表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

2章。4


それよりも先ほどの彼女の口調の方になんとなくボクは驚いた。

15ほど年上の女性からまさか「ウケる」なんて単語が聞けるなんて思っていなかった。


軽くカルチャー・ショックである。ジェネレーションギャップである。

いや、なんだかおかしいか。

普通は、年上の者が、年下に感じることであるはずだ。

昨晩はどこか遠慮しているというか、もっと大人しい印象があった。

というかもっと情緒不安定な依存症体質な気配を感じた。



だが、今ここにいる彼女は、非常に明るく、健康そのものである。

やはり人は陽の光を浴びている時のほうが、心が安定するのだろうか。

そういえばセトロニンという体内物質は、陽の光を浴びることにより、分泌量がますときいたとこがる。このセトロニンは人間の心のバランスを保つのに、大切なものらしい。うつ病予防にもなるとか。



まあ、この調子の彼女ならば、このまま付き合う意志を示さずに別れたとしても、そう落ち込まないのではないだろうか。

いや、もうすでにその付き合う付き合わないの話題は彼女の中で解決しているのかもしれない。

現にこうやって、彼女はボクの腕を抱き寄せたような状態で歩いている。

ただのバカップルだ。



今朝、宿を後にする際に、ボクが代金の支払いを全て行ったことで安心したらしい。その支払によって、自分との関係をボクが認めたと感じたみたいだ。


「もし、割り勘でもいいなんて言われたらどうしようかと思ったよ」

と、彼女は、宿を出た後口にした。


その時は、その言葉の意味するところがあまり分からず、

前日の食事代などは全て彼女が持ったにも関わらず、宿代の支払いも割り勘を求めてくるケチくさい男だったらどうしようかという意味で言ったのかと思っていた。


「そんなこと言わないよ」

と答えながら、彼女の様子を見つつ改めて考えてみた。


その結果、昨夜過ごした彼女との時間は素晴らしく、意味のあるものであったとボクが考えたがゆえに、支払ったと捉えているようであった。

つまり、その意味するところは、これからの関係もよろしくお願い致しますと言ったも、同然であったようだ。


ボクとしては、立つ鳥跡を濁さずではないが、わだかまりを作ることなく、すっぱりと関係を断ち切ろうとしての支払いであった。まあ、そもそも宿代は出すつもりではあったが。


だが、どうやら、それにより、変に思わせてしまったようで、この後どうしようかと悩んでしまったのであった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