173.最後の勇者に出会ってみよう。①
やってきました、アンタルシアの街へ。
王妃様の部屋から出たすぐの廊下で見たこのない綺麗な黒髪の女の人とすれ違った。多分見た目からは俺と同じ召喚された人かなと?予想はついたが……
すれ違い様にチッ!と言われた…… 何なんだ? 俺が一体何を?
顔はキリッとしていて可愛いのにその態度かよ! 胸は俺のなかではBランクだし、今回は、まぁ許そうではないか!
「何を許すのじゃ?」
くっ!口から漏れていたか!
「それにしても、なんなのじゃあの女の態度は?」
よくわからない黒髪の女の人はそのまま王妃様の部屋へ入っていく……
王妃様のお客さんなら俺達には関係ない、ならば久しぶりにアンタルシアで遊ぼう!
まずはあの腐れ奴隷商をしばいて、次にドワーフの所でお前らの王様にも認められたと自慢して、今までの罪を悔い改めてもらおう。 そして千尋さんのところに顔だしてみようかな?
誰か一緒に行く?
「すみませんイオリ様、私は訓練所に用事がありまして……」
レイリーさんやそんなに嬉しそうに言われてしまっては俺としては何も言えないよ。気を付けて行ってくるといい。
「お兄ちゃん!私も訓練所に用事が……」
うんうん、ジュリアもいい笑顔だね、気を付けていってきなさい。
ラヴィーニャさんは?
「わらはは旦那様と一緒に行くのじゃ、奴隷商に行くとなるとまた……」
いや、今までの鬱憤をはらすだけだよ? 買わないよ?
「信用できんのじゃ! 旦那様は毎度毎度同じ事を繰り返しておるとなぜきづかんのじゃ?」
……。
マエリスはどうする?
「私も同行します。ニーナにも会いたいので。」
ふむ、まともな理由だ。 出会ったばかりの頃は恐怖の対象でしかなかったマエリスなのに今は可愛い以外に言いようがない! 大変素晴らしい!
夏樹さんは?
「千尋って言う勇者にも会ってみたいし私も一緒に行くよ。」
ふむ夏樹さんまでまともとはこれいかに?
「私がまともじゃないみたいじゃない!」
いや、昔はもじもじして可愛らしかったりしたけど、今はおっぱいで迫ってくるイメージしかなくて……
「むぅーイオリ君が大きいおっぱい好きになれば問題ないのに!」
……。 多分無理っす……。
マリーアは?
「私も同行します。ここにいても知りいもいませんし、私はイオリ様の彼女なので、ふふ。」
うむ! 頬をわずかに赤く染めおしとやかなその感じ大変可愛い! 合格! 何がどう合格なのかは分からないが合格だ! くどいくらい合格だ!
では行きましょう。千尋さんのところへ!
「「「「えっ? 奴隷商とドワーフのところは?」」」」
君達にあの腐れどもを見せる気になれなくなったから千尋さんのところだけにしよう!
というわけで、やって来ました冒険者ギルドへ。
ここで受付嬢をしているソフィアさんに千尋さんの様子を伺いに来たのだが…… 今日は休みか〜い!
仕方ない記憶を頼りに千尋さんの家に向かうしかない? マエリスは千尋さんの家知ってる?
「はい、知っていますよ。では案内しますね。」
流石マエリスだな何でも知ってる。
「何でもは知りませんよ?」
……。 ですよね……。
マエリスに案内されている道中、あの如何わしい奴隷商の前を通ってしまい、奴隷商に見つかってしまったが、完全なるスルーをしてやった。
ふっ、お前誰だよ? 的に完全スルーをしてやったのだ。 これにはあの気持ち悪い笑い方も出来なかったようで、完全に俺の勝ちであった。
あの奴隷商には男の娘を売りつけられた仕返しをと思っていたので、これで俺も納得してその二人と付き合うことが出来そうだ。
言い方に語弊があるな…… 普通に接するという意味でだよ?
道中少しばかり道草をしてしまったが、千尋さんのお宅に到着した…… ふっ、相変わらず素早い対応でって!
ねぇニーナさんそろそろいいんじゃないですか? マエリスも居るんだしさ!
だからおパンツの変わりにナイフはけって俺に言われちゃんうんだよ?
「よく来たな勇者5号、今日は何をしに来たのですか?」
喉元にナイフを当てながら、いつもこの挨拶でしょ? みたいな態度やめてもらえますか? それに勇者5号ってなんだよ!
「こらぁ! ニーナ! 私のイオリ君に何するの!」
「ふふ、よく来たなマエリス。 相変わらずお前の旦那は何と言うか……だな!」
「こらぁ! ニーナでも許さないよ?」
「ふふふ、仲が良いことで。」
……。 仲は良いから、ナイフどけてもらっても?
「チヒロは随分元気になったけど、まだお前と会うのは難しいだろな……」
……。 スルー? ねぇ人の話聞いてます?
「そっかチヒロさんまだ立ち直れないのか……」
……。 いや待ってよマエリスにもスルーされたら誰が俺を助けるの?
「旦那様いつもの事なのじゃ気にするでない。」
「せっかく来たのだから勇者お前も入って行くといい。きっとチヒロも喜ぶから。」
……。 えっ? みんな全力でスルーなの?
「へ〜 イオリ君はニーナさんともチヒロさんとも仲が良いんだ……? へ〜」
「シクシク…… 私というものがありながら、他所にも女を囲っているのですか……?」
夏希さん、マリーア……? 誤解が凄いよ? この人はな、俺をこっそり、さり気なく、事故に見せかけて殺すのが目的の恐い人なんだよ! でだな千尋さんには会った事もないし喋ったこともない!
「お望みならばいつでもかまいませんよ?」
……。
「ニーナ何騒いでいるの?」
……。 ん? 始めて見る顔だけど、黒髪黒目だしあれが千尋さん? 肩の辺りまで伸びた髪を後ろで一つに縛った可愛い女の子……
千尋さん、夏希さん、真琴さんにさっき王宮ですれ違った名前も知らない黒髪の人といい何でこうも可愛いか美人かなんだ? おっぱいには不満がある人もいるけど…… 千尋さんはどうやら俺基準では合格だよ?
向こうの世界で異世界召還される人を選別しているのは雫様だったよね? マジ雫様のセンス最高っす!
いやこれがご都合主義か? 可愛い子以外は召喚されない! 異論は認められてないのだよねきっと……?
「……」
……。
「……」
……?
「もしかして君が、イ、イオリ君? なの……?」
「チヒロ! 不審者だから見ちゃだめだ!」
ちょっと待て〜〜〜い! 誰が不審者だ! むしろニーナさん貴方の方がよっぽど不審者ですよ!
だって俺にすぐナイフ突き付けてくるでしょ? 不審者対決したら俺の負け確定だよ?
「あはっ、確かに不審者っぽい顔だね…… でも…… イオリ君なら何だか大丈夫そうだよ?」
「えっ?! これを見ても何も感じない……?」
おぃぃぃぃぃ! ニーナさんよ!? これって何よ? これって!? こんなんでもカッコいいと言ってくれる娘もいるんだよ!
「あはっ、ニーナと仲良しなんだね?」
おぃぃぃぃぃ! 今の会話からどこが仲良しなんですか〜〜〜?
「えっ? だってニーナが楽しそうな顔してるから。」
「……」
……。
「「誰が何と言おうと不仲です!!」」
「あはっ、息ぴったりだね!」
「「……。」」




