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175.最後の勇者に出会ってみよう。②

やってきました、アンタルシアの街へ。




「あなた名前は?」

 

 少し上からの態度で声を掛けられ少しばかりイラっときたレイリーだがさすがに騎士である、その辺りのことは弁えている。


「私ですか? 私はレイリー=ヤガミですが? あなたはどなたですか?」


「おい! レイリーこの方を知らんのか……?」 


「誰でしょう?」


「はは、私を知らないとは恐れ入った。私の名は四ッ谷光。この世界に呼ばれてきた勇者だ。」


「へー。 では団長続きを!」


「……? えっ?! 私を無視するの? 私勇者ですけど?」


「あぁー勇者は間に合ってますので、他当たってください。では行きますよ団長!」


「待て! 待てレイリー! お前何でしらないんだ? この方は我が国が認めるただ一人の勇者だぞ?」



 アンタルシア王国へ召喚された勇者の数は全部で5人。 その5人のうちで最初に召喚されたのがこの「四ツ谷 光」だったのである。


 光が召還されてから調度一年後にまたしても勇者が召喚されるという事態に国としての対応を問われたわけで、とりあえず最初に召喚された勇者を国が認める勇者として市民に公表したというわけだ。


 なお他の勇者も、国が認めていないだけで実際召還された勇者ということは市民には伝えられているため騒動は起きないという仕組みになっている。

 


「へーでは団長続きを!」


「あなた、勇者である私を愚弄するのですか? あなたの腕前が素晴らしいので私のパーティーにと思ったのに…… 頭はあまりよろしくないようですね……」


「だから、勇者は間に合ってます! 私の夫も勇者なんです! そして私は夫のパーティーのメンバーなんです! もぅ折角団長がやる気になってるのに邪魔しないでください!」


(勇者という肩書きを相当鼻にかけている感じがどうもイオリ様と違うのでイラッときますね……)



「なっ?! もしかして私のあとに召喚された偽の勇者のことを言っているのか?」


「偽の? まぁ偽物ですね、自分で勇者なんてただの肩書きであってなんの価値もないって平気でいう人ですから。」


「勇者はただの肩書だと? ははは、なら本当の勇者の私ならばレイリーあなたとパーティーを組んであげてもいいわよ?」


「あはははは。あなたには魔王は倒せませんよ。 だって私より弱いじゃないですか? 言っておきますけど、私の夫は私よりも強いですからね。」


(なんで騎士である私が主と認めた人以外に付いて行かなくちゃならないのよ〜〜〜!)



「なっ?! 私が弱いだと? 大森林の向こうにそびえる大山脈の麓まで攻略し、さらに先日魔族10将の一人を討伐した私が弱いと言うのか!?」


「へー すごいですね」(棒)


「全然凄いと思っていないだろ!!!」



 (この人うるさいな…… 魔族10将くらい私も倒してるし…… うーん、こう言った場合イオリ様ならどうするかな? うーーーん?)



「ははっ! やっと私の凄さに気付いて声もでなくなったか? 安心しろ私は心が広いから今までの無礼も許すぞ。 そしてあっちの小さい少女も今からスカウトするからレイリーと言ったな一緒に行こう。」


「はぁーい。勇者様に着いていきます!」


 (多分イオリ様なら、へこへこしていつの間にか消えるてしまっている感じで接するよね? それに勇者様にまぁイオリ様にだけど一生着いていくから嘘言ってないしいいよね?)


 もう、あの勇者勝手にジュリアの所へいって…… 一体何がしたいんだろう?

 

「そこの少女あなた名前は?」


 (あは、この人勇者だからって全部上からなんだ。 へー勇者でもいろんな人がいるんだ。)


「わたし? わたしはジュリア=ヤガミでけど? お姉さんは?」


「あはは、こちらの少女も私を知らないとは……ってレイリーと同じ苗字とは姉妹なのか?」 


「勇者殿。この二人基本的にポンコツだったもんですから余り騎士団の情報は知らないかもしれません。」


 団長〜 変な人には説明いらないですよ〜!


「この二人がポンコツ? 見る目がないにもほどがあるじゃないですか? 団長殿?」


「レイリーお姉ちゃん、この人も勇者なの?」


「うん、そうみたい。」


「この二人は、あなたの言われる偽勇者の従者で嫁なのです。偽勇者の名はイオリ殿ですが、そのイオリ殿に二人とも呪いを解いてもらい大成した者なのです。」


「この小さな子も嫁にしていると……? 腐っている! 腐りきった奴だなそのイオリって奴は!!!」


「あっ! イオリ殿の悪口は……」


(やばい……魔物が目覚めてしまう、団員どもは何をしているのだ、一刻の猶予もないというのに! イオリ殿はまだか!?)


「あなたが勇者でも言っていいことと悪いことがありますよ?」


「ふふ、お兄ちゃんの悪口を言うんだ? 何も知らない癖に?」


(イ、イオリ殿、大至急大至急来てーーー!!! この二人を止めることはイオリ殿にしかできんのにーーー! あっ!もう一人いた! 王妃様を大至急王妃様を呼んでくるんだ!)


「団長も相手してくれないので貴女が私の訓練の相手してくれるのですか?」


(レイリー深呼吸深呼吸だ!)


「ふふふ、私を弱いと言うあなたの実力を見させてもらうわ!」



 騎士団長の抑制もむなしく二人は対峙し剣を打ち合う。


 その時団長はあることに気付いたのだ! あのレイリーが脳筋レイリーが手加減を覚えたと! この勇者殿多分腕前は俺と同じかやや勇者殿のが弱いくらい。対するレイリーはあの剣聖さまより強いのならば明らかに手加減している!

 

 イオリ殿の日頃の行いがいいのかついにレイリーに手加減を覚えさせることに成功したのか!? さすがイオリ殿だな!


 二人は剣を打ち合う。四ッ谷光と名乗る勇者はレイリーの剣捌きを嬉しそうに見、対するレイリーはつまらなそうに打ち合っている。



「何をしているんですか?」


 そこへ王妃様が登場した。 


 (ふぅ、取り敢えず王妃様ならばこの魔物二人を止めることもできるだろう 儂もう疲れたから休みたい……)


「レイリーちゃん? ジュリアちゃんどうしたの?」


「王妃様……、こちらの勇者がお兄ちゃんの悪口言うからレイリーお姉ちゃんが怒っちゃって……」


「レイリー少し休憩だ、王妃様に挨拶を……」


「少し本気を出しますね!」


 光が油断した瞬間にレイリーがほんの少しだけ本気を出す。


 光はレイリーの動きが全く見えていないそんな様子で、キンッと剣が弾き飛ばされる。 弾き飛ばされた剣は粉々に砕けてしまったようだ。


「あらあらレイリーちゃんもしかして相当怒ってる? 私じゃ止められないかもしれませんね……?」



(え〜〜〜王妃様が止められないのなら、やはりイオリ殿しか…… 大至急!大至急!イオリ殿の召還を望む!!!)



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[一言] ・・・【まともな勇者】は居ないでFA?
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