思えたので、その答えを聞きにエリクシアのもとへ訪れた。そして答えは……



 アリーヤの力はいずれなくなる、いずれ人と変わらない存在にまで落ちると言うのが答えだった。


 答えを聞いたときには案外驚きはなかった、神界を追放されたのだ当たり前と言えば当たり前の出来事だ。


 だが、力がなくなる前にならまだ神界へ戻れる可能性があると言う。アリーヤの力がなくなる前に、少しでも強い力が残っている内に魔王を魔王としてのアリーヤを俺が討伐し、神界に無理やり引きずり戻そうと言うのがエリクシアの考えで。



 エリクシアはアリーヤを守りたい、でも守れない。


 神界の決まりがあるしそもそもそこまで上位の神ではない。俺にも全てを話せない、難しい立場に居る。


 俺にアリーヤを倒して欲しいけど倒して欲しくない。守って欲しいけど救って欲しいけど…… 自分では手が出せない……


 俺が異世界に連れてこられた時に聞いた、10年の縛りも、アリーヤの縛り。10年でアリーヤは人になると言う話だったわけで、この世界が滅ぶといった話もまたやり直すと言った意味なのだろう。


 二転三転したエリクシアとのやり取りもこれが最終的な答えだったわけで、まぁこんなことはみんなには言えないけどね。



 はぁ〜本当に困ったお嫁さんだ。 惚れた俺が悪いってか? 






 じゃ頑張ってみるよ。


「はっ!ご武運を!」



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