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186.優しい視線に耐えてみよう。②

やってまいりました、魔族領へ。




「お兄ちゃん!」


 ジュリアさん何か幼女?


「遊んでないでちゃんとやりなさい!」 


 ふっ、ジュリアに怒られてしまったか……


 俺の理を壊すものは扱いが難しい…… 俺の意思を汲んでちょうどいい塩梅にしてくれればいいが、やり過ぎることも多々ある。 魔法にスキルで攻撃力アップを付与するととんでもない魔法に早変わりしてしまうのだ。 敵軍を残らず焼くつもりなら役に立つのだけど、今回は魔族の生け捕りを目標にしているわけで……


「はぁーお兄ちゃん。私を抱っこして転移して! 私の魔法なら魔物を釣ることができるから!」


 ジュ、ジュリアさん頼りにさせてもらいます!


「もぅ! お兄ちゃんは分かってない! これは頼りにされている感ゼロなの! わかる?」


「そうなのじゃ旦那様わかるかのぉ?」


「こらっ! ラヴィーニャお姉ちゃんは黙って、先日のことを反省してなさい! エッチなことは成人してからって約束でしょうが!」


 

……

 


 ジュリアさんが怖い…… 我が嫁軍団の中で最恐か?


 この流れでは、仮にこの戦いに勝った後でも説教は回避不可能だよな…… そもそも人を頼るってどういうことなんだ……? 俺は皆を頼っているつもりなのだけど? 頼られている感がないとはこれいかに? 俺的にはジュリアが実家に帰らさせてもらいます! と言って出ていかれたら死ぬほど辛い、いつも一緒に居るのだから、それが当たり前なのだから。

 

 ジュリアと一緒に居ると俺は幸せなんだけど? だから頑張れるんだけど? これって頼っているってことにならないのかな?


 ジュリアの顔が赤くなった? 怒っているからかな?


「もぅ! お兄ちゃんのおバカ! 魔物を誘き寄せるんでしょ! 早くいこ!」


 何故だか機嫌が良くなったような? まぁとっとと片付けよう。


「この婿殿ダメだ……」 「国王様はおバカなんですね……」


 何故か兵達からも哀れみの目で見られてしまった…… 何がどうなった?


 一人一人尋問したいが、遊んでいてはまた怒られてしまいかねないから今回は見逃してやるが次回はきっちり行くからな!



 俺はジュリアを抱っこして、先程俺が行った上空より高い場所に転移。ここまで上空なら誰にも気付かれないだろう。


 ジュリアが魔法の詠唱を始める。ぶつぶつと何かを言っている、俺は暇なのでジュリア頼りにしてるよ、そして大好きとジュリアの耳元で囁いてみる。


 キリッっとジュリアさんに睨まれる…… やはり最恐か!? ジュリアさんの目が訴える。 何々、邪魔をするな! それにいまじゃないでしょ! 後でまた聞きたいからよろしくね。


 了解です! 平和を手にいれればいくらでも何時までも!


 そしてジュリアの魔法が放たれる。


 俺のファイアボールとは比べ物にならない大きさの火の玉を敵陣に投げつける。


 これならば魔物たちも怒りに任せ狂って俺達の方へ向かってくることだろう。

 

 では、迎撃の準備をしましょうか。




「敵襲! ミニク様、敵襲です! 今回の攻撃は先ほどよりも上空より魔法で攻撃されました。 そして威力も強かったため魔物達が怒り狂って敵陣に突撃してしまいました!」


「なに?! あやつらの目的はこれだったか!? 最初に油断させ次で誘き寄せるとは!? 魔物の統率はとれるか?」


「今やっていますが、難しいかと……」


「くっ!仕方あるまい、多少魔物達から遅れるが我らも出陣いたす! 準備を急がせろ!」





 自陣に戻り敵軍の様子を探る。 …… ……


 作戦は成功したようだ。さすがジュリアである。 頭を撫でておこう。


 敵軍のだす砂埃がコチラへ近づいてくるのがわかる。 足の速いものと遅いものとの間が開いているようだが、魔物と魔族が分断されているのならば問題ない。


 マエリスに様子を見てもらうと、どうやら魔族はまだ出てきていないようだ、準備に手こずっているのだろう。 よし、みんな戦闘開始だ!


 強い敵はレイリーとラヴィーニャに擦り付けろ! 弱い魔物はみんなで一斉にかかれ!


