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少し違う竹取物語 裏

 訳あって山の奥の奥で生活して5年ちょっと経った頃、昔から住んでいたおじいさんおばあさんの老夫婦にとても小さな赤ん坊がやって来たと耳に入り興味本意で見に行ってみたら、それはもう両手に収まるくらいの小さな女の子がそこにいました。


おじいさんに名前を尋ねると『かぐや』と言うらしいです。


本当に可愛らしくずっと見てても飽きないくらい僕はかぐやに夢中になっていました。


だからおじいさんおばあさんに頼み僕自身も時間があるとき世話をしていいかと頼んでみたところおじいさんとおばあさんは快く承諾してくれました。


 それから山での仕事が終わったらおじいさんとおばあさんの家に行き、かぐやのお世話をしてあげたりしました。


時にはおじいさんおばあさんが留守の時に一緒にいてあげたり、おじいさんおばあさんと一緒にかぐやの面倒をみました。


 五年と月日が経つとかぐやはもう歳相応の身長の育ち、よく一緒に遊んであげたりしました。


かぐやは特にかくれんぼが大好きで一日中かくれんぼという日も少なくありませんでした。


そしてよく僕に対してお嫁さんになってあげると無邪気な笑顔で語りかけてきました。


かぐやと僕は十歳以上の歳の差があるので、かぐやが大人になったら僕はもういい歳になっているし、かぐや自身もその頃には忘れているだろうと思い僕は特に何も考えず頷いてばかりいました。


 更に九年の月日が経つとかぐやはそれはもうこの世の頂きにしか存在しないくらい可憐な乙女に成長していて、村の男だけでなく遠くから来た数々の男に交際を申し込まれていました。遂には公家の方達もかぐやに迫ってくるのでした。


しかしかぐやは誰一人と交際を引き受けることはありませんでした。


小さい頃から一緒にいる僕にとってはもう自分の娘と言っても過言ではないので、誰とも交際をしないかぐやが心配になってきました。


終いには帝様の誘いも断る始末です。


そしてかぐやはその美貌から皆に『かぐや姫』と呼ばれるようになりました。


その最たる美貌を持ち、男に困ることはないはずのかぐや姫が何故帝からの求愛も断ってしまったのか心配になった僕はどうして誰とも交際をしないのかかぐやに聞いたところ、問には答えてくれず、可愛く頬を膨らませ拗ねてしまいました。


 そんな心配をしていて僕自身なのだが、色々訳あって女の人と交際をしていなかったのですが、山の麓の村のとある娘に熱心に交際を申し込まれ続けらて、最初は断り続けていましたが、その娘の明るい笑顔と僕の気持ちをしっかり尊重し、大切に想ってくれるその想いに負け、遂に告白を受けとることにしました。


かぐやと長く接していたせいかぐやとおばあさん以外の女性とはもう長い間ろくな会話をしていなかったのですが、その娘とは会話が弾む一方でした。


だから僕は気づけませんでした。


かぐやの異変に。


 ある夜の日、珍しく誰かが僕の小屋まで訪ねて来ました。


誰かなと思い扉を開けるとなんとかぐやが目の前にいました。


しかし僕は目を疑いましたあのとても黒く輝いていてすらっとしてた髪は乱暴に乱れ汚れてしまっています。


交際を申し込んだ公家の方から渡されたとても高そうな服はその高貴な印象は一切残らず消えてところどころ破けていました。


他にも、あの珠のような綺麗な肌におかしなことに赤い液体が付いているのです。


そしてかぐやの絶世の美女と言われる顔はどこか不気味にそしてとても無邪気な顔で笑っていたのでした。


その時僕はまた同じ過ちを犯してしまったのだと気づき、そして手遅れだと悟りました。


 そんな僕にお構いなしにかぐやは僕に交際を申し込みました。


あの日の約束を叶えると言いながら僕に迫って来ました。


しかし僕にはもう交際しているあの娘がいるので、その帝様さえ手に入れることのできなかった娘の申し出を断りました。


 するとかぐやは恐ろしいことを口にしました。なんとかぐやは僕と恋仲であったあの娘を殺してあげたと言うのです。


山の中に誘い、そのままこの包丁で殺したと赤くドロリとした液体の付いた包丁を見せびらかしながら嬉しそうな表情で言いました。


だからかぐや自身も赤いんだとこの状況下で思いました。


一度経験した修羅場の経験を生かし、僕は平静を装いかぐやにあるひとつの提案をしました。


かくれんぼをして鬼であるかぐやが僕を見つけることができたら、潔く交際を受けようとかぐやに言いました。


最初は不機嫌な顔をしていたかぐやですが、捕まえたら僕を好きにしていいよと言うと急にやる気になりました。


 一本の線香を半分に折り、火をつけてかぐやに渡しこの線香が全部消えたら僕を探しにおいでと言い一度かぐやを小屋から出しました。


かぐやが小屋を出ると僕はすぐに軽く荷物を支度してかぐやに気づかれないように裏の扉から出ていきました。


もう帰ってくることのない小屋を後ろに僕は山を降りまた遠くの地へ足を向かわせました。


次は二人の女性から逃げないとと思うと足がいきなり重くなる感じがしました。


鬼ごっこに続きかくれんぼと二つの遊びが始まるのでした。


おしまい










その後、男はたまたま子供たちにいじめられてた一匹の亀を助けるのですがこのことはまた別のお話です。

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