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桃だろう!  作者: ヒノモトコウ
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ブーンブーン、ハロー〇ーチューブ

いつもと変わらない毎日。


そんなある日、桃に変化が訪れたのです。

伸び悩む再生数。

動画をあげる度に乱立するオワコンスレ。

桃は腐っていきました。

賞味期限切れが近づいていたのです。


そしてある日桃は決意をしました。

子供を産もう。

桃から生まれた桃太郎にすべてを託そう。

もちろん、桃から人間は生まれないので、

今すぐ赤子を手配する必要がありました。


ネタバレになるので動画投稿サイトを使って募集を行うわけにはいきません。

特別養子縁組は人のための制度であり、桃には使用できません。

ネットオークションで赤ちゃんが競売に出されていましたが

それは40代無職男性の釣りでした。


虐待を行っている家庭の調査にまで乗り出し、

3人のかわいそうな子供達を保護しましたが、

桃の子供にはなってくれませんでした。


それからも北は北海道から南は沖縄まで

日本全国を駆け回りましたが、

赤ちゃんをゆずってくれる母親はいませんでした。


途方に暮れた桃は始まりの地へと足を運びました。

数年前、どんぶらこどんぶらこと流れていたあの川でした。

川辺に一人、佇んでいると

様々な思い出が蘇ってきました。


自分の人生は、いえ、桃生とはなんだったのか。


ただまっすぐに、駆け抜けてきました。

ただひたすらに、呼びかけてきました。

桃を突き動かしているもの、

それはつながりたいと思う気持ち。


「私はここにいる」


その思いだけでした。

自分がここに存在したこと、

その証を残したい。

でも自分に子供は作れない。

金と名声、誰もが欲しがるものを手にしていても、

本当に欲しいものには届かない。


桃は月を見上げ、ため息とともに呟きました。


所詮俺は、桃だろう・・・

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