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119.お尻に敷かれてみよう。

出発します、洞窟へ。



ツナシ ナツキが向かったという洞窟は、ここコープラントから馬車で二日程の位置にある。


それにしても移動手段はどうにかならないものか?もう、本当に馬車は辛いでござる!


しかし、馬車の足回りを改良とか、そんなこと俺にできるハズもない。


今度異世界に来るときは馬車のことを勉強してからにしよう、じゃないと本当に割れ目が増えてしまうから・・・


本当にもっといい移動の方法はないのか?


頑張ってよ異世界さん!例えば空を飛んで移動とか、これは飛行魔法とかありそうだけど今から取得するのも辛いか・・・?


例えば、知らない場所へもひとっ飛びとかできるアイテムとか、えっ?ある?あるけど高い?


へーってあなたがたはお金腐るほど持ってるでしょうが!


なに?老後の資金?もう貯め始めないと間に合わない?ま、まじか?


えっ?俺の分も貯めてあるから大丈夫?えっ?本当に?って俺は魔王討伐できたらもとの世界に帰るの!


持っていけばいい?あぁーなるほど「金」なら俺の世界でも売れるからねって違うでしょ!今は老後の心配じゃなくて俺のお尻の話だよ!


もっとひゅーと行ってすぅーっとなる乗り物ないの?


「ありませんね。」


「儂もしらんのー」


くっ、やはりそうか、ここに異世界から来た何でも作れちゃうスキルの持ち主がいればいいのに仕方あるまい。


結局馬車か、しくしくとお尻が泣いている。



――――――――――――――――――


さて、そろそろ出発しましょうか?


・・・。


・・・。


剣聖さんも来るんですか?さっきから不思議には思ってましたけど見送りではなく同行?


「勇者殿に着いて行った方が面白いことがおこりそうな予感がするもんじゃからの」


見た目が若くなったのに喋り方はお爺ちゃんのままか・・・違和感が凄い。



はぁ〜思わず大きなため気が漏れる。


どうにかしてお尻を守らなくては!どこかにフカフカした柔らかな物は・・・


思考を巡らせ周りを見渡す・・・ラヴィーニャとふと目が合った・・・あぁあぁあぁ〜〜〜ラヴィーニャさんがいるじゃんか〜〜〜〜!


ジィーーーとラヴィーニャを見る!しつこく見る!


目で視線で訴える!言ったら負けだと!頼んだら負けだと!


俺の中の訳のわからない競い合いが俺の中だけで始まる!


「ど、どうしたのじゃ?そんなに熱い視線で見られるとこそばゆいのじゃが?」


困ったような素振りのラヴィーニャをさらに見る!


「ど、どうしたのじゃ?本当にどうしたのじゃ?」


さらに困った様子のラヴィーニャ・・・あれ?この子可愛い・・・


いやいや、そんなことは最初からわかっている、わかっているのでさらにジィーっと見る。


「ま、まさか旦那様ついに・・・じゃが人前では・・・しかしこんなチャンスはもうないかもしれぬ・・・」


ラヴィーニャが一人で葛藤している・・・気にせずさらにジィーーっと見る!


ん?ラヴィーニャの顔が近づいてきたぞ・・・?


ん?んん?やばい!喰われる!落ち着けラヴィーニャ!


「ん?旦那様わらはとキスがしたかったのではないのか?」


全然違うよ!獣モードになってもらって俺のお尻を守ってもらおうかなと・・・


それに、人前じゃ恥ずかしいしからそんなこと頼むわけがないでしょーーが!


「ん?なんですって?わたしの、乙女の勇気ある決断を踏みにじると言うのかな?」


・・・。あかん、やってもうた〜〜〜!ラヴィーニャさんが普通にお話になってらっしゃる・・・


「今回は旦那様だから許しますが、次は人前だろうがどこだろうが唇を奪いますのでよろしくお願いしますね。」


・・・。はいすみませんでした・・・。


「では旦那様、わらはのお尻に敷かれるのじゃ!」


・・・。こうして俺は夜営先へ到着するまで座席の上でうつ伏せに寝転がり、ラヴィーニャとジュリアのお尻に敷かれるという新たな移動方法を発見してしまうのであった。


どうしてこうなった?俺のお尻を守る話がどうしてだーーー?



「これだとお尻が痛くならなくて助かるね。」


「そうじゃの〜旦那様の温もりも感じることができるし、なかなかよいのじゃ!」


俺的にもこれはこれで、背中に二人のお尻を感じることができていいのだが・・・何かが違う・・・



待て!そこの二人!羨ましそうにこっちを見ない!


「ジィーーー」と言いながら見てもダメです!もう大人なんだから我慢しなさい!


「ジィーーー」無言の圧力が凄い・・・


「ジィーーー」


こうして俺は婚約者達の尻に敷かれることになった訳で・・・男女間では、男が尻に敷かれるほうが良好な関係を築け、長続きするとかしないとか・・・


何かが何かが違う・・・俺の知っている言葉と何かが違う・・・。


ここは日本ではないのだから、意味が変わってしまっても仕方がないのか・・・?



あれ?剣聖さんが遠くを見ている・・・そうか剣聖さんも尻に敷かれているのか・・・


その立派な背中にはなにやら哀愁が漂っていた。




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