156.王妃様に睨まれてみよう。10-30
やってまいりました、アンタルシア王国へ。
ドワーフの国でわいわいと楽しんでいたある日、王妃様から手紙が届いた……
みんなで散策したり、二人で出歩いたり、ドワーフの宴会に混じったりと楽しい毎日を過ごしていたのに……
手紙の内容はと言うと一言 「働け」 とだけ記載されていた。
この一言だけの手紙に恐怖を感じた俺と嫁達は急いでアンダルシアに戻り王妃様のもとへ馳せ参じた。
「少しばかり落ち着いたと思って。だらだらと遊んでいると聞きましたが、一体何をしているんですか?」
少しばかり怒った様子ではあるが、この程度なら問題なさそうだ。
俺は堂々と、今を楽しんでいます! この子達と仲良くなるために頑張ってます! と言ってみてた。
「聞くところによると、魔王討伐後に楽しい大人の時間を作っていくそうですね?」
いや、言い方が…… 今も重要なのです。仲が悪いとですね連携ができなかったり、不信に思ったりあるわけです。
「なるほど、わかりました。 今後はあなたの国が安定するまで、皆と協力し仲良くすると良いでしょう。」
安定するまでって…… 年単位じゃないですか?! それはさすがに無理っす!
「そうですよね。では、私が指定する街道の整備とイオリちゃんが住むお城の基礎、街を囲む塀の建設、住宅街の整地及び住宅用の木材の確保。あとこれが一番重要なのですが、収納空間の入口の増設ですね、ここまでをやり終えるまで働いてもらいます! 十分遊んだのですからこれくらいはできますよね?」
……。 この内容、俺しか働いてないですよね?
「ラヴィーニャちゃんも国で仕事が山のようにあるはずですので安心してください。」
「何も安心できんのじゃ! 旦那様と一緒がいいのじゃ!」
「ギロッ」
王妃様の一睨みでラヴィーニャさんが黙る……
俺も反論を、そもそも収納空間の入口の増設は……
「ギロッ! 出来ますよね?」
はい! できるであります!
「ふふ、よろしくね。 あと城の建設にはこの子達も一緒に連れていってね。」
俺の苦手な双子の義理妹を連れていけと…… こいつらがいると邪魔に……
「ギロッ! 邪魔をした場合は報告をしてくださいね。お仕置きしにいきますので。」
「お母様! 絶対に邪魔しませんであります!」
なにこれ…… どこかの軍隊? 早く仕事を片付けてご機嫌を取らなければ楽しい時間は来ないと気を引き締めてかからねばなるまい。
では、早速収納空間の入口の増設ですが…… 名前がですねネタ切れなんですよ……。
シュウ、ノウ、クウ、カンでもう打ち止め何ですよ。いいアイデアあります?
「そ、そ、そんな些細なことで増設を躊躇っていたと? おバカですかあなたは!」
いやいや、名前は重要なのです! ねっシュウ?
「ご主人の言う通りです。」
誰にも聞こえないシュウとの会話……
「そもそも私もシュウちゃん達とお話したいですわ。」
……。できるのか?
「できます。あなたの理不尽スキルをもってすれば。」 《望んだ料理を作る》が教えてくれる。
できるんかい!
「姿も見ることが出来るはずです。」
いや、姿は見えないほうがいいような?
「いえ、姿も気になりますので。」
後悔しても知りませんよ、結構エグい感じになりますから?
「エグいですね…… 姿は見えないほうがいいみたいですので、お話ができるだけで十分のようですね。」
ですよね、四、五歳の見た目の女の子のお腹から物を出すのだ、結構エグい。俺ぐらいシュウ達に、愛情がなければ心が折れる。
では、収納空間の入口の増設を行います。何個いるのでしょうか?
「イオリちゃんが一つ、私が一つ、帝国に一つ、ラカルノに一つ、獣人の国に一つ、ドワーフの国に一つ、そして新国に一つの計7つですかね?」
じゃぁ、あと3つですね。了解です。では、増やしてみましょう。どうやって?
「ご主人!増えてと祈れば増えるっす。」
シュウさんに言われるがまま祈ってみる。 俺の前に歪んだ空間が3つ浮かび上がる。
「「「こんにちはご主人! お名前を決めて。」」」
ねっ?王妃様よろしくね。
「そうね、クラ、エア、ルーでいいかしら?」
「「「うん!ご主人!気に入ったよ!」」」
「では、これからよろしくね、可愛いお嬢さんがた。ニコッ。」
「「「お姉さん綺麗だし、私達頑張るよ!」」」
ウンウン、麗しいのぉー心安らぐのぉー では俺はこれで…… 逃げようとする俺は、ぐいっと何かに捕まれた……?
「イオリちゃん街道の整備もよろしくお願いしますね。 にこっ」
はっ!! 閣下のご命令通り大至急行うであります!
「よろしくねイオリちゃん」
「感想、レビュー、ブクマ、評価、待ってます!!」




