167.罠を仕掛けてみよう。
やってまいりました、魔族の街へ。
魔族の街が地下に存在しているとわかったが、どうやって探せばいいのか?
「お兄ちゃんのスキルで手当たり次第掘り起こせば?」
……。
過激なのは禁止で!
「んーじゃぁ私が雨を降らせるからその雨が行き着いた先が街ってことはないかな?」
あるかもしれないけど、この広大な面積の雨水の調査って不可能なんじゃ?
「んー じゃぁミニクさんに聞くしかないよね。」
ですよね。
「いいえ、もう一つ案があります。」
ん? 珍しくメイドが協力的ではないですか?
「ふふ、私達もいくらあなたがアホな事しか言わなくても、協力するときは協力しますので。」
軽くデスってくるの止めてください……
「真実ですし……」
……。 もういいよ、良い案教えてよ?
「勇者あなたをお取りに魔族を呼び寄せるのです!」
ほうほう、中々興味深い案ですね。 確かに俺ならいい餌になるかもしれないし。 メイド達を少し見直したぞ。
「全裸のあなたに魔物の血を塗り込み、魔物を呼び寄せるのです! にや〜」
全裸の意味がないし…… 俺が呼びたいのは魔族であって魔物じゃないし……。
「私達のおパンツを見たのです、これくらいはしてもらわないと私達の心の傷は癒えません。」
み、み、見てないし! お前らのは暗器しか見てないし! 言いがかりはよせ!
「暗器こそが私達のおパンツなのです! 乙女の傷心を回復するには血が必要なのです!」
こ、このやろー じゃ〜短剣履いてみろよ、身に着けてみろよ!
「コラッ! イオリ様で遊ばないの!」
レイリーさんの一喝が……。
お、俺…… あ、遊ばれてたの?
「メイドさん達もイオリ様の事が大好きなのはわかりますけど、今は作戦を考えている最中ですよ? もっと真剣にお話を聞きなさい!」
「な、な、な、な、何を言われるんですか? レイリー様?」
「あ゛っ?」
「マ、マエリス様、落ち着いてください……!?」
「こ、これが落ち着ける状態ですか? 私のイオリ君を取ろうとするとはいい度胸ですね? ニタ〜」
マ、マエリスさん落ち着いて……
「レ、レイリー様の勘違いです! 私達がこんなアホ面のカッコ悪い男を好きになる訳ないじゃないですか!」
「あ゛っ? 私のイオリ君がアホ面でカッコ悪い? そんな事がある訳…… あっホンマや…… ってなる訳ないでしょうが!」
マエリスさん何処で仕入れたのそのネタ……?
「ギャー γ〇∴@¥△☆□……」
こうして悪のメイド達は滅びたのあった……。
……。
「ペシッ! イオリ様も遊ばないの!」
……。
ではジュリアさんもう一度続きからお願いします。
「お、お兄ちゃんの切り替えの早さ凄いよね…… えっと…… んー じゃぁミニクさんに聞くしかないよね。」
ですよね。 (ふふふ、俺はメイド達ざまぁ〜と思いながらも真剣な話が出来るのだ!)
やはりそれが一番早くて確実だな。ミニクさんには魔族には一切手を出さないと約束して街の場所を教えてもらおうか?
もしくは、ミニクさんを解放して街にたどり着いた時にミニクさんの居る場所へ転移するかだな。 マッピングスキルに登録済の人物ならどこに居てもその場へ転移可能だし、追跡を逃れることは不可能だしね。
前項は戦いになる確率は少ないが教えてくれるかは微妙だし、後項は確実だがミニクさん以外の魔族と戦闘になる確率しかないし……
なんとか穏便に済む方法は無いものか? ……。 あれば苦労しないわけだけどね。
う〜ん……。
罠で行こうか……。
ミニクさんを解放する案でいきます!
向こうでの対処は当たって挫けろで。潜入メンバーは俺、レイリー、マエリスだけで行ってくる。 だから、ラヴィーニャ変身できる腕輪貸して。
俺とレイリーは不可視状態でマエリスの護衛、マエリスは魔族に変身して情報収集。 どう?完璧でしょ?
「旦那様、わらはも行くのじゃ!」
ん? ラヴィーニャも行きたいの? 少人数の方が動きやすいから今回はご遠慮願いたいんだけど?
「絶対に行くのじゃ! 旦那様を危険から守るのじゃ!」
う〜〜〜ん、ラヴィーニャは言いだしたら聞かないし……。 レイリーさんマエリスさんご意見は?
「そうですね、ラヴィーニャ一人増えた所で支障はないかと思いますけど?」
「そうですね私も支障はないと思います。」
ふむふむ、二人がそういうならOKって事で同行許可します。
「旦那様大好きなのじゃ〜〜〜!!!」
(ぬふふ、旦那様がエリクシア様を伴侶にと言い出したあたりからどうも考え事をしている時が増えたようじゃし、ここらで調査をしなくてはのぉ)
照れるではないか〜〜 このこの〜可愛いの〜 可愛いの〜
では、思惑まるわかりかもだけどミニクさんを解放してくるね。 解放場所は戦闘を行ったあの場所になるけどみんな異存はないよね?
「「「はい」」」
では、解放は俺とレイリーで行ってくるから、ちょっと待ってってね。
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「お主たちの魂胆はわかっているが、今回は感謝しておこう。 次に会ったときは我も容赦はせぬぞ!」
次も手加減してくれると助かりますけどね。 まぁミニクさんは義理堅いから俺がドジしても見逃してくれるでしょうけどね。
「ぬかせ! 次はお主と戦うからな! レイリー殿は拒否してくれよ?」
はは、レイリーは俺の護衛だぞ? 俺を危険にさらすと思うの?
「次の機会があればイオリ様がお相手しますね。お元気で。」
「ははは、さすがよくできた護衛だな、では世話になったな達者でな。」
ぐぬぬ、レイリーが裏切った……。
ではでは、ミニクさんが魔族の街に到着するまで待機ということで……その辺で魔物でも狩ってから帰ろうか?
「はい! 久ぶりにイオリ様と二人で狩りですね。 ふふ楽しみです。」
俺は薬草採りしかしないけどね。
さてミニクさんが俺達の思惑をわかっているのならば、そうとうの準備をして来るはず、それに対抗するためには……
毎度毎度頭が痛いよね…… 軍師俺参上ってやってた時が懐かしいよ。




