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酔っ払って作ったクソゲーの最弱ザコキャラな私  作者: くまのき
超スーパーウルトラバリア大作戦編
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失敗ケース(あらかじめかんがえておこう)

「ってことで、ミィちゃんは凄すぎて逆にダメでした」

「め、面目無いですぅ……」


 私は会議室に集まった皆さんに、深々と頭を下げました。


 マッチョマンを集めて発電テストをした翌日。

 博士さんが緊急の幹部会議を開きました。

 突発開催のため、大ニワトリのトサカさんが欠席ですが。


「それは当然の結果であるぞ博士! スネキック体得者の力を御してエネルギーを生成する!? 笑止! 世の理に反するとは、まさにこの事! この小さき筆で夜空に輝く月を射て破壊するような事!」


 サンイ様が万年筆片手に、大声でおっしゃられました。

 よく分かんないけど、とにかく難しいという意味でしょうか。

 何にせよ、そろそろいい加減スネキックでは無く、クリスタルレインボーと呼んで欲しい所ですが。


「そのような偉業が出来るのは、世界、いや宇宙中を探しても魔王様だけであろう! スネキックとは神の御業に近しき奥義! この吾輩でさえ操れぬ、虚無に棲む闇の住民を……」


 台詞が長いので省略します。


「……である!」

「はあ。肝に銘じておきます」


 と、博士さんはへらへらとした顔で、サンイ様に言いました。

 でも多分また、私を実験台にする気満々なのでしょうが。


 ふと気付くとヴァンデ様が、サンイ様のお言葉を聞き、何故かちょっと暗い顔をされました。

 ……どうしたのでしょうか? お腹痛いのでしょうか?


「ま、とにかく。集まったムキムキモンスター達が予定より優秀だったおかげで、バリアの方はなんとか一時間は張れそうですね。晴れて実地試験のフェーズに移れますよ」


 博士さんはそう言いながら、ホワイトボードの前に移動しました。


 ちなみに、私が起こしてしまった爆発の被害についてですが。

 バリア作戦に必要な装置、バッテリー、発電機はなんとか無事でした。

 ……まあ正確には多少……ちょーっとだけ壊れてたらしいですけど。

 博士さんがちょちょいと修理して、今朝にはもう直ったらしいです。


「それでその実地試験なんだけど、丁度テストに良さそうな戦いがありまして。急だけど来週に一回目って事で」


 博士さんは、ホワイトボードに『一回目』『明後日』『ゴブリン部隊の戦闘』などと書きながら説明します。

 どうやら来週、ゴブリンさん達が人間軍相手に小規模な戦闘を仕掛けるみたいで。

 そこでバリア作戦の第一回テストを行おうというつもりみたいです。


 その第一回テスト結果を各装置や作戦に反映し、再び二回目。

 更に三回目のテストまでやりたいとの事。


「それに広報部の皆からも『早くロボット復帰させろ』って突っつかれてるので。一回目テストの結果によっては、二回目のテスト結果を録画してテレビ放映。更に大丈夫そうなら三回目は生放送しようかなとも思ってますが」


 と言って、『テレビ』と書く博士さん。

 巨大ロボットさんは広告塔の役割も担っているため、軍内の多方面から早期復職が望まれているのです。


「なるほど、ぜひお願いしますね。生放送を楽しみにしています」


 と、モニター越しの魔王様が賛同されました。


「そしてここからが非常に重要な話なんですけどね。バリア展開を失敗しちゃった場合にも備えないといけなくて」


 博士さんが『失敗ケース』と書きます。

 バリア装置や発電機が上手く作動しない場合。

 各装置が途中で故障した場合。

 充電が間に合わず途中でバリアが消えちゃった場合。

 などなど考えているらしいです。


「まあ『バリアが上手く作動しない』ってのは今更無いかと思いますけどね。既に色んな条件で事前テストしてます。低地、高地、湿地帯、熱帯に寒冷地、砂漠に岩山、急な坂……発電機に関しても、来週の実地テストまでに何度も調整しておきますんで」


 相変わらず忙しそうですね。

 それに比べて私はここ最近、お菓子を食べて城内をぶらぶらしてただけです。

 反省せねば……


「とりあえず故障修理は自分がどうにかしますが。問題はバリアが消えた瞬間、すかさずサイサク君がロボを乗っ取っちゃう場合ですね。一応保険で、ロボは五十分しか動けない程度のバッテリー状態にしとくけど」


