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170.魔族の街へ潜入してみよう。(2日目)

やってまいりました、魔族の街へ。



 魔族街潜入2日目!


 うーん、昨日だけにしておけばよかった……


 まぁ今さら気付いたところでどうにもならないわけだけど…… 


 俺たちは昨日と同じ様に街の賑わいのある辺りから調査を始めた。 昨日と同様に小物や雑貨などは珍しいものが多くて楽しめた訳だが、やはりありました奴隷商……


 当然と言えば当然……人間側ですら有るのだから当然だけど、売り物は人間、獣人、ドワーフ…… 大人から子供まで様々な年齢層の男女が売られている……しかし年寄りはいないようだ。


 俺達は少し遠めから中を覗いただけだが、マエリスは建物の内部をしっかりと見える位置から中の様子を伺った。


 どうやら奴隷の管理としては人間側の方が酷い扱いをしているようだった。 人間側の奴隷ならば、病気は当たり前、生命に危機を及ぼすほどの栄養失調に身体の欠損…… 今思い起こせば酷い有様だ……


 しかし、ここの奴隷は身なりも整えられ、肌の艶もあり健康的な感じが見受けられたそうだ。 表情だけは死んでいるみたいだったが、それは人間側の奴隷も同じことなので……。


 

 ラヴィーニャはすぐに開放をと訴えたが、俺としては魔王討伐後に解放改善していけばいいかなと思っている。 俺の将来的な展望では、魔族も人も獣人もドワーフにエルフも一緒に暮らす、そんな世界を望んでいるからだ。


 これはまだ誰にも言っていないが、この世界のやり直しを止めるためにはすべての種族が協力し合わなければならないと考えているからなのだ。


   


 しかし、これなら良いかもと思った自分がバカだった…… 


 この売られている人達が、最近誘拐された、連れ去られた者たちならまだ良かったのだが、マエリスの調査によると……


……


……


 レイリーもラヴィーニャも絶句した。


 まぁ俺もだけどね……


 どうやら魔族領では、数年に何回かは人狩りをしているようだが、大半の奴隷は家畜として増やされているようなのだ。 数年前に連れてこられそして、繁殖させられている…… 売るために使うために食すために…… 


 人を食すのはごく一部の魔族だけらしいのだが、やはり魔族とは一緒に生活できないのかと改めて考えさせられた。


 胸くそ悪いにもほどがあるがここは敵地、魔族領…… 文化の違いと言われても納得できないけど、今ここでキレてしまっては意味がない。


 俺は内心を隠し耐える、レイリーも耐える…… 


 でもラヴィーニャは態度にも行動にも出てしまう…… 歯をギリギリさせている…… 少し怖い…… 


 

 

 俺達は奴隷の繁殖状況を確認するために、人間牧場と呼ばれている場所へやってきた。 自分で言っていて、気分が悪くなる名称だ……



 ここでの調査もマエリス頼みだ。 どうやら、ラヴィーニャの腕輪で魔族風に変身しているマエリスは魔族にとっても美人に属す容姿のようで、魔族のおじさん共からホイホイと情報をかき集めているのだ。


 どこの世界でも美人はお得なのだ。



 そしてこの牧場の前でもおじさんホイホイは発動された。


 どうやら牧場の前をウロウロしていたマエリスを見つけた牧場主が話を聞くために出てきたようだ。


「お嬢ちゃん、こんなところで何してるんだい?」


「えっ…… 私、人間牧場に興味がありまして……」


「ほぉ〜 若いのにここに興味があると? それは素晴らしい! 最近の若い者は……」


「いえ、ご迷惑でしょうから……、すぐに立ち去りますので……」


「まて、待つんだお嬢ちゃん! どうせ今の時期は暇だから、中で話でもしていかないか?」


「いえ、そんな…… お仕事の邪魔になってしまいます……」


「大丈夫だ、さっきも言ったが今の時期はやることがないから暇なんだ。 おじさんの暇つぶしに付き合ってくれ。」


「そ、そうなんですね? ではお言葉に甘え少しだけ……」


 嬉しそうにほほ笑む牧場主…… ニヤッっと笑うマエリス…… マエリスさん悪魔ですね! 魔性の女ですね!



 それにしても今の時期暇ってことは、人間にも発情期があるのか? 俺としてはもう自分がわからないし…… 毎晩美女と美人に囲まれて寝ているのだ、理性は仕事しないし自分のスキルに頼って賢者になってどうにか過ごしているのだ。


 健常な男子諸君なら鼻から血が止まらないほど興奮しても致し方ない状態だよね?

 

 それにしても魔族風マエリス可愛いな……


 そんなおバカなことを考えている、俺をみてレイリーも油断してしまったようだ……


 そして気付いた時には遅かった……


 突然の威圧感に気付いた時には、牧場主の手にナイフが握られ、そのナイフの刃には黒い稲妻がまとわりついている……


 俺が「レイリー!」と叫んだ時には、レイリーは最近習得している縮地を使って牧場主の近くまで接近していたが、その時には牧場主のナイフはマエリスの脇腹に突き刺さっていたのだ。


 あの黒い稲妻付きのナイフで刺されたのだ、みるみるマエリスの身体が壊死していく……


「ミニクが勇者を倒すために企てている見に来いと言うので様子を見に来てみれば、知った気配を感じての…… お主確かあの勇者の嫁ではないか?」 


 ぐぬ、どうやら魔王の登場のようだ。 相変わらずの場違いの可愛い声、しかし今回は魔王本体ではなく思念体と呼ぶべきものだけで牧場主に取りついているようなので、いやになるあの驚異的な威圧感がないようだ。


「ふむ? どこかにあの勇者がおるのかの?」

 

 魔王に取りつかれた牧場主が俺を探す。 俺は魔王の気を引くために姿を表し対峙する。


 その間にレイリーは、マエリスに刺さったナイフの措置を行い、黒い稲妻に纏わり付かれている場所を綺麗に切り取った様だ。 マエリスは脇腹を中心に酷い状態に陥っていて血まみれだ……


「イオリ様! 私の聖魔法では治療が追いつきません、早く措置を!」


「ん? お主もよく見ればあの勇者の嫁ではないか? しかし今わらはは勇者と話しておるのだ邪魔をするでない!」


 魔王の手先から、黒い稲妻がほとばしる。 明らかにレイリーを狙った攻撃。


「いつまでも同じ手が通用すると思わないでください!」


 レ、レイリーさんがき、き、き、き、き斬った……? 黒い稲妻を斬った? 粉々に切り裂いた? 確かに日本にも稲妻を斬ったという伝説の武将もいるけど、実際に斬ったよ?


 確かに魔王からの黒い稲妻は、前に見た時よりも威力も速度も弱い感じだったが、あっ?! 牧場主の腕丸焦げだ…… 体が耐えきれないのか?


 いやそんな事はここが片付いたら考えればいいのだ、それよりもマエリスの治療が優先だ。


「ほう、わらはの稲妻を斬るか? 面白いこれならばどうじゃ! …… ……  チッ! こやつの体が耐えきれんか……」


 確かに牧場主さん全身黒こげですからね!


「残念じゃが今回はここまでのようじゃ! ミニクには勇者が潜入しておると伝えておくでの、楽しみにまっておるがよい!」


 そう言い残し魔王の気配は消えた…… 




 誰が敵が来るのを待っているんだよ! 俺達は負傷したマエリスを抱えサイナルヘ戻った。

 

 


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