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150/193

150.夜のメイド達の活躍を見てみよう。

やってまいりました、国境へ。



 戦争が始まって2日目の夕方。


 確か戦争では3割減で全滅、5割減で壊滅って言ったような気がするから、今の状態はというと、兵数は最初と変わらない、俺の攻撃で心が折れた兵士の数は実際の所未知数だ。




 さて、一つ確認しておこうと思う。 俺は夕食前のこの時間にマエリスを呼び出し、二人きりでお話をする。


 マエリスさんや、俺に何か隠し事をしていませんか? 


 ジィーっと、目を合わせながら少しずつマエリスの顔に近づく さらに近づく ジィーっと 唇が触れるくらいまで近づく…… いつも向かい風が吹いているマエリスから汗が垂れる。そして目が泳ぐ……


「ごめんなさい、イオリ君。 王妃……お義母様からの命令で相手に調略を……」


 やはりか、やはり何か隠してたな。 


「昨日の戦闘の結果をお義母様に伝えた所、イオリ君を魔王って設定にする噂を流して……」


 やっぱりか、昨日の今日で俺を魔王呼ばわりすることに少し不自然に感じていたんだよな。 ってことはアンタルシアの者がだいぶ入り込んでいると?


「はい。 ニーナを始めメイド隊が相当数…… 治療班として同行しています。」


 どうせ嬉々として俺の噂を流してるんだろうな…… 魔王よばわりは俺も流石にへこんだよ……? お義母様に仕返しをするしかないよね? お礼と称して甘くて太る物を送っておこう。


 ってことは相手の内情もわかるのかな?


「はい。今相手は、魔王の登場という流言により少しばかり混乱状態にあるようです。イオリ君が気にしている、心が折れた兵の割合は15%と言ったところでしょうか。」


 そっか思ったより士気が落ちていないってことか…… いや上出来と考えたほうが妥当か。  誰も見ていないことを確認しマエリスにチュッとしてみんなを集めるように指示をする。


「もう! 不意打ちは反則なんだから…… モジモジ……」


 

 

 

 相手の情報が入った俺は考える。 俺も調略には手を付けようかとあれこれ考えていたが、お義母様が代りに手を出してくれたのなら俺は戦闘の方に集中するとしよう。


 そして考える。


 俺が相手の指揮官ならば今夜、夜襲を行うなぁっと。 士気が落ち始めている状態で明日また同じように平地で戦っても勝ち目はない。 しかし奇襲だけで相手を全滅させるのは難しい。 だから相手を全滅させるには平地での戦いが肝心なのだ。 よってピンチに陥る前に手を打とうと思うのが指揮官の常。 だが奇襲を行うのは諸刃の剣……成功すればいいが、失敗した場合士気の落ち込みが激しくなるだろう。  


 

 その事を本陣に陣取る各国の代表に話す。 


 俺の話を半信半疑で聞き奇襲の存在を否定する者もいる。


 しかし、ドワーフの国は俺を絶対的に信じてくれる。ドワーフの中では他種族の友は信用できる存在という理由からだ、ありがたいことだ。 ラカルノ王国の軍団長はアンタルシアの手の者の指示に従うようにとの命令を受けているらしいので賛成。


 肝心の獣人の偉いさん達に賛同者が少ないのだ。 ラヴィーニャやギャビンはもちろん俺の話を聞いてくれるが、その他の者たちが…… 俺の実力は問題ないが、最前線での行いが不評の種らしい…… まぁこれはラヴィーニャにも怒られたよ 「わらはも混ぜろ」と……


 

 これは想定内の事だったりする、ここにいる者たちには夜襲があるから警戒をってことを伝えただけで、すでにメイド部隊に指示をだしてある。 闇の世界で本領を発揮するメイド達…… メイドって概念が崩れる存在…… 今回はお義母様の指示でお姉さま達も参加しているそうで……勝ったなこれは。


 夕食を食べたら俺達も参戦しよう。 夜の闇で活躍するメイド達を見るために。



――――――――――――――――――


 

 予想通り敵軍は、夜襲を行ってきたわけで、兵数は5千ってところらしい。 夜襲をかけるには思ったより大胆な数である。 兵の移動する音が暗闇で不気味に響きわたる。 思った以上に相手は本気でこの夜襲にかけているようだ。



 この世界の夜は夜なのだ。当たり前だが、真っ暗な夜なのだ。 月明り、星明りその程度の明かりで進軍する兵たちの恐怖心は推し量れない。 その暗闇で一人また一人と数が減って行く、隣を歩いていたはずの仲間が微かな悲鳴と共に消えていく。 兵たちの恐怖心たるや尋常ではないだろう。


 俺の目には暗闇での出来事はさっぱりわからないが、特殊なスキルをメイドはみんな持っている。 そのスキルにより暗闇でも普段と変わらない動きができる、そんな特殊な存在が俺とマリーアの援護でさらに強力な力を手に入れているのだ負ける要素がない。


 

 敵兵の悲鳴が徐々に増えていく、俺は薄っすらと首に残る傷跡を触りながらスン斬りで助かったなぁとしみじみ思うのだ。


 

 しばらくすると敵兵の混乱した様子が伝わってくる。 恐怖に支配された相手ならば俺のメンタリストのスキルも活躍できるはずと思い準備していたのだ。 全員の心をへし折るにはちょうどいいスキルだ。 信者達にはなかなか効かないがレベルも上がったことだしまた試しに行ってみよう。


 俺はスキルを発動し見えない敵の恐怖心を更に煽る。 恐怖に絶望する敵兵たちの嘆き越えが聞こえる…… ちょっとやり過ぎたか? 


 敵兵たちは投降を願い訴える。 それを受理し、手厚くもてなし翌朝には自陣に帰ってもらう。 これで作戦は終了だ。 ちょっとばかり眠たいがこれで勝利は確定したことだろう。


 

 この様子を見ていた獣人のお偉いさんたちも唖然としているようだ。 一部では何故そのまま生かして帰したのだと訴える者もいたが、生きたまま帰すのが正解という意見が大半を占めた。 そしてやっと俺の事を評価してくれた。 ふむふむ、これからはもっと空気を呼んでイチャつこうと思う。

 

 

 さて最後の仕上げと行きますか。

     


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