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酔っ払って作ったクソゲーの最弱ザコキャラな私  作者: くまのき
超スーパーウルトラバリア大作戦編
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最強お菓子トーナメントとお爺ちゃんの昔話(ひまつぶし)

 バリア作戦の実地テスト、一回目。


 ゴブリンさん達と人間さん達が争っている中、急に辺りが赤い半透明なドーム状の壁に包まれました。

 高さ約百メートル、横幅二百メートル。つまり半径百メートルの半球。

 これが、妨害電波を遮断するバリアです。


 急に現れた赤い壁により、人間さん達はバリア内外に二分されました。

 予め知っていたゴブリンさん達は、人間さん達をバリア内におびき寄せるための陽動隊以外は、バリア外に退避しています。


「あのぉー、博士さん。人間さん達がバリアをガンガン殴ってますけど。壊れないんですか?」

「大丈夫大丈夫。見た目は物理的な壁に見えるけど、そうじゃないのよ。装置から常に粒子を放出しながら防御壁を生成し続けてるんで、万が一壊れたとしてもすぐに修復して……」

「……?」

「あー……つまりは不死身のバリアなんだよ、ミィちゃん」

「ふじみ! 凄いです!」


 って事らしいです。



 ドーム状のバリアの中で、人間軍相手に無双する巨大ロボットさん。

 バリアの外で、頑張ってるゴブリンさん達。

 そして必死の形相で自転車を漕いでるマッチョマンさん達、総勢十名。


 そして私は、その様子をただ見学するだけ。


「戦闘の手伝いしなくていいんですか?」


 と博士さんに聞いたら、


「この規模の戦場に巨大ロボが来るってだけでもちょっとした騒ぎなのに、更にカチカチ少女や最恐メガネ軍師まで来たら大混乱が起こっちゃうよ。ミィちゃんは座ってお菓子でも食べててよ」


 なんてお返事が。

 私はお言葉通り、仮基地になっているコンテナの中でこたつテーブル(布団無し)の前に座り、お菓子を食べながら待機しています。

 スー様は不満気に「最恐メガネってウチの事?」とぶつぶつ呟いていましたが。


 この仮基地コンテナも、当然ながらバリアの範囲内に設置されています。

 つまり激しい戦火の中。

 コンテナ周りを数名のゴブリンさん達が守備してくれていますが、それでもたまに人間の兵士さんが突撃してきます。

 これ見よがしに置かれたコンテナです。そりゃあ「む! 怪しいぞ、絶対何かある!」と思うのも当然ですからね。

 でもそんな人間さんは、スー様とミズノちゃんの強烈な魔法で追い返されちゃう事になるのです。


 あ、そうそう。

 作戦メンバーではないミズノちゃんも、今日はこの場にいるのです。


「ミィお姉ちゃん、紅茶入れ直したよ」

「わあ、ありがとうございますミズノちゃん!」


 ミズノちゃんは今、私の隣に座って、お茶とお菓子を食べています。

 バリアが張られる直前に「暇なの。一緒に遊ぼ、お姉ちゃん」と、真っ黒な大ガラスさんに乗ってやって来たのです。


「スライム羊羹と焦熱地獄おかき。勝者は……判定、二体一でスライム羊羹です!」

「えー! その結果には納得できないッスよ!」

「甘い方が強いのよ。ふふっ」


 そして私たちは、暇だからお菓子トーナメント大会をやっていました。

 お菓子トーナメント。その名の通り、選ばれし八種類のお菓子のうち、誰が一番強いかを決める大会です。

 選ばれし八種のお菓子とは、今日偶然持ち合わせてたり、ゴブリンさん達が気を利かせて用意してくれていたもの。

 審査員は私とミズノちゃんとスー様。


 とりあえず、トーナメント展開は盛り上がるのです。


 ただしスー様はお菓子を食べながらも、きちんとバリア作戦の様子も把握されています。

 さすがですね。


「次は準決勝。大本命のメロン魔人チョコの登場ですよ」

「対するは大穴のパンプキンヘッドパイね」

「緑茶が欲しいッス」


 私達三人は、二つのお菓子を頬張り、笑いながら味比べをします。

 うーん、どちらも上品な甘さ。

 でもやっぱり私はメロン味かなぁ?


