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181/193

181.ブチ切れてみよう。

やってまいりました、魔族領へ。




 幾日の間会議&会議の日々…… 辛いでござる、働きたくないでござる……


 頭が割れそうでござる…… 考えたくないでござる…… これも平和のため……これも平和のためと念仏のように唱え耐えしのぐ。


 

 そして会議が終われば、ラヴィーニャの尻拭いのお詫びの旅……

 

 各国の王は俺をもてなしてくれるが、毎日毎晩だと辛いでござる…… 毎日美味しい物でお腹いっぱいだけど、翌朝胃もたれするでござる……

 

 若くても辛いでござる…… 


 


 そして俺が俺達が世間から、いや自分の国から目を離しているうちに、事件が起こった……起こってしまった。


 獣人の国の兵と俺の国の兵が魔族領へ攻めいってしまったのだ。俺も妹達も国を離れ会議に参加していて、監視の目が完全に失われていたのだ、当然ラヴィーニャも同じ立場なので……



 どうやら混合軍の指揮官はラヴィーニャの叔父にあたるゲロルドさんで、インターロケンとの戦争時もあーでもないこーでもないと、俺に反対意見を言ってきた戦争の下手そうな人なのだ……


 ラヴィーニャの魔族を滅ぼす発言をどこからともなく耳にしてしまい軍を率いて出陣したようで……ラヴィーニャの親族と言うこともありとんとん拍子で話が進んでいってしまったようだ。 どうもそこには俺への不満もあったようで……


 一方の俺の国の兵隊さん達はもともとインターロッケンの兵達なのだが、魔族領を攻めた時に従軍した人もいるようで、魔族への怨みと俺に良いところを見せたいという気持ちを上手に利用された形になり参戦したようだ。



 そして俺たちが気付いたときには魔族領へ進軍していたのである。 



 今回の兵隊の数は獣人が約2万、俺の国から約2万の軍勢で出向いたようだ。 


 始めの内は魔物くらいしか敵がいなかったのでどんどん進軍したようで、調子に乗った指揮官が……そして……手痛い反撃を…… ありがちなパターンだよね……?


 まぁミニクさんの罠にかかり、かなりの痛手を受けて撤退中に俺たちが駆け付けたと言うわけで……



「レイリー、こいつの首を跳ねろ!」


「イ、イオリ様?」


「お兄ちゃん?」


「旦那様?」


「イオリ君?」


「イオリ君?」


「イオリ様?」



 俺は完全にキレていた。ラヴィーニャの親族だかなんだか知らないが、こいつのせいで沢山の人が死んだのだ、そして魔族へ対する怨みが爆発的に増えたのだ! こんな状況では、ミニクさんを説得するなんてあまっちょろい事を言える空気ではない!


 下手をしたら魔族を皆殺しといった最悪のパターンもあり得る状況…… 


 俺の望む展開はもう完全に不可能な状態に陥ってしまった、ここに居る人間も獣人も魔族への怨みしかないのだから……


 このオッサンの首を斬ったところで何一つ状況が変わるわけではないが、どうしても許せない!



 レイリーがやらないなら俺が殺る!



 そしてミニクさんに詫びてくる…… その後はミニクさんと戦争をする…… 


 やりたくない戦争を、殺したくない人を殺すための戦争をする……


「婿どの! どうかどうか許してくれ! ラヴィーニャからも頼んでくれ!」


 この男はなんて見苦しいのだ…… ミニクさんを見習えよ! 


「ラヴィーニャが魔族を滅ぼすことを望んでいると聞きどうしても儂の手で魔族を倒したかったのだ……」


 ……。


「ラヴィーニャこの男は弱い、戦争は上手いかもしれんが個々の能力は儂ら獣人の足元にも及ばんのだぞ?」


……。


「叔父上どの……。」


 なんて悲しそうな顔をするんだラヴィーニャ……。



 はぁー 俺が気に入らないなら俺に文句言えよ! 俺を出し抜こうとしたところでなんの意味もない! お前らは強さが全てだと言うけどな、獣人全てを、力で押さえ付けるぞ!? お前はそれが望みなのか?!


 ラヴィーニャ! お前はどうしたい?! こいつをどうしたい?!


 酷な質問だとは分かっているが、この怒りが止まらない収まらない……


 ラヴィーニャからの返事はない……


「イオリ様! お気持ちはわかりますが、この方はラヴィーニャの親族です、この方を処分しますと後々の憂いになります、どうかお気持ちを静めてください!」


 そんなことは分かっている、分かっているよレイリー……




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