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兄妹で暗殺者やってます。  作者: 卯月息吹
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第1話

「わかるかい?君はね、お母さんに捨てられた子なんだよ」




「まだ、何が起こってるのかわからない顔をしているね。」





「君はね、売られたんだ。人身売買さ。これからは僕の奴隷になるんだよ」





「あっははは!子供の力じゃね、僕からは逃げられないよ」





「ははははっ。じゃあ、君の最初はもらうね?」





「ほらほら、暴れないの。最初だからちょっと痛いけど我慢してね」





「ほ~ら~?わかるかい?もうすぐ、僕たちはひとつになるんだよ?」





「う~ん、もうちょっとかな?いや、もういいかな?」






「かはっ・・・・・くそ・・・ガキのくせに・・・・」





「・・・・」





「・・・・・・・・」





「・・・・・・・・・・・・・・・」

















ザクッザクッ





私がナイフを振り落とすごとに『ソレ』は形を変えていく。





ザクッ




『ソレ』が形を変えていくごとに、私の顔や体に赤い液体がかかる。









 「また、派手にやってるな・・・」






後ろから、よく聞きなれた声が聞こえた。




振り返ると、やはりそこにはアイツがいた。






 「はぁ~・・・。せめて、服を着ろ。男の俺に裸を見られて恥ずかしくないのか?」




 「恥ずかしい・・?別に減るものじゃないし・・それにこんな仕事してれば慣れるよ」




 「まあ・・・そうだよな。にしても・・やりすぎだ、馬鹿」





そういいながら僕の頭を軽く叩く。




 「別に、私が後片付けするわけじゃないから・・・」



 「俺が、大変なんだよ!まあ、妹の後片付けをするのが俺の役目だからな・・・」





そう、さっきから僕に話しかけてくるこいつは僕の兄。


と、いっても双子の兄。



  

 「私が妹らしくないのと同じで、お前が兄らしくないのも仕方がないか」


  

 「あ?なんか、言ったか?」


  

 「別に・・・。次の仕事待ってるから・・・服」



 「ほらよ」






次はどんな気持ちが悪い男の相手をしないといけないのだろうか?



まあ、この状況でわかると思うが、僕は暗殺者だ。



だけど・・・




  

 「この仕事・・めんどくさい」



 「はぁ!?お前はターゲットを殺せるからいいじゃないか!俺なんて・・」



 「よく、考えてみなよ?私は犯されそうになるんだよ?はやく終わらせたいのに・・・

  ギリギリまで我慢しないといけないし・・・」



 「後片付けよりはマシだろ・・・。つかさぁ俺、正直血って嫌いなんだよな」



 「血?僕は好きだな。」





そう呟きながら、シャツに腕を通す。



 

 「真っ赤で綺麗だし・・あの香りも好き。」



 「マジかよ・・・あ、俺、内臓とかそういうのは好きだぜ?」



 「普通、逆・・・」





ふと、パソコンをみるとメールのところに通知マークが出ていた。






カチッ





クリックして、中身を開くと、そこには次の仕事の変更のことが書かれていた。






 「うわ・・・次の集会は全員強制参加だって・・・」



 「嘘だろ?・・・ってことは・・・」


  

 「うん。きっと、アイツたちも来るだろうね・・・」



 「はぁ・・・いくしかないか。んで?いつだ?」



 「えっと・・・・今日」



 「はぁ!?」



 


そこには今日の日付が確かに記されていた。





 「場所は!?ここから、間に合うか!?」



 「場所は・・・お、このビルの地下だ」



 「よし!じゃあ、お前も片付けをてつだ・・」



 「じゃあね」





僕は、かばんを引っつかみ窓から勢いよく落下した。





 「んなっ!?あいつ、裏切りやがったな!?」







そんな声がかすかに聞こえた気がしたが気にしないでおこう。






こんなときになんだが、自己紹介がまだだったな。





僕は、月影怜≪ツキカゲレイ≫。


それと、僕の双子の兄は、月影燐≪ツキカゲリン≫。まあ、どうでもいいんだけど。





月影家は闇の組織っていうか、そういう裏でのなかでは有名な一族らしい。



暗殺の腕が代々みんな凄かったって話だ。



そんなこんなで、僕と兄貴が生まれてすぐだった。逆恨みっていうんだろうな。



家に火をつけられたんだ。その時、たまたま僕たち兄妹は家にはいなかったんだが、



他の家族は全員焼死。そんで、身寄りが全員消えてしまった僕たちは暗殺組織の会長にひきとってもらった。



まあ、よくある話だよな。だけど、僕たちをここまで育ててくれた会長も去年の夏、ふらっと消えてしまった。



それから、僕たち兄妹に関わった人たちは行方がわからなくなったり、突然、死んでしまったりしてしまった。



もちろん、それを偶然などとは言えないだろう。皆、僕たちのことを「悪魔の使い」と呼ぶようになった。




「悪魔の使い」とか、皆さん厨二病ですか(笑)


