176.最後の勇者に出会ってみよう。③
やってきました、アンタルシアの街へ。
レイリーの様子から状況を察する王妃。
やはりこの勇者、自分の身分を鼻にかけるところがある。 この辺りで自分の立場をわかって貰った方が今後の為になるかもしれませんね?
さてどのようなお仕置きが最適かな、ふふふ。
王妃はこの勇者にお仕置きをすることを決定してしまったようだ。
その様子を伺っていたメイド達はガクガクと震えだしたのであった。
「なっ?! わ、わ、わ、私の剣が!?」
「ねっ、言ったでしょ貴女は弱いって。剣も充分な強度がないし腕もまだまだ未熟です。 最高の剣が欲しいのならば、古代竜様の鱗を集めるくらいは最低条件ですよ?」
「なっ?! 古代竜ですって!」
(へ〜古代竜様を知っているんだ、ちょっと見直したかも)
「レイリーちゃんそこまでね。勇者ヒカリさん剣はイオリちゃんに作らせるから心配しないでね。」
「イオリちゃん?! 剣を作る?! この二人の夫の変態は剣も作るのですか?」
「あら、あなたイオリちゃんを知らないの? ずっと森に籠ってばかりだから外の情報に疎いのかしら……? それとイオリちゃんは確かに変態だけどこの国、いえ、この大陸に必要不可欠な人ですので言葉遣いには気を付けたほうがいいですわよ。」
「はっ? へっ? なっ? 何を言われるんですか王妃様! この正当な勇者よりも重要な人物が召還者の中にいると仰られるんですか?」
「そうよ、イオリちゃん無くして、この世界はもう回って行かないわ。」
「王妃様!イオリ様は変態ではありません! 少し変わっているだけです!」
「レイリーちゃん…… それは少し厳しい言訳ですよ?」
あら? やっと到着したようねイオリちゃん…… まったく遅いんだから!
えっと? 状況が全く分からないのですが? こちらに呼ばれてきたのですが、どうやら隣の家と間違えてしまったみたいですね?
「ふふ、逃がしませんよイオリちゃん!」
ぐぬ! 王妃様にがっしり掴まれて逃げれない…… この人何処にこんな力が?
それにしても、レイリーもジュリアも機嫌が悪そうだけど? 誰か説明して?
(イオリ殿ちょっと此方へ…… この私ディランが説明しますので……)
ん? 騎士団長のディランさんが手招きしている? 全く状況がわからないので説明でもしてくれるのかな?
ん? あれ? この威圧感はエリクシア? へっ? 一体何が起こっているんだ? 説明ぐらい聞かさせてくれてもいいじゃん!
「スキルからの苦情があったから来てみれば、ずいぶんいい臭いさせてるわね? イオリ」
ぶっ! なに、あいつエリクシアに苦情言いにいったの?
今時のスキルと来たら主から離れ苦情をいいに行くとは……進んでいると言うか複雑な気分になる。
「あはっ! 男だ! 皆殺しでいいよね?」
しまった〜! まだ千尋さん男を見ると皆殺しにしてしまうんだった!!
「おい!偽勇者、なんでお前はエリクシア様を呼び捨てなんだ! 私と勝負しろ!」
誰この人?
「イオリいい臭いねー」
エリクシアさん……状況が分からないから変な神託は辞めたほうが?
「イオリ様ーこの勇者が、イオリ様の悪口をー!」
悪口? いつもメイド達が言ってるじゃんか!
「イオリ殿なんとか収集を!」
ディランさん切実ですね……
えっと? なにこのカオス……?
誰か説明を…… あぁ〜もう面倒臭い! エリクシア皆に神罰を……
若干怒りをこめた俺の言葉にエリクシアも えっ?となったがすぐに全員に稲妻をプレゼントしてくれた。 みんなプスプスと煙を上げ横たわっている…… 王妃様だけは外してもらいたかったがこの際仕方あるまい……
スキル《望んだ料理を作る》お前は後で説教だ!
まずはエリクシアから解決していこう。
「なぜお前はエリクシア様を呼び捨てなんだ!?」
神罰の稲妻でプスプス煙あげてるくせにまだしゃべるか? うっさいな〜! 自分の嫁をなんと呼ぼうが俺の勝手だ! 誰だか知らないが順番に話を聞いてやるからだまってろ!