 そう言って博士さんはホワイトボードに『サクサククン襲来!』と書きました。


「しかし五十分経つ前に乗っ取られて、持ち逃げされちゃう可能性も。って事で、もしもの時にロボを止める要員が必要なんですよ」


 最悪破壊してでも、持ち逃げされる事だけは食い止めたい。

 だから巨大ロボットさんを破壊する事が出来る人材を、実地テストに同行。

 それも用心のため、二人は欲しいそうです。


 用心すると言うのなら、実地テスト中は巨大ロボットさんの性能を下げておくべきなのですが。

 兵士達の士気やテレビ放送する事を考えると、テスト中でも出来るだけ本来の性能を維持しておきたいらしいです。


 更に博士さんが説明を続けます。


「ロボに勝てるモンスターとなると、まあ当然魔王様に、ディーノ様、サンイ様。しかし大幹部のお三方が戦場に来ると、敵味方恐縮して混乱して。バリアのテストどころではなくなっちゃうので」

「そもそも吾輩は夜戦専門である!」


 サンイ様はそう言って、何故か無駄に胸をお張りになられます。

 純血吸血鬼なので、お日様の光に弱いのです。


「となると他に確実に……『確実に』ってのが重要ね。確実に勝てるのは軍師のお二人、そしてミィちゃん。ニワトリ君は……よく分かんないけど。とにかくこのお歴々ですかねえ」

「あら、おじ様。私は?」


 ミズノちゃんが、少し不満そうな声で言いました。

 博士さんは「うーん」と軽く唸った後、答えます。


「ロボは頑丈な魔法装甲積んでるので、ミズノちゃんとは相性が悪いかなあ。基本的にはミィちゃんがロボを破壊するので、もう一人がそれをサポートする戦法になるんだよ。ミズノちゃん、サポート魔法はあんまり使えないでしょ?」

「むー……」


 ミズノちゃんは唇を尖らせ拗ねちゃいましたが、一応納得したようです。


 って、あれ? あれれ?

 しれっと、私が行くのは既に決まっているような言い方でしたが?


「って事で軍師のお二人のどちらか、実地テストに付いて来て欲しいんだけどさ。二人ともはダメだよ。軍師二人揃ったら、さっき言ったみたいに戦場が混乱して、テストどころじゃなくなっちゃうから。あ、ミィちゃんは実績あるし強制参加で」

「えぇっ!?」


 やっぱり勝手に決められてました。

 確かに私は、暴走した巨大ロボットさんを倒した実績はあります。

 でもあの時は凄く苦労したし、出来れば遠慮したいのですが……遠慮出来ないのでしょうね……


「それでオジサンの希望としては……」

「私が行こう」


 博士さんの台詞途中で、ヴァンデ様が立候補しました。

 そっか、ヴァンデ様が付いて来てくれるのですね。

 私もヴァンデ様と一緒なら嬉しい……い、いや。安心! 安心だから嬉しいです! 他意はないのですが!


 と私が心の中で変な葛藤をしていると、スー様が挙手されました。


「いや、ここはウチが行くッス。バリアが予算に見合うものかどうか、この目で確かめないといけないッスから」


 と、これまた立候補。

 その言葉にヴァンデ様は、「しかし……」と言って私の方をちらりと見ます。

 もしかして、私の事を心配してくれているのでしょうか?


「ミィさんの事ならウチに任せて。っていうか大丈夫ッスよ、だってミィさんはウチより戦闘能力高いし。それにサポートならヴァンデ軍師よりウチの方が得意だし」


 戦闘能力をお褒め頂き、私は照れてちょっとニヤけちゃいました。

 ヴァンデ様は渋々といった様子で、引き下がります。


 ……っていうか、私はもうお断り出来ない空気ですね。


「それで良いッスね? 文句は言わせないッスよ、第一精鋭部隊長兼兵器開発局長」

「文句なんて無いよ。実はオジサンも、最初からスーちゃんをご指名したいと思っててね」


 長い肩書で呼ばれた博士さんは、さっきまでのへらへらした態度を急に改め、真面目なトーンになりました。

 スー様は虚を突かれた顔をします。


「な、なんスか。ウチを指名? 珍しい事もあるもんッス……」

「実はこのバリア作戦、充電とか故障とかそれ以前の根本的な部分で、弱点がありまして」

「ほう。弱点?」


 魔王様が掌を組みながら、博士さんに相槌を打たれます。


「でも、それでも、一つの効果を期待して、やってみようと思ってるんですよ。賭けになってしまうけど……」

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