二日目
常世「いつもありがとうございます・・・主殿。やはり筆が遅いですなぁ」
作者「それは治りませんw」
常世「開き直られても困るのですが・・・リルの奮闘記の更新もまだですし」
作者「ああ・・・何気に暗礁に乗り上げてるから、次の日曜までに更新出来るかどうか・・・」
常世「また貴方って御方は・・・」
作者「ホント、出来るだけ早く更新しますんで、忘れないで下さい」
常世「切実ですなぁ・・・それでは、二日目をどうぞ」
翌朝、私は起きると先ずは腹ごしらえをした。
肉を一斤程切り取り、六等分にするとひとつが大体二十七匁程の塊が出来る。
その塊を、木で作った七寸程の串に刺して、塩を少しまぶし、地面に刺して炙り焼きにする。
暫くすると、食欲をそそるいい匂いがしてくる。
両面を焼くのだが、中がほんのり生の様な状態になったら、火から離す。
一串食べてみると、肉汁の旨いエキスがぶわっと口の中いっぱいに広がる。
やはり、胡椒が欲しい所だが、無い物は仕方がない。
二本食べ、残り四本は、インベントリにしまい、道中歩きながら食べる事にする。
街道をあても無く歩いていると・・・お約束。というならば、ここで、盗賊か猛獣に追われる商隊か、それに類する者が来るのだが、まぁ、そんな話しは小説の中だけなので、いまの所いたって平穏である。
暫く街道を歩いていると、後ろの方から馬車がやって来た。
止まって貰って、近くの町か村まで乗せて貰えないかどうか交渉すると、この辺で一番大きな町である、ザールラントという所まで乗せて貰える事になった。
「トコヨさんですか?変わった名前ですねぇ・・・そうそう、運賃でしたら、そこに見えるリネルメ旅客という所か、役所まで持って来て貰えば良いですよ。話しは通しておきます」
ザールラントに到着すると、御者はそう言った。
どうやら乗り合い馬車だった様だ。
運賃は小銅貨三枚という事だ。
さて、その運賃のお金はどうやって用立て様か・・・
そう言えば、狼の様な感じの獣の毛皮が有った筈だな。
よし、それを売る事にするか。
しかし、どうするか。
売ろうにも、伝が無いから何処に売ったものか分からぬな・・・
思案しながら歩いていると、後ろの方から声を掛けられた。
「貴女。ちょっといいかしら?」
「フム。手透きだった所だから構わぬが」
そうすると、その声を掛けて来た少女・・・ムウ、微妙な感じだ・・・兎も角その女性は、私を値踏みする様な感じで、私を見回す。
「従業員から聞いた通りの容姿ね。それに出来る。そうそう、わたしはリルって言うの。これでもリネルメ旅客のオーナーよ」
「そうであったか。大変失礼した。私は、常世神命と申す者だ。運賃の件で来たのであろうか?それならば、狼の様な獣の毛皮が有るのだが、何処か買い取って貰える所を知らぬか?」
「へぇ。そうなの・・・ちょっと物を見せて貰えるかしら?」
「構わない」
そうすると、わたしはインベントリから毛皮を取り出した。
「へぇ。アイテムボックス持ちか・・・ちょっと待っててね」
リルと申す者は、それを手に取ると、真剣な目差しで観察する。
「ありがとう。それじゃ返すわ」
ひとしきり観察すると、私に返してくる。
「そうねぇ。毛皮に殆どキズらしいキズは無いわねぇ。どんな刃物を使ったか分からないけど、この切り口は減点ね。それとは関係無く、この毛皮は通常銀貨三、四枚程度が相場だけど、これはその倍以上になるわ。それと、わたしには伝が有るから、ちょっと一緒に来て貰えるかしら?」
「それならば、こちらからお願いしたいくらいだ。勿論、追て行かせて欲しい」
「それじゃ追て来て」
私は、懇意の商人の所か分からないが、リルに追て行く事になった。
暫く歩くと、ドンカッター商会ザールラント支店と書かれている看板が見えて来る。
私の見立てでは、この世界の文化レベルは中世ヨーロッパ位の程度の筈だが、その建物は、石・・・いやコンクリート造りの様だが・・・
「フフ。不思議かしら?」
「ハイ。リル殿には失礼な話しになるかも知れませぬが、この国の文化レベルからすれば、木造以外の建物は全く無いと思いましたので」
「ああ、これは、わたしが広めた物よ。あとは、領政府や病院も鉄筋コンクリート造よ。どうしてかは秘密よ。それより、中に入りましょ」
「承知した」
私は、リルに誘われるままに店内にも追て行く。
「すいません。ちょっといいかしら?」
「おじょ・・・お客様。本日はどの様なご用向きでしょうか?」
リルが店内に居る、店員にそう言うと、店員がお嬢様と言おうとしたのか、リルの顔を見て言い直す。
「ちょっと買い取って欲しい物が有るのだけど、見て貰えるかしら?」
「ハイ。構いません。それでは、ここは販売専用のカウンターですので、あちらの買取り専用のカウンターに行きましょう」
