184.閃いてみよう。
やってまいりました、魔族領へ。
ここは魔族領、現在は敵地で軍を駐屯している。
俺の国の兵とラヴィーニャの国の兵合わせて約三万と言ったところか。 元々四万の兵だったと聞いた訳だが、随分やられたもんだ。
まぁそれだけミニクさんができるってことなんだろうが。
……。
獣人達を黙らせることに成功したあと、俺は少し考えた。この軍でそのままミニクさんと対決しても良いものかと……
普通なら士気は駄々下がり状態のはずだが、俺と獣人達との戦いの話が広がり士気が上がっているとマエリスが教えてくれた。
……。
そして俺は決断した。このまま、ミニクさんと戦うことを……
軍を駐屯している、その一角にあるテントの中で俺は一人考える。
戦うと決めたのだから……
周りは静まり返りここが駐屯地だと言うことを忘れさせるほど静かな時が流れる。
その静かな時に、静かな声が聞こえる。
「旦那様、入ってもよいか?」
どうやらラヴィーニャが来たようだ。今夜は考えることが山ほどあるから一人にさせてと頼んでいたわけだが… この訪問は俺的にも助かった、ちょうど考えがまとまらずにモヤモヤとしていたから。
「今日はすまなかったのじゃ……」
ん? 何かあったかな?
「ふふ……。また旦那様に助けてもらったのじゃ。これで何度目になるのかのぉ?」
何だ? 今夜のラヴィーニャは何だか綺麗だぞ? 普段の幼さが消えている?
「わらはは、返しきれない恩を旦那様から貰ってしまったのじゃ。」
ん?よくわからないけど? 俺もラヴィーニャには一杯もらってるからおあいこだよね?
何だ? 本当にラヴィーニャさんが綺麗だ……
「ふふふ、旦那様は優しいのぉ、旦那様愛しておるぞ……」
ふぁっ!?
ラヴィーニャがするすると服を脱ぎ始める!? ってか最初から浴衣みたいな服一枚かよ!
いや何これ? この状況なに?
「わらはには旦那様に返せるものがないのじゃ…… じゃからこの体で……」
一糸纏わぬ姿で俺に向かってくるラヴィーニャさん……
えっと……?!
……。
おい理性! 仕事しろ!ここは耐えるべきだ!
もしもしコチラ天使! 理性は今、家出していていないけど?
なっー!何だってー! それでか、それで最近キレやすくなっていたのか! ……? そもそも理性って家出するのか? くっ! 悩んでいても仕方ないの天使と悪魔お前ら代わりに仕事しろ!
天使) あは、無理っす!
悪魔) えへ、無理だね!
や、や、や、役にたたーーん! 相変わらず役にたたない!
いかん、遊んでいる場合ではない! すでに全裸のラヴィーニャさんに抱きつかれているではないか!
何だ!? 何で今夜のラヴィーニャはこんなにも綺麗なんだ!? そうか化粧か? 化けているのか? これが巷で有名なビフォーアフターか!?
すっぴん時と改造時の違いなのか?
うがー ヤバイぞ俺の息子が息子がーーー!
「どうしたのじゃ旦那様? 旦那様はわらはのことが嫌いなのか?」
ブンブンと首を振り、大好きですと答える。
いや違う!違うくないけど違う!
あかん!あかん!あかん!これはあかん!
ラヴィーニャさんは未成年!ラヴィーニャさんは未成年!ラヴィーニャさんは未成年!
勇者は混乱したようだ!
俺は自分で自分を殴りつけ、正気を保つ……
……
保てるかーーー!!! 自分で自分に突っ込んだ!
あかん! いつの間にかベッドに押し倒されている!
ラヴィーニャさんは未成年!ラヴィーニャさんは未成年!ラヴィーニャさんは未成年!
そう!賢者! 賢者モードに移行しなくては……あの無敵の賢者モードにーーー! 無だ無の境地へ……
……。
「こらぁー! ラヴィーニャ!何やってるのーーー!」
「ちっ! あと少しで旦那様の初めてを奪えたものを!」
「ちっ!じゃないでしょ!ちっ!じゃ!」
……。
あー! 化けさせればいいんだ! そうかそうしよう! 俺ならきっとできる、いや、やるしかない!
ありがとうラヴィーニャ! ぎゅっと全裸のラヴィーニャを抱き締める。
よしこれでミニクさんへの対応はできる、あとは戦いに勝つ案だな……
「旦那様…… ついにかのぉ?」
ん? ところでレイリーにマエリスなにしてんの?
「なにしてんの?じゃ無いでしょうがーーー!」
「イオリ君のエッチ!」
……
いや、いま考えがまとまったから! これなら最少の犠牲で済ませることが出来る。
「それはいいのですがいい加減ラヴィーニャを離しなさい! そしてラヴィーニャは服を着なさい!」
……。
ポカ、ポカ!
しくしく……レイリーさん殴らないで……
ゲシ、ゲシ!
折角閃いた方法を忘れそうだから……
ガン、ガン!
ねぇーってっば!
や、やめてーーー!