「君達、楽しそうだね……」


 私達の隣で、モニターを見ながらロボットを操縦している博士さんが呟きました。


 そしてテストは機器故障等も無く、無事に終了。

 ロボットさんも久しぶりに大暴れし、見事人間さん達を鎮圧しました。




―――――



 そして数日後。

 バリア作戦の実地テスト、二回目。


 今回は悪魔さん部隊と人間さんの衝突。

 前回よりもちょっと規模が大きい戦場です。


 一回目の結果が良かったため、この日は当初の予定通り、ロボットさんの様子を録画します。

 編集し、今日の夕方のニュースで流すそうです。

 なので今日は、魔王軍広報部の方々も参加。

 フォローさん、鳥居アナさん、牛カメラマンさんの、いつものテレビクルー三人組も来ています。


「ミィ様も参加されるのですね。今日はよろしくお願いします」


 鳥居アナさんが、そう言って深々と頭を下げました。

 私も慌てて挨拶を返します。


「いや~、妹ちゃんとお仕事するのも久々だね~」


 と言った後、フォローさん達は自分の持ち場へと行きました。


「まあ今日はまだ、私の出番は無いかもしれませんが」


 私はそう呟きながら、前回と同じようにこたつテーブルに座ります。

 今日ミズノちゃんは別のお仕事中なので、遊んで暇を潰す事は出来ません。

 スー様も、前回流されてお菓子トーナメントに参加しちゃった事を後悔しているようで、今日はバリバリお仕事モード。


 私は用意されたお饅頭をもさもさと食べ、緑茶をずずーっとすすりながら、モニターに映っている巨大ロボットさんの様子を見ます。

 たまにマッチョマンさん達が自転車を漕いでいる様子も見ます。汗だくです。汗マッチョ。


「皆忙しそう。私、こんなのんびりしてていいのかなぁ」


 私がぼそりと呟くと、隣に座ってお茶を飲んでいたお爺さんが、


「お若いの。人生焦っても仕方ないのじゃよ」


 と言いました。


 このお爺さんは、今人間さん達と戦っている部隊の元隊長で、今は顧問。

 そして戦闘訓練の教官をやっておられる方です。

 悪魔老師と呼ばれている、マッチョなお爺さん。

 お城の内装工事を決める大会で、サンイ様の傀儡人形を怖がっていたあのお爺さんです。


「四百、いや五百年程前かのう。あの頃のワシはまさに益荒男ますらおと言った所か。イケメン悪魔騎士として名を馳せておったのじゃ」

「え? あ、はぁ」


 なにやら長そうな昔話が始まっちゃいました。

 私は適当に相槌を打ちつつ、話を聞きます。


 悪魔老師さんは自分の生い立ちを説明します。

 なんでも色々なモンスターと戦って戦って戦いまくったとか。

 戦いの歴史を、三十分程語られました。

 そしてまだまだ話は続きます。


「……という事でワシは、丁度ここいら一帯を掌握する大ボスになったのじゃ。当時の三大モンスター勢力、西の吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)ブラム。南の……なんか名前忘れたけど変な半魚人。そして中央北西寄りの悪魔系男子こと、ワシじゃよ」


 中央北西寄りの、って言いづらい異名ですね。

 西、南、と来ているんだから、そこは素直に『北の』で良かったのでは。

 もしくは、西のヴァンパイアなんとかさんから見ると東に位置するはずなので『東の』でも。


 なんて考えながら、私はおかわりのお饅頭を頬張りつつ話を聞いてました。

 それにしても話が長い。


「日々争い、消耗し合う三大勢力。しかしある日、名前を思い出せない変な半魚人の軍勢が突如滅んだのじゃ。何故、どうして急に? その答えはすぐに出た。白面のお方、つまり魔王様が、まだ少年だったサンイ殿を連れてワシの元へやってきて……」

「は、はぁ。それは大変でしたねえ」


 その後も悪魔老師さんの一代記を聞き続けます。

 更に十数分。


「ってワケじゃよお若いの。で、ワシが言いたいのは、結局じゃな……ええと、結局……ワシ、何の話してたんじゃっけ?」

「……」



 そこで、バリア作戦も終了となりました。

 人間さん達は敗戦ムード。

 バリアを切った途端に、残党さん達が逃げ出します。


「広報部のみなさんもお疲れさん。次は来週、生放送でよろしくね」


 博士さんが機械を整備しながら、テレビクルーの方々に言います。


「で。来週生放送やるって事は、あんまり大々的に事前宣伝しないでね。画面端に小さく文字書いて、アナウンサーさんがちょっと言及する程度で」

「え~。なんでですか~? たくさん宣伝すればする程、それだけ視聴率取れそうなのにな~」


 フォローさん達は不満そうにしていましたが。

 博士さんの命令通り、テレビやラジオでの生放送宣伝は少な目でした。




―――――



 そして、実地テスト三回目。


 この日私はそわそわし、用意されたお菓子も食べずに、戦場の様子が映っているモニターを凝視します。

 スー様も同様。真剣な表情です。


 バリアが展開されました。


「よし、と。今日はオジサンも頑張らないとね」


 博士さんの呟きと同時に、巨大ロボットさんが動き出します。

 立ち上がり、各パーツを光らせながら敵に突撃していく巨大ロボットさん。

 いつものように人間さん達を蹴散らし……ません。


 巨大ロボットさんの足の動きが止まりました。

 どうやら、博士さんの操縦通りに動いてくれなくなったようです。


「あらら、さっそくだ。見せ場作る暇も与えてくれなかったよ」


 巨大ロボットさんの首がぐるりと回り、私達が待機しているコンテナの方を向きます。

 その様子を見て、博士さんは口元に笑みを浮かべ、呟きました。


「やっぱり来たね。ようこそ元助手」

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