 よし行くぞ!


 うぉぉぉぉぉ!

 

 気合十分の兵士たちが一斉に魔物たちへ向かい駆け出す。


 足の早い先頭集団の魔物とレイリーがぶつかる。 レイリーがキラッと一閃すると数多の魔物が斬り裂かれる。 レイリーも愛刀のエルザも、ローザも嬉しそうに見える。


 少し遅れラヴィーニャと魔物がぶつかる、こちらは綺麗に切断ではなく殴り潰すと言ったほうがいい感じだな。 魔物が肉片になるのが見て取れる……。 この二人の活躍を見て兵達は益々気合いが入る。 


 後方から魔法を放とうとしている魔物の対処は俺とジュリアで行うから問題なし。 マリーアの援護でパワーアップしている兵達もどうやら戦えているようだ。


 あとは、マエリスに魔族の監視をしていてもらい、動きがあったら、俺が邪魔をすればいいだけだ。


 やることのない夏樹さんはブーって顔してるけど、召喚できる魔物や精霊が弱いんだからしょうがないでしょうが……


 

 ん? 巨大な魔物とレイリーが戦ってるな。 象っぽいし?カバっぽいしあれがベヒモスか? レイリーの何十倍もありそうな巨体から繰り出される棍棒での攻撃と打ち合ってる? そして打ち負かしている? レイリーのあの細い体のどこにそんな力があるんだ? 永遠の謎だし逆らったら恐ろしいことになりそうだ。


 ラヴィーニャも何だかんだで強くなったし…… こらっ! 美味しそうな敵を倒したからって食べないの! ん? こいつ美味しいから後で料理しろ?

 

 何であの子は戦いの最中に敵を焼いて食べるかな?


 ごめんシュウ……あの魔物の拾っておいて……



 ふむふむ、順調に魔物を削っていけているな、しかし魔族の動きが遅いな?


「イオリ君来ました!」 


 やっとか。 


 異様な雰囲気の集団がこちらへ移動中らしい、どうやらアンデッド系はジュリアの攻撃で釣られることもなかったよだ。 なかなか素晴らしい統率がとれているな。 だがアンデッド系の動きは鈍いようで、どこぞの高速で動くゾンビみたいなものはいないようで助かる。 動きの速いゾンビはゾンビではない! 速いと恐いだろ? だから存在してはいけないのだ!


 

 おっと話がズレた…… まず俺のお仕事はあの腐臭を取り除くことからだな。 


 腐臭の取り除き方なんか知らないから、まずは水魔法に香りの好い柔軟剤を…… し、しまった! 柔軟剤ではなく洗剤にしておけばよかった! 


 いまから変更可能ですか? 


 やさぐれた《望んだ料理を作る》が教えてくれる「ダメ!」と 


 ケ、ケチすぎる! 


 まぁいい一度柔軟剤で柔らかくするのもありだろう! 何が柔らかくなるのか不明だがやるだけやってみよう! 


 ということで手の上に柔軟剤効果付きのウォーターボールを出しアンデッド目掛けて投げつける。 スキル《理を壊す者》は俺の意思を汲んでくれる。 ウォーターボールはアンデッド軍全体にいきわたるような大きさに自動で変化しアンデッドたちを水浸しに変える。


 …… 


 よし! 次だ!


 多分だけど柔軟剤ではなく洗剤でも同じ結果だろう。 意味がない! まったく意味がなさそうなのである。ただ濡れただけなのだーーー!


 そもそも何であいつ等を洗おうと思ったのだろうか? 意味が分からない…… 


 腐臭の消臭を目指していたはずなのに、いつの間にか洗濯することに目的が変わっていた…… 敵の策ならば恐ろしいことだ! 精神系のスキルの使い手がいるのか? ぐぬぬ……恐ろしい!

 

「イオリ君……」


 マエリスが優しく俺の肩にポンっと手を置き優しい目で俺を見る…… そんな目で見られたら涙が出ちゃう…… だって男の子だもん……


 

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― 新着の感想 ―
[一言] 濡らしたんなら電撃で消毒しろや(純水だと逆に電気の通りが悪かった) 少ない労力で広範囲に効果がでるやろが(でもゾンビの汚れや土のおかげで結局電気が通りやすくなる) 勢い付いてる集団の目の前…
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