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第四話

彼女は僕の前に立ち止まった。

黒くて長い髪が微かに揺れている。

「小説。面白い?」


覗き込まれてドギマギしてしまう。

「う、うん」


彼女は白い手を僕の方に差し出す。

僕は本を渡した。


「罪と罰か」

彼女は僕の隣に座り小説を読む。

木漏れ陽がページに落ちて斑になっている。


「良い小説。読んでるね」

そう言って本を返してくれた。


向こうの病棟から市松先生が走ってくる。

また息をぜーぜー切らしている。

「草鹿君。診療をはじめるぞ」


顔を上げた市松先生が彼女に気付く。

「なんだ。吉野君もいたのか」

「はい」


彼女は手を口に置いて笑う。

「先生。汗。何で走って来たんですか?」

「全力の治療がモットーなんでな」


さあ、行くぞ。と先生は僕の肩を叩く。

僕は煉瓦の道を歩きながら少し振り返る。

精神科を受診してる子には見えなかった。


中庭から病院内へ続く扉を開けると薬の匂いがした。

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