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145/193

145.結婚式をしてみよう。

やってまいりました、獣人の国の首都サイナルヘ。



 さて、結婚式当日になったのだが、ここに来て拾った勇者が目を覚ましたという知らせが届いた。 信者ではない本物の犬耳獣人のメイドさんが面倒を見ていたのだ、なんとも羨ましい限りである。


 勇者の名前はニノミヤ マコト。茶髪でショートカットの鋭い目付きの女の子だ。胸は俺的にはナイスだ! 人それぞれ、好き嫌いには個人差があると思うけど、俺はナイスとだけ言っておこう。


 さて、このマコトさん魔王アリーヤに襲撃されていたあの日から目を覚まさずうなされていたのだ。 よくも!とか、何でだよ!とか、大きな寝言を言ったと思ったら、時おり涙を流したりと…… 涙を流す理由がわかるだけに何とも言えない感情におそわれる。

 

 知らせが来たのはいいことなのだが、俺たちは朝から大忙しなのだ。獣人の国の何とかの儀とか、アンタルシアの何とかの儀など、何とかの儀ばっかりが午前中は続き、それが終わればやっと披露宴となるわけで…… 何とかの儀だけで俺はもうヘロヘロになっている。


 披露宴となればもう自由だ、各国のお偉いさん達ばかりだが、気心の知れた人も沢山いるわけで和やかな雰囲気で披露宴は進んでいく。 各国の王様から祝福のお言葉をいただき、いよいよサプライズの時間がやってくる。


 駄龍にはドラゴンの姿に戻って何か芸をしろと言ってあるが、さて何をするのやら?


 人の姿の駄龍が、嫁達に祝福の言葉を、俺には悪態を…… あとでお仕置きだな。


 各国の王族よりも後の挨拶となった駄龍に、お馬鹿国王が文句を言っている。さて、本当の姿に戻った時も同じことが言えるのだろうか?


 では、駄龍よとびっきりの芸をしろ!


「うるさい悪魔め! 黙って見ていろ!」


 またしても悪態をついたのでお仕置き二倍だな!


 ぐぎぎとしばらく睨みあったが嫁の仲裁が入り、またしても二人で怒られてしまった。その様子を各国の王達は微笑ましく見ていたが、駄龍がドラゴンの姿に戻り、口から巨大な火のを吹き、まるで花火のように色鮮やかな火の粉を飛ばしている姿を見て、駄龍のことを知らない人たちの顎が外れんばかりに大きな口を開けて驚いていた。


 お馬鹿国王はまたしても后に怒られて半泣きだ、お付きのもの達は、国が滅ぶとガタガタ震えている。まぁ相手をよく見てものを言おうね。


 それにしても、駄龍の癖になかなか洒落たことが出来るじゃないか、よし、お仕置きを増やしておこう!!

 

「おい悪魔! しれっと何言っているんだ?」


 いやお前って、お仕置き好きみたいだし…… ウルリカにも喜んでやられてたじゃん?


「悪魔!お主とは1回とことんやり合わねばならない様だな!」


つい最近お前、幽体離脱したの覚えてないのか……?


「……」




 

 続いては、エリクシアとウルリカの共演だけど、姿は表さないそうだ。ちょっと残念だ。ウルリカの半端ないプレッシャーにより普通の人たちは立っていることができなくなっている、このままでは披露宴どころではないので、コラッ!ウルリカ!と呼び捨てで怒ったら、恥ずかしそうな雰囲気になりどっかへ逃げていった。


 ぷぷ、ウルリカめ、攻めるのは好きだが攻められるのは苦手とみた! これからは攻めてみよう。ふふふ。


「イオリ、遊んでいないで祝福の言葉をかけるからみなを並ばせてください。」


 エリクシアの優しい声が響き渡る。この世界の神エリクシアからのお言葉である、その神が、祝福してくれるというのだ、またしても各国の王達は顎が外れそうである。


「我が伴侶イオリとの結婚おめでとう、あなたたちの住む人の世界においてイオリのことをよろしくお願いしますね。」


 このエリクシアの言葉を聞き、招待客のあごが外れた……


 俺とエリクシアの関係も伝わったことだし、これでお馬鹿国王も獣人の国にちょっかいを出すこともなくなるだろう。 あぁ……王妃様ほくそ笑んでいるな…… 何て悪そうな笑みなんだ、でもこれでこの世界から戦争がなくなれば俺としては嬉しいからよしとしておこう。



 さて、最後の招待客の魔王アリーヤは……


 やはり来てくれないか……?


