123.俺にも燃料をくださいと言ってみよう。
やってまいりました、呪去の時間が。
さて、今日は昨日の戦いを振り返って、俺が思いついたことをやってみようと思う。
勇者 ツナシ ナツキがいるという洞窟まであと半日程度なので、急いでもしょうがないということで、少しばかり実験を行う。
そう!新たな移動手段の確保についてだ。
昨日氷の上をすべる魔物を見て思いついたのが、氷の上に立つように危なげな事をしたい……じゃなかった、これは頭の中でエンドレスリピート中だがこれとは別に思いついたのがホバークラフトだ!
箱型の乗り物の下面から高圧空気を水面・地面に噴出してエアクッションを作り船体を浮揚させるあの少し浮いてる船が作れないか考えているのだ!
例えば、ジュリアさんお願いします。
土魔法で箱型の船体を作り、俺が船体の下へ圧縮した空気を噴出する。この辺のことは空間魔法を使えばお手の物だ。
で、ジュリアの風魔法で方向を変えれるようにしようと言うのが今回の試みなのだが……
土魔法で船体を造ったまではよかったのだが、どうも空気の噴出に耐えきれずすぐに底が壊れてしまう、さらに形を維持するためにジュリアの魔力操作が必要なため風魔法での運転との同時魔法発動は厳しいという結果になった。
いや〜残念だ。残念でしょうがない、ニヤ!
全く残念そうに感じないだろうが、非情に残念だ!ニヤ!
土魔法ではできないだろうと最初から思っていたのだよ!
では、次の試作品にいってみよう〜!
次は空間魔法で空気を圧縮して壁を作った発想から、圧縮した空気で船体を造ってしまおうという発想だ。
これは、俺の妄想力にすべてがかかっているので、案外簡単に形作ることが出来た。
空気の船体から圧縮した空気を噴出……そして簡単に浮揚するし進む。ここまで空気しか使っていない、何というエコなのでしょう。
まぁそれはいいのだ!そこではないのだ俺が力を入れたのはそこではないのだよ!ホームズ君!
俺が全力で駄々をこねた……いやこれが一番安全かつ省エネと力説したのは、操縦の仕方だ。
操縦は相変わらずジュリア任せだが、俺は強気で攻めたのだ!
操縦はジュリアが俺の膝の上に座って二人で行わないとできないと駄々をコネまくった……いや、全ては言うまい。
この世界の人間には誰にも意味がわからない仕組みの乗り物を造ったのだ、誰にも反論できるわけがない!
ふふふ、これで合法的にジュリアに触ることが出来るのだ!
そう、俺は尻に敷かれる男なのだ!ぐふふふふ。
見事ジュリアを膝上抱っこで操縦する権利を得た俺はウキウキで操縦席に座る。
さ〜ジュリア、カモン!
「「「ジィーーー」」」っと前と左右から謎の視線を感じる。
ふっ視線を感じてもこれしか操縦方法がないのだよ皆の衆!
どんなに俺がゲスイ顔をしていようが他の方法はないのだよ!
ジュリアを膝上抱っこすることで、ジュリアを内緒でクンカクンカする、そうすると俺のやる気が出るから船が浮き進むのだよ!
何事にも燃料は必要なのだ!
「じゃ〜私達でもいいのでは?」
……。
ん?最初からバレてるって?顔を見ればすべてお見通し?いやいやいやいや、そうなんですか?
いやいや、いい大人が、剣聖さんが見てるのに俺の膝上抱っこでいいのか?
「比べるまでもないと思いますが、剣聖様に見られて恥ずかしいよりも、イオリ様の膝上抱っこの方が断然良いにきまってるじゃないですか!」
ぐぬぬ、まだ子供のジュリアなら操縦中に知らない人に見られてもいいかなと思うのであって、いい大人のレイリーやマエリスさんを抱っこして人に見られたら恥ずかしいじゃないか……
「私達だと何が恥ずかしいんですか?」
何その威圧感……?いや俺の世界では女の子を抱っこして移動するのは、恥ずかしいと言うか注目されちゃうと言うかでしてね……
「この世界では、女の子の憧れですので問題ありません!」
くっ!またしても世界の違いが俺の邪魔をする、座っているとはいえお姫様抱っこや、普通に膝の上に座っている状態って恥ずかしいよね?
子供のジュリアならまだしも……
……。もういいよ!そんなに言うならみんな変わり番こね!みんな内緒でクンカクンカしてやるからな!
「駄目です!旅の途中はお風呂に入れないので、クンカクンカは禁止です!」
……。俺のやる気燃料は?
「大丈夫です、イオリ様はやれば出来る子なんですよね?」
……。
こうして俺のお尻が割れないようにとの欲望から、馬車よりも快適で、移動速度の速い乗り物を手に入れたわけだが、俺の燃料のため次はお風呂について考えなくてはならいなとは……
一つ解決すればまた一つ、人間の欲望は尽きることが無い。これが科学の進歩の理由なのか?
よくわからないことを考えてしまうが、この乗り物の名前は「デザイア」に決定済であるということは分かった。だって、俺の欲望から生まれたのだから。
お前が燃料を我慢すれば良いだけじゃって?いや〜旦那にはかないませんな〜。俺にもたまには良い思いさせてくださいよ〜。シクシク……。
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