表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

少し違う竹取物語

昔々あるところにおじいさんとおばあさんが山奥に住んでいました。


毎日の日課でおじいさんは山へ竹取りにおばあさんは川へ洗濯に行きました。


 おじいさんが山で竹を切っていると一本の竹が黄金色に輝いていました。


おじいさんはその竹を斧で切ってみると何と中から三寸くらいの小さな小さな赤子が竹の中で眠っていました。


そしておじいさんはその赤子を家に連れて帰ることにしました。


 おじいさんが家に着くと先に帰っていたおばあさんに先程の赤子を見せてあげました。


最初は驚いたおばあさんですが赤子の可愛らしさに心を奪われ優しく撫でてあげました。


おじいさん、おばあさんはその赤子があまりにも愛しかったのでそのまま赤子を育てることを決心しました。

 その赤子は女の子だったので、名前を『かぐや』と名付けました。


 おじいさんとおばあさんの温かい生活の中でかぐやはすくすく成長していき、14年経つ頃には身長も三寸の頃が嘘であったと思うくらい成長し、容姿は更に可愛さを増していき、かつ美しさも少しずつ出てきて艶やかさも備え始めていました。


今では村に行けば男女構わず魅了してしまう絶世の美女と言っても過言ではなくなっています。その美貌は隣村まで噂として流れていきました。


 噂は次々に伝染していき、遂に公家達の耳にも伝わるくらい広がりました。


そして、かぐやと結ばれたいと思う男達が毎日かぐやの元へと集まり交際を申し込みました。


しかし、かぐやは誰一人とその申し出を受けることはありませんでした。


遂には公家の方々が直々にかぐやの元へと集まり交際を申し込みましたが、かぐやの出された交際条件の難題に挑み敗れていきました。


そしてかぐやはその絶世の美しさから多くの者から『かぐや姫』と呼ばれるようになりました。


 最早高嶺の花になっているかぐやなのですが、一人だけ気になる異性の男がいました。


その男とはおじいさんとおばあさんの家より更に山奥にある小屋に住んでいた男でした。


男はかぐやが幼い頃からたまに遊び相手になってあげていたのでかぐやにとっておじいさんおばあさんと同じくらい心を開いているひとりでありました。


日々多くの男に交際を申し込まれていたかぐやはその男も自分に交際を申し込んでこないかと密かに期待していました。


最終的に帝にも交際を申し込まれたかぐや姫。


勿論その畏れ多い申し出をことわりはあの男が自分に交際を申し込む日はそう遠くないと思っていました。


しかしかぐやの想いはすぐに壊されました。


 男はなんと別の女に交際されてその申し出を快く了承したのです。


かぐやはその事を知ると涙を流しながら悲しみました。


おじいさんとおばあさんが慰めようとかぐやの部屋に入ろうとしましたが、ひとりにしてほしいとかぐやの掠れた声が聞こえたためおじいさんとおばあさんはかぐや自信が部屋から出るまで待つことにしました。


その夜はずっとかぐやの泣き声が微かに聞こえましたが流石に泣き止み、それから二日間かぐやはずっと部屋に籠り続けていました。


 三日目の昼と言うにはまだ早い朝方にかぐやが遂に部屋から出てきました。


そして突然かぐやはおじいさんおばあさんに別れを告げました。


その時のかぐやの目は気持ち悪く混濁していて、時々不気味に上がる口角がとても人ではないと思わせる怖さがありました。


 別れを告げられた夜にはもうかぐやの姿は消えてしまいました。


おじいさんおばあさんはとても悲しみましたがそれ以上にかぐやに対しての不安感がふたりを襲いました。


そんなおじいさんとおばあさんの心を慰めてくれるのは明るく照らす満月と鈴虫の声のみでした。


 そしてけじめをつけたおじいさんとおばあさんはまたいつものかぐやの居なかった日常へと戻るのでした。 


おしまい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