私とリルは、店員に促されるままに、店内奥に在る、誰も居ないカウンターに案内される。
「こちらが、買取り専用のカウンターになります。それでは、物の方をお見せ下さい」
店員がそう言うと、私はインベントリから、獣の毛皮を取り出す。
「ん?お客様もアイテムボックス持ちですか?」
フム。どうやら、インベントリの事を、こちらの世界ではアイテムボックスという様だ。
「ウム。そうであるな。そしてこれがその毛皮だ」
「これは、ゼーゼルの毛皮ですねぇ・・・」
店員は、丹念にゼーゼルの毛皮を鑑定していた。
「ハイ。このゼーゼルの毛皮ですが、この切り口は減点対象になりますが、ほかはまったくそういう箇所が見られないので、値段としては、大銀貨一枚で買取り致しますが、よろしいですか?」
店員の言葉に、私は内心驚いた。
「フム。承知致した。ちょっと質問をよろしいかな?」
「ハイ。なんでしょうか?」
「普通、この毛皮の値段は四枚位だと聞いたぞ?それが、なぜ大銀貨一枚という事になるのであろうか?」
「それは確かに疑問に思われるかも知れません。先程も申しあげましたが、ほんとにあの切り口以外悪い所がまったく有りません。これだけの代物ですと、通常の物と比べ、加工する幅が広がりますので、これだけのお金を支払っても、元が取れるのですよ。まぁ、これだけの代物、この値段以下で買取ったら、番頭にどやされる。という事もありますがね。それと、支払いはいかがなさいますか?」
「それだったら、銀貨九枚と銅貨十枚でお願い出来るかしら?・・・常世さん。これからの事を考えたら、小銭が有った方がいいと思うのだけど、いかがかしら?」
私が言う前に、リルが口を挟み、私に提案をする。
確かにリルの言う通りにした方が無難であるので、ここは従っておくかな。
「確かに、その方が良い様だな。それでは、それでお願いする」
「承知致しました・・・・・・こちらが代金になります。ご確認ください」
店員はそう言うと、お金は入っていると思われる袋を差し出す。
「どれどれ・・・」
私が受け取るよりも速くリルが中を改める。
「ちゃんと入ってるわね・・・あっ、大丈夫よ。そういう習慣だから。あと、運賃だけど、紹介料込みで銅貨一枚貰っておくから」
リルはそう言ったが、確かに伝の無い私ひとりだったのなら、未だに換金出来てないどころか、よしんば換金出来たとしても、二束三文で買取られていたかも知れない。
それを考えたら小銅貨七枚の紹介料は安いものだろう。
「ああ、それで問題ない。こちらこそ助かった」
「困った時はお互い様よ。あと、まだ用が有るから、大丈夫ならもうちょっと居てね」
「その辺は問題ないのだが・・・今晩泊まる宿を探さねばならぬのだが・・・」
「それは大丈夫よ。ウチにいらっしゃいな。これも何かの縁よ」
確かに、宿を探さぬ分それは助かる・・・後が怖そうだが・・・
「それならば問題ない。リル殿もどうやらここに用が有る様みたいだしな」
「へへへ、実はそうなのよねぇ・・・という訳で、これを買い取って下さる?ここん所物要りなのよねぇ」
リルは、そう言うと、懐から宝石であろう物と、拳大の金の塊を取り出す。
「・・・そうですねぇ・・・」
店員は、宝石と金塊を鑑定する。
「これでしたら、この位のお値段かと・・・」
店員は、指を使って買取り価格をリルに提示する。
「ハァ?ちょっと金貨二枚はいくらなんでも足元見すぎじゃないの?これくらいは出して貰わないと」
こんどは、リルが指を使って希望価格を提示する。
立ってる指の本数からして、金貨六枚で買い取って欲しい様だ。
「それでは、私が番頭にどやされますので、この位かと・・・」
店員は、今度は、指を二本立てた後、五本に出し直す。
どうやら、金貨二枚半という事だろう。
「・・・ぐぐぐ。流石にその値段は無理ね。この位でないと」
リルは、次に指を四本出して希望価格を提示する。
それから十分位だろうか、リルと店員のやり取りは、金貨三枚半で落ち着いた。
リルの嬉しそうな表情から察するに、どうやら最初の提示した価格は、ブラフだった様だ。
逆に店員は、気疲れしている様だった。
「わたしの用事も終わったし、それでは、我が家にご招待します」
「過分なご招待、痛み入ります」
その後、リルが馬車を捕まえ、リルの住まいに向かうので有った。
常世「ここまでありがとうございます。誤字、脱字など有りましたらよろしくお願いします・・・もう、二話目からですか」
作者「すいません。いっぱいいっぱいです」
常世「・・・まぁ、敢えて言いませんが、主人公として出させて貰って何ですが、この作品大丈夫ですか?」
作者「それは言わないで」
常世「・・・仕方有りません。今後とも、この異世界飛何をよろしくお願いします」