「なっ!?」
黒髪の綺麗な女の人は目を見開き、驚きの表情をしているが、今は知らない人にかまっている時間はない。
シュウ! エリクシアに最高級ハンバーグを!
「はい!ご主人!」
「うーーん!良い香り!」
ごめん、スキルが世話になったみたいで、後でまた美味しい食べ物のを届けるね。
「うん、また後でねー!」
これが神の言葉なのだ……ありがたく……聞けるわけがない……
気を取り直し……「全員正座ーーー!」
プスプスしている人たち全員に回復魔法を掛け回復させ、全員を正座させる。
メイドが「あ゛!?」と脅してきたが、今回俺は全く状況がつかめないのだ、そのため少々ご立腹なのである! 少しばかり魔王やエリクシアを真似して驚異的な威圧感で皆を抑え込む。
散々、浴びせられた威圧感…… そろそろ俺に出来ても良いよねと思った時に何故か出来てしまったのだ。 俺の場合本当の威圧感ではなく、スキルで俺の周りの空気を変化させているだけなので実害はないため人々に優しい威圧感となっています……
「がはっ!」 「ぐわっ!」
少し威圧感が強かったか? まぁ今回は何も見えないし聞こえない……
さてと順番に片付けて行きますか?
次は王妃様です!
「イオリちゃんを本気で怒らすと私より恐いのですね…… 」
ナイナイと首を横に振っているメイド達! 顔覚えたからな、あとで王妃様に報告してやる!
そんなことよりも、さっきからぶつぶつうっさいうるさいこの人は何なんですか?!
「今回魔王討伐の為に一番最初に召喚されたヨツヤ=ヒカリという名の勇者です。 少しお仕置きしたいのでご協力を……」
小声で俺に打ち明ける王妃様…… お仕置きか…… 恐いな……
へ〜 この人も勇者だったのか。 王妃様にお仕置きを決意させるとは、随分変な人なんだろうな…… 関わりたくない感じだな。
取り敢えずヒカリさんは放置で……
「おい、私と勝負しろ!」
うっさいな〜 もぉ〜 そもそも勝負してどうなるの? どうするの?
この人だけ威圧感高めで押さえつけようかなっと。
「ぐあっ! こ、こ、これは…… 魔王に襲撃された時に感じたプレッシャー…… それがどうして……?」
よし! これで少しは静かになるかな?
では次は千尋さんね。
まぁ千尋さんはあとから一緒に食事するから、空間魔法で檻作ってニーナさんとソフィアさんを同居させておけば問題ないな。
よし次〜〜〜!
レイリー何だって? 俺の悪口言うって? そうなのか 怒ってくれてありがとな。 でも少し冷静に……
「イオリ殿! レイリーは至って冷静でしたぞ! なんとこのレイリーが勇者殿相手に手加減をしていたのです。 冷静でなければできない芸当です!」
な、な、なんだって〜〜〜! レイリーが手加減だと…… ついについに俺の教えが伝わったか…… 俺はいま猛烈に嬉しい!!!!
「手加減の出来るレイリーならば騎士団としても大歓迎です。各々レベルアップのためにレイリー相手ならば申し分ないでしょう!」
なっ! ついにレイリーも騎士団に認められたか…… うんうん…… 俺は嬉しいぞ!
「何の話ですか? イオリ様? 団長?」
ぬっと俺達の会話に入ってくるレイリー…… 心臓止まるかと思ったぞ!
「おいレイリー! 手加減していただと! 私では相手にならんということか〜〜〜!」
おっ? もう復活したか? さすが勇者だな?
あぁ〜そうだ。お仕置きで駄龍のこころでの修行をお仕置きとしようかな? あそこならレイリーの本気も見れるだろうし、ヒカリさんも納得することだろうし、どうです王妃様?
「そこは過酷な場所なのですか?」
あはっ。脳筋しか居ませんから過酷ですよ、あはは。
「そうですか…… ではそこで、現実の厳しさをわかってもらいましょう……」
了解です! レイリーも一緒にお願いね。 では行ってらっしゃいませ! 地獄へ……




