141.再び魔王と出会ってみよう。
やってまいりました、大山脈のふもとへ。
今回のメンバーはこの世界最強の生き物と、この世界最強の人間を引き連れ魔物狩りに出ているわけですが、お目当ての魔物がなかなか見つかりません。
何でこんなに見つからないんだーと叫んでみたが、理由は簡単なことだった。どうも近くから魔王の気配を感じるのだ、それも誰かと交戦している感じかする。
行きたくない! 逢いたくないが、交戦中とならば見に行くしかない……
俺たちは渋々魔王の気配がする方へ赴き、その闘いを目にする。
「久しぶりじゃのぉー勇者よ! ずいぶんとわらはの部下を亡き者にしてくれていようだのぉ?」
相変わらず可愛い声だ。 いやいや、成り行きで仕方なくですよ、魔王さん。
「はは、わらはの部下に成り行きで倒されるような者はおらんと思うのだがな」
魔王の気が俺に向いているうちに逃げてくれないかなと、冒険者達をチラ見する…… 二度見する! けしてスカートが風でまくりあがったからとか、可愛かったからとかではない! だってあちらも勇者だったんだもん……
あら? あちらも勇者かよ! それもまた女だし! 「ニノミヤ マコト」? 日本人名前だし間違いないよな?
交戦中なのはわかるがどう見ても二人ほどはもう事切れている…… 魂も周りには見当たらない、少しばかり遅かったか。
よく見て見ると従者の補正も無くなっている…… もうこの勇者マコトでは魔王には勝つことはできないだろう。それなのに勇者は、魔王に斬りかかる。魔王の意識は俺に向いているからか、簡単に斬られているが傷ひとつついていない。大森林のこんなに奥にいるのだからそれなりの腕前なのだろうが、俺が見た感じではレイリーよりも弱い。
「よくもよくも」、と魔王に斬りかかりながらマコトは涙を流している。
さて困った。いまの俺ではまだ、魔王に勝てる未来が見えない、されど、このまま見捨てて転移するわけにも行かない。
魔王のデータを取るため、を使用し魔王のプレッシャーを軽減する。
「勇者よお主少しばかり腕をあげたかのぉ?」
どうたら軽減できるようだ、これならレイリー達でも戦えそうだ。
魔王はもう一人の勇者など気にも停めていない。それどころか面倒臭いとばかりに威圧感を高めて勇者を吹き飛ばしてしまった。 マコトは気配からして気を失っているだけのようだ。
では、帰りますか?世界樹さんにも言われたが俺は都合が悪くなると帰りたくなる。この癖治さないとな。と斜め上の事を考えていた。
「何故お主はわらはと対峙しておると言うのにわらはを見ておらぬ?」
そう言いながら、俺に黒い稲妻を叩き込む!
現実から目を反らしているだけですよ。 黒い稲妻にも>を使用し様子を見る。
「ふはは、お主少しばかり変わったか?前に会った時よりも面白くなっておる。」
そうですか? じゃぁ今度俺の結婚式があるんで是非来てくださいな。 結婚相手は地上の人ですけどね。 一応言っておきますがエリクシア様とはもう結婚済みですのであなたとは兄妹の関係ですのでよろしくね!
「なっ!? エリクシアと結婚しただと?! そして結婚式にこいだと?」
「勇者殿さすがにそれは……」
「悪魔よ頭が可笑しくなったのか? あぁ元からか、がははは」
駄龍は後で殴るとして、魔王も剣聖さんも動揺している。
「ま、まて勇者よ!なぜわらはを呼ぶのじゃ?意味がわからぬ。」
いやぁーもう身内みたいなもんですから、いまは争ってますが魔王さんは義理の妹みたいなもんですし。
「ははは、エリクシアはわらはのことを妹と申しておるのか! どっちかと言えばわらはが姉じゃと思うのじゃがのぉ。」
へーその辺はどっちでもいいですけど、エリクシア様も呼ぶんで、是非きてくださいね。
「ははははははは。今日は勇者を一人亡きものにしようと思っておったが、興ざめじゃ! お主と話しておると頭が可笑しくなりそうじゃ。」
そういい残し魔王の気配は無くなった…… 人の事を頭が可笑しい呼ばわりとは。何だか悲しくなってくる。
さてさて、どうしましょ? この子達拾って帰ると嫁達に怒られそうで……
「いやいや、勇者殿そういう問題ではないと思うのじゃが?」
ですよねー では、一旦帰ってまた来ますので、剣聖さん達はセカイジュウを捜して見てください。
……。
「旦那様!この忙しい時にまた問題事を拾ってきおってからに!」
ヤバいラヴィーニャさんがのじゃって言っていない。俺だって首を突っ込みたくなかったけど、魔王と闘っていたんだもん……。
「なんじやと! そういうことはもっと早く言うのじゃ!」
おぉ、のじゃが戻った、ではでかけてくるね!後はよろしく!
「なっ?! まつのじゃ!いや旦那様が関わると……。 気を付けて行ってくるのじゃ。」
ふふふ、丸投げ作戦成功だ! 狩り場に戻りセカイジュウを捜そう。
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