126.イガイガの原因を比べてみよう。
やっと会えました、勇者に。
「なんですか貴方! いきなり私たちの邪魔をするとは! 事と次第によってはタダじゃ起きませんよ!」
おぉ〜おぉ〜やはり絡んできたか。
「お久しぶりです、スプルさん……」
ん?レイリーの知り合いか? 何その嫌そうな顔? レイリーがそんな顔すると言うことは、嫌な奴なのね?
「あら? 落ちこぼれレイリーじゃないの、どうしたのこんなところで? あいつは貴方のお仲間かしら?」
いや〜感じ悪いですね、帰りましょうか?帰ってもいいですよね?
ごめんなさいね、お邪魔しました、じゃ帰りますんで、もう二度と会うこともないと思いますけど頑張ってくださいね。
では〜
「ちょ、ちょっと待って、待ってください! あなた日本人ですよね?この世界の人じゃないですよね?」
日本語で話しかけてくる夏希さん、何だか懐かしいな。
しかし、俺は事なかれ主義!(今日から)なのだ、嫌な人には接しないのだ! では〜
「待って、ねぇ待ってよ……。スプルのことは謝るから……。」
涙目の見た目ロリ巨乳……俺には需要はない! ないが、話は聞いて行こう、このまま立ち去っては流石にクズっぽいし。
ここからは、みんながわかるようにこの世界の言葉で話す。
まずは自己紹介をお互い行い、各々の話を聞く。夏希さん達の話は概ね女帝から聞いていた話通りであったが、やはりどうもにも解せない。
あっちではレイリーとスプルさんが何かやってるし……
「あなたも勇者の従者になったのね!でも私達の方が凄いんだから!絶対私達が魔王を倒すんだからね!」
「はぁ〜そうなんですか……」
「あの勇者弱そうだし!あっちのおじ様は強そうだけど、あなた達で大丈夫なの?」
「はぁ〜そうですね……」
レイリーも困惑しているし、俺も巨大な溜息を一つ……
さて、俺の質問は、
1.どうして召喚士という後衛向きの職種が全身鎧の重装備なのか?
2.どうしてボロボロになってまで戦うのか?
3.どうして冒険者の方たちに迷惑をかけているのか?
こんな所なんだが……
スプルさんが言うには「この子、身体能力が高いから剣士に向いているのでこの装備なのよ!」となにやら明後日の方向を向いたお答えを貰った。この世界では、そもそも召喚というスキルが何ができるのかということがよくわかっていないらしく、当然夏希さん本人もわかっていない。
夢があるスキルなのに? わからない人にはわからないのは当たり前なのだが、説明不足ですよエリクシア様!
なので俺が軽く説明をする。召喚士とは精霊や召喚獣などと契約し、呼びたいときに呼び、戦いに参加させることができるスキルなのだ!と
「どうやって、契約するのよ?」 スプルさんが何故か上からの態度でくるので、俺はモンスターボールでも投げておけばいいのでは?と言っておいた。
「モンスターボール?何それ?知ってるナツキ?」と言っているが夏希さんは苦笑いだ……
実際のところ俺も知らないわけで、力になれないのだが……あぁ〜駄龍なら知ってるかな? あいつなら、まぁまぁ強いし召還獣にぴったりだな、あとは……ドリアードか?こっちはチョコレートあげれば言うこと聞いてくれそうだしどうにかなるか?
「ボロボロになっても戦う理由?そんなの簡単よ!私たちは英雄なのよ、英雄は傷ついても戦うものなの!」
「ぷっ!」思わず笑ってしまった。 笑った俺をみてスプルさんは怒っているが、俺が笑うのも許してほしい、だって自分で自分のことを英雄っていう人初めて見たんだもん! 人から言われるのではなく、自分からって、言ってて恥ずかしくないのだろうか?
そして、3つ目の質問の答えは聞かなくてもわかってしまった、この様子なら英雄様の為にとかいうに決まっているのだから。
さてと、用事も済んだし帰りますか?この洞窟にいても俺達が得るものはないし。スプルさんは上からだし……
「待って、待ってください。私達を私達を助けてください、お願いします。」
ん?助けるって何を?英雄様を助けることなんて、一般人の俺には無理っすよ?
「この子の、スプルのことは謝ります、ですのでこの子達の傷を治してあげてください、お願いします。」
俺のスキルの話もさわり程度は説明してあるのでこんな話も出るわけで……
「なっ!なんであなたが頭を下げるのよ!こいつらを信用できるの?」
「信用できるかはわからないけど、このままじゃ私達ずっとこのままだよ? 私も変わらなきゃ、強くならなきゃと思ってるんだよ、でもこのままじゃ……このままじゃ……」
「あなただって信用できてないんじゃないの!」
はぁ〜今度は喧嘩か……喧嘩はやめて〜私の為に争わないで〜ってか?
この夏希さんのパーティー駄目だ……変わらなきゃ変わらなきゃと言うだけで変われない勇者に、プライドだけ高くて実力が伴っていない騎士、とオロオロした三人……
俺達を見習って欲しい物だ!例えば、剣聖さんは抜きにしても、俺以外の四人はしっかりしているし夏希さんの従者より強い、俺がいなくても……あれ?俺は必要だよね? 誰か必要だと言ってオロオロ…… とまぁ俺の存在意義がないという具合だ!
ふっ、自分で言っていて悲しくなるが、とにかく凄いと言いたいのだ!
そもそも、俺にとって最重要なのは女性陣のイガイガの話であって、その他の事はこの際どうでもいいのだ!
こちらのメンバーを見てみろ!レイリー以外は俺に優しい感じになっているのに対し、夏希さん側は……。
夏希さん・・・アウト! スプルさん・・・アウト! サーマさん・・・アウト! オタムさん・・・大好き! ウィンさん・・・切刻むぞコノヤロー!
といったぐあいで、話にならん! イガイガの存在は俺の死活問題にかかわるのだから……。
まぁ、こんなところで喧嘩していても仕方がないので、一旦コープラントへ戻ろう。
戻ったら、スプルさんのプライドを粉々に砕き、召喚獣か精霊を捕まえに行くってことでいいでしょうか?
「なっ!なんで私のプライドを粉々に砕く必要があるのよ!?」
サービスです。こっちも忙しいんですよ?
「何がサービスなのよ!?」
「はは、よろしくね伊織君。」
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