とか、当時思ってたけど・・・





「にしても、本当に悪魔の使いなのか?」






そう考えていると、前方に扉が見えた。きっとあそこだろう。



正直、集会は苦手だ。そもそも、人と関わることじたい、苦手・・というより嫌いだ。



だから私の暗殺方法も変えてほしいと、心のどこかでは思っているが、今の会長にはそんなこと言えやしない。



あの人に逆らった人は皆消えるって噂もあるし・・・。






色々、考えながらドアの前で立ちすくんでいると突然、後ろに気配を感じた。





「誰?」




身構えながら後ろを振り返ると、僕が大嫌いな奴がいた。





「あ、誰かと思えば、怜ちゃんじゃん♪久しぶりだねーっ!」




そういいながら抱きつこうとしてきたので、左によけてみた。




ガンッと鈍い音がして、奴は倒れる。





・・・。しばらくしても動かない。まさか、本当に死んだのか。





「よっしゃ」





「いやいやいや!そこは、大丈夫?とか言いなさいよーっ!」






どうやら、生きていたようだ。まあ、あのようなことでくたばってしまうなら暗殺者なんて務まらないだろう。







「そこ・・」




「え?なになに!?怜ちゃんから話しかけてもらえるとか!めちゃくちゃラッキー!?」




「邪魔」






そこをどいてほしかっただけなんだが・・。



変にこいつはテンションが高いからついていける気がしない。


いや、ついていかなくても別にいいのか。






「きゃー!邪魔って言われちゃったー!きゃ!録音完了♪」




「・・・・・」





録音ってなに。ストーカーですか、あ、そうですか、はい。



もうやだ、この人・・・。






「っていうか~今日、一番に会えたのが怜ちゃんでよかったー♪」







さっきから親しく声をかけてくるこいつは、朝霧輝≪アサギリヒカル≫。


ちなみにこいつ、見た目もしゃべり方も女そのものだが、男だ。


名前も、女でもいけそうな名前だから初めて会った人はこいつが男だなんてわからないだろう。




「オカマとか(笑)」




「もーう!オカマじゃないわよっ!あと、その「かっこわらい」ってなんなのよーっ」




「笑ってるんだよ。文だけみたら笑ってるように見えるから」






適当に答えながら、ドアノブに手をかける。




すると、勢いよく扉が開いた。





「うおっ!?」




「!?」





反対側からもちょうど開けたようだ。ドアが開いた瞬間、お互いに転びそうになった。






「!」




体制を元に戻し、扉から出てきた人物を見る。






「怜じゃないか!久しぶりだな。元気にしてたか?」







この男は、暗城新≪アンジョウアラタ≫。


僕を育ててくれた会長の息子だ。




じゃあ、今の会長はこいつかって?それは違う。


会長にはたくさん子供がいた。しかし、僕たちのように拾ってきた子のほうが多かった。


血のつながった本当の子供は、こいつだけだ。しかし、まだこいつでは経験不足だ、ということで


今の会長が会長の座についたわけだ。






「新しい会長ってどんな人?」



そんなことを聞きながら、扉の向こうへと進む。



「あっれー?怜ちゃん、会ったことないの?」



「怜は、いつも逃げていたからね。根はいい人なんだ。きっと、小さい頃何回かは見たことがあると思うよ」



「そう、だよな。でも、経験不足っつっても、新も結構やってきたと思うんだけど」



「怜に、そんなこと言われるだけで幸せだよ。」



「あいかわらず言ってることがくさいよ・・」





そうこうしていると、足音が聞こえた。


わざと、足音を立ててここまでくるということは会長なのだろうか?





いつも、思うことなんだが・・・


集会のこの空気・・・やっぱり苦手だ。



ふと、横をみるといつのまにか兄さんがそこにいた。




「兄さん!?」



「でかい声だすんじゃねーよ、馬鹿。にしても、会長さんとやらはどんなやつなんだろうな」



「ごめん。実際、かいちょ・・前会長との血のつながりはまったくないからね・・」



「俺、てっきり新が会長の座を継ぐのかと思ってたぜ」



「私も」





すると、突然電気が消える。


周りの奴が煩いくらいに騒ぎ出す。




「こんぐらいの暗さで慌ててよく暗殺者になんてなれたな」



「同感・・・。新?どうしたの?」



「ん・・頭痛が・・な。ほら、こっち。僕についてきて」



「?」




兄貴とお互いに顔を見合わせ、ハテナマークを頭に浮かべながら新についていく。






「新しい会長になってからいつも始まりはこうなんだ。」



「どういうことだ?ただの停電とかじゃねーのか?」



「怜も燐も初めてだからね。僕も最初は驚いたよ。あ、そこ気をつけて」



「それで・・・どこに向かってるの?」



「おそらくだけど、会長の意図はこの暗闇のなかでどれだけ動けるかを確かめてるんだと思う。

 まず、この会場を探すこともかなり苦難の技だといわれている。メールには簡単な地図しか載っていないからね」



「じゃあ、私たちは結構ラッキーだったんだね・・苦労しなかったし」



「うん、二人はこのビルの中で仕事中だったんだよね。でまあ、話を戻すとね、この闇の中でどれだけ目が使えるか、この闇のかなかで、正しい道でたどり着けるかが重要だと思うんだ」



「へぇー。でも、こんぐらい明るければなんとかなるんじゃねーのか?」



「怜も燐も、闇には慣れてきてるからね。こんぐらいの暗さでたどり着くことができないやつはやめてしまえってことさ」



「やめる?根性がないっていうか・・・」



「まあ、闇の中目が見えなくても手探りでなんとかなるからね。努力もしない奴らは全員、クビってことさ」




新と兄さんと話しているうちに一つの扉の前にたどり着く。


少し、胸が高鳴っているのを私は感じながらも扉を勢いよく開け放った。




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