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172.自分の気持ちをぶちまけてみよう。

やってまいりました、アンタルシアに。




 魔族領から帰った俺達は、王妃様に報告に来ていた。


 魔族の情報は本当に少ないのだ、俺達が潜入したおかけでたくさんの情報が得られたのだ、王妃様がこの情報を逃すわけがない。


 胸くそ悪い話から、珍し小物の話まで全てを話す……マエリスの胸で泣いたことは秘密にしてある! こんなことがバレたら一生イジラレテしまうからな!


 それにしても今思うと勿体ないことをした! あの感触をもっと味わえたのではないかと! ぐぬぬ! 今にして思うと後悔しかない! 


 ……。


「どうやら、いつもの旦那様のようじゃのぉ?」(ラヴィーニャ)


「そうですね、いつものイオリ様ですね!」(レイリー)


「お兄ちゃんの、あのゲス顔はいつも通りだよね。」(ジュリア)


「マエリスさんが何かしたのかな?」(夏希)


「そうとしか考えられませんね、一体何したのでしょう?」(マリーア)


「ふふふ、秘密です。」


「なっ! 抜け駆け? 抜け駆けされたの?」 


 なにもしてません! 俺のヘタレっプリは皆さんご存知でしょうが!


「イオリ君早いよ!もっと楽しめたのにー」





「それでイオリちゃん達はどうするのですか?」


 王妃様の言葉で空気が変わった。


「魔族どもは皆殺しにして、奴隷を解放するのじゃ!」

 

 また同じことを言うかラヴィーニャ……


 いや、俺は反対だ。確かに人間や獣人の奴隷を家畜扱いしているのは胸くそ悪いが、ここに居る魔族達は普通の生活を送っているだけだ。これが、魔族の生活なんだよ、それを俺達が胸くそ悪いからぶっ壊すではあまりに無法すぎる!


「じゃが旦那様、あのもの達はこれからも魔族に血や肉を吸われ続けるのじゃぞ!」


 あぁ、そうだろうな、だがこれが人の形をしたものたちが自分達で望んだ世界なんだ、わかってくれラヴィーニャ。


「納得できんのじゃ!」


 納得出来ないのは俺も同じだよ、でも納得してくれ。


「納得できんのじゃ! なぜ人を助けようとしないんじゃ?なぜ獣人を助けようとしないんじゃ?」




ぶちっ、と何かが俺の中で切れた……


 俺にとっては人も獣人もエルフも、ドワーフも魔族も同じ人の形をした種族なんだよ!  そこに違いはないんだ! そもそもお前らは何も分かっていない! お前ら人の形をした者達の我が儘でどんだけエリクシアを傷付けているのかを! エリクシアがどんな気持ちでこの世界を創造しているのかを、どんな気持ちで俺達勇者と呼ばれる者を召喚しているのかを! 何も知らないくせに、自分達の価値観を押し付けるな!


 はぁはぁ……


 ……。

 

 ……。


 あかん…… 神の世界の話を知るわけもないのにぶちギレてもうた……


 ごめんラヴィーニャ今のなしで……


「ふふ、ようやく話してくれる気になってくれたのかのぉ?」 


 ……。


「旦那様は、毎度毎度溜め込みすぎなのじゃ。 確かにわらは達では旦那様の役にはたたんのかもしれん、じゃが一人では何も解決しないのではないかのぉ?」


「イオリちゃんは確かに溜め込みすぎですね。」


 いやそんなことは……。


「旦那様は強い。じゃが弱いのじゃ。 その弱い部分を埋めることはわらはたちにも出来ると思うのじゃがどうなのじゃ?」


 もう、埋めてもらってるから大丈夫だし……


「ふふ、旦那様ならそう言うじゃろうな。」 


 ……。


「わらは達は旦那様をずっと見ておるのじゃ、わらは達に弱いところを見せようとしないのはかっこよいがバレバレじゃ!」


 弱いところか…… 



「話せない話もあるのは分かるが、溜め込みすぎるのもいかがなもんかのぉ?」


 溜め込んでいるのは下半身のあたりだけだ!


「ふふ、何時でも発散させてあげるのじゃ。」 


「ふふ、ここに居る皆で襲っちゃいましょうか?」


 くっ! 王妃様……冗談に聞こえませんよ?




 前にも言ったが、俺としては俺の将来は、魔族も人も獣人もドワーフにエルフも一緒に暮らす、そんな世界を望んでいる。この世界のやり直しを止めるためにはすべての種族が協力し合わなければならないと考えているからだ。


 ただこの考えも無意味なものとなることは明白なのだけど…… どうして人は争いを繰り返すのか……? 


 困ったものだ、まだ今の魔王すら討伐していないのに、次の魔王の話をするのは早いけど、次の魔王討伐の時期がきたら今度は、俺と魔族、獣人にと全ての種族で討伐に出れるようにしたいものだ。 


 何年後になるのかはわからないけど……

 




 それにしても本当にラヴィーニャは俺をよく見ている。 俺の何処が気に入っているのかは分からないが、俺には勿体ないってことだけはわかる。 


 この子達との生活で俺の中の壊れてしまっているものが、どんどん修復されていっているのがわかる。 


 俺としては弱いところは見せたくなかったが、今更か…… この子達は俺の弱いところを含め俺を好きでいてくれるのだから。


 この子達のためにこの世界を救うとかっこいいことが言えればいいけどな。


 まぁ俺には似合わない言葉だな。




 さてと気合いも入ったことだし、魔王攻略に乗り出しますか!




「なに一人で納得しておるのじゃ? こちらでは今誰が最初に襲うのかを議論しておるのじゃぞ?」


えっ? 何それ? 恐い……


「ふふふ、イオリちゃんと不倫…… わるくないわね!」


 いやいや、マエリスさんもドン引きしてますよ王妃様……?


「王妃様それだけはおやめください!」


 おぉっ、メイド達と久しぶりに気が合った。


「ではお兄様の相手は私たちが!」


 ぎゃーこいつらいつの間に表れた!?  こんな時はこんな時は一番冷静なジュリアさんと逃げるしかない!


 ジュリア行くよ!


「はいはい、今度は私の胸で泣くのかな?」


 なっ! なんで知ってるんだよ! マエリス裏切ったな!


「あれ〜言ってなかったかな? 私達お嫁さんの中では隠し事はしない約束なの」


 ぐぬぬ、恐るべし嫁同盟! 

 



 


 はぁ〜 また嫁達に助けられたか……  俺の態度から察してくれたのだろうエクリシア関連の話はしたくないということを。


 話をうやむやにしてくれて本当に助かった……




 さてと今度こそ、この子達の為に頑張りますかね!


  

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