 雰囲気には出さないがエリクシアもそわそわしているのが俺にはわかる。




 披露宴は続き、もう終わりが近づいた時に、ウルリカ並みの強烈なプレッシャーが辺りを包む。


 あっ!本当に来たのかよ! 少しだけ俺は嬉しくなった。


 だが、このプレッシャーを感じ姿を表した者がいる…… マコトさんだ……。



 まだ本調子ではなさそうだが、披露宴が行われている広場に現れたのだ。


 魔王に向かって、思いの丈をぶつけているようだ……。気持ちはわかる気持ちはわかるが、今はエリクシアに譲ってほしい……


 エリクシアとアリーヤに話をする機会を作ることが今回危険を承知で魔王アリーヤを呼んだ理由なのだ。だから、気持ちはわかるが今は……


 マコトさん、以外の人達は魔王のプレッシャーに気圧されているため声を発していない。 嫁達はと言うと、ハンドサインで本当に呼ぶなよ! っていう突っ込みが入れられている。 さすが俺の嫁であるもう魔王のプレッシャーにも慣れてしまったようだ、あは。


 マコトさんは、まだ言い足りないのだろう、涙を流しながら……

 

「ごんっ!」


 マコトさんはぶっ飛んで壁に当たり気を失ってしまった。


 アリーヤが何かをマコトさんにぶつけた? 可愛そうだが可愛そうだが今は許して……


「お主、本当に結婚式をしているようだのぉ? 本当の馬鹿なのか? そしてエリクシアにウルリカまでも呼んでおるとはな、なかなか手の込んだ事になっているではないか?」


 ウルリカ、戻ってきてるのか? いつの間に……


 アリーヤ! お前にエリクシアと話すチャンスをだな……


「エリクシア、久しいのぉ。 そこのアホォと夫婦になったと聞いたが、何を考えておることやら? そして何よりもわらはが姉じゃろうが!」


フムフム、魔王アリーヤは根にもつタイプと……


「ふふ、久しぶりだと言うのに相変わらずお姉さん気取りですか? 変わりませんね。」 


 この二人の会話を聞いているすべての人が驚愕の事実を知ることになった。


「あやつら達に何を吹き込まれたかは知らぬが、わらははこの世界を壊し、好きに生きるときめたのじゃ! 邪魔をするではない!」


「何も吹き込まれてなどいません。私はあなたのことが…… 」


「フンッ! くどいぞエリクシア!」


「私の選んだイオリならば…… あなたを助けることが出来ると確信しています。」


「ははは、確かにそやつからは凄まじい力を感じる。あと少しでわらは…… いや、エリクシアお前に匹敵する力を手にするだろう、だがわらはは負けぬぞ!」 


「アリーヤ……」


「話はここまでじゃ! またいずれ合間見れようぞアホォの勇者よ!」


 くっ! 作戦失敗か…… いつか戦うその日まで……俺は強くなれるのだろうか? このスキルを使いこなせるのだろうか?


はあー 困ったもんだ。





では、お説教されますかね…… 誰からですか? あっ王妃様ですか? 代表として全員の分を? しくしく、俺にも考えがあったのに…… しくしく



「あはははは、またイオリ君怒られてるね。あはははは。でも、魔王アリーヤを倒せそうなのはイオリ君だけだからね、もう一人の勇者も大山脈の麓で見かけたけど、まだまだ全然だからね。あの成長速度では、この世界が滅ぶ方が先になりそうだから。君しか頼りはいないからね、頑張ってねイオリ君。」


「イオリ、アリーヤの事に頼みましたよ。そして皆様イオリのことをよろしくお願いしますね。」


二人の神と魔王は去っていった。


「おい悪魔よ、ここの飯美味いから儂残ってもいいか? 」


おいおい駄龍さん俺を褒めても…… べ、別に、嬉しくなんかないんだからね!


「何でお主が照るんだ?」


この食事全部俺が(《望んだ料理を作る》が)作ったものだから……


「なっ! う、うそをつくな!!!」


周りを見てみろ……


「……」



こうして結婚式と披露宴は終わったのだが、お説教は、長々と続けられた……





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