表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしとんでもロボが異世界の第三王子に転生したら  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/44

第26話:準決勝、レオナルドと対決(ガチ戦闘開始)

 準決勝の時間が、近づいていた。


 闘技場には、これまでで最も多くの観客が集まっていた。


 学院最強の剣士と、謎の第三王子の対決。


 誰もが、この試合を見たがっていた。




「殿下、準備はいいですか」


 控え室で、セラが声をかけた。


 ルーカスは、ふわふわ棒を握りしめていた。




「はい。準備はできています」


「緊張していますか」


「少しだけ」


「大丈夫です。殿下なら、きっと上手くやれます」


「ありがとうございます」


 ルーカスが、小さく微笑んだ。


 セラも、微笑み返した。




「では、行ってきます」


「はい。頑張ってください」


 ルーカスは、控え室を出た。


 闘技場へ向かう廊下を、歩いていく。


 心臓が、少し速く鳴っていた。




 * * *




 闘技場に入ると、歓声が響いた。


 観客席は、満員だった。


 皆が、この試合を待ち望んでいた。




「第三王子だ……」


「また、ふわふわ棒を持っているな」


「レオナルドに、あれで勝てるのか」


「見ものだな」


 囁き声が、あちこちから聞こえる。


 ルーカスは、それを無視して、フィールドの中央に向かった。




 反対側から、レオナルドが入ってきた。


 金髪を後ろに撫でつけ、鋭い目つきをしている。


 手には、訓練用の長剣を持っていた。


 堂々とした立ち姿だった。




「来たな、第三王子」


「はい。よろしくお願いします」


「言っただろう。全力で来い」


「分かりました」


「手加減するなよ」


「……やってみます」


 ルーカスが答えた。


 レオナルドが、にやりと笑った。




「準決勝、第三王子ルーカス殿下対、レオナルド・フォン・アルブレヒト」


 審判が、対戦カードを読み上げた。


 観客席から、歓声が上がった。




「両者、構え」


 ルーカスは、ふわふわ棒を構えた。


 レオナルドは、長剣を構えた。


 二人の視線が、交差する。




「試合、開始!」




 * * *




 レオナルドが、一気に距離を詰めてきた。


 速い。


 今までの相手とは、比較にならない速さだ。




 長剣が、横から薙がれる。


 ルーカスは、後ろに下がって避けた。


 しかし、レオナルドは止まらない。


 連続攻撃を仕掛けてくる。




 斬り上げ、斬り下ろし、突き、払い。


 次々と攻撃が繰り出される。


 ルーカスは、すべてを避けた。


 しかし、反撃する隙がなかった。




「どうした、避けてばかりか」


「すみません。速いので」


「もっと速く動けるはずだ。見れば分かる」


「……」


 レオナルドの言葉は、正しかった。


 ルーカスは、まだ本気を出していない。


 避けることに集中して、攻撃を抑えていた。




「つまらないな」


 レオナルドが、一瞬止まった。


 その目には、失望の色が浮かんでいた。




「俺は、お前の本気が見たいんだ。手加減された試合なんて、意味がない」


「でも、本気を出したら……」


「出したら、どうなる」


「傷つけてしまうかもしれません」


「傷つけろ。それが、戦いだ」


 レオナルドが、きっぱりと言った。


 その言葉に、ルーカスは胸を打たれた。




 傷つけろ。


 それが、戦いだ。




 確かに、そうかもしれない。


 戦いとは、本気でぶつかり合うこと。


 手加減しては、相手に失礼だ。




「分かりました」


 ルーカスが、構えを変えた。


 ふわふわ棒を、両手で握りしめる。


 目つきが、変わった。




「本気で、行きます」


「ああ。来い」


 二人が、同時に動いた。




 * * *




 ルーカスが、前に踏み出した。


 レオナルドも、同時に踏み出した。


 二人の武器が、ぶつかり合った。




 ドンッ。




 重い衝撃が、闘技場に響いた。


 ふわふわ棒と長剣が、激しくぶつかる。


 火花が散るような、激しい攻防だった。




「いいぞ! それだ!」


 レオナルドが、叫んだ。


 その顔には、喜びが浮かんでいた。


 これこそ、彼が求めていた戦いだった。




 ルーカスは、攻撃に転じた。


 これまで、避けてばかりだった。


 防御を重視して、攻撃を抑えていた。


 しかし、今は違う。


 防御を捨てて、攻撃に全振りする。




 ふわふわ棒が、唸りを上げる。


 レオナルドに向かって、振り下ろされる。


 速い。


 これまでとは、比較にならない速さだ。




「くっ……!」


 レオナルドが、長剣で受け止めた。


 しかし、衝撃で身体が押し戻される。


 ふわふわ棒の威力が、予想以上だった。




「これは……」


 レオナルドの目が、見開かれた。


 ルーカスの攻撃が、続く。


 一撃、二撃、三撃。


 連続で、ふわふわ棒が振るわれる。




 レオナルドは、すべてを受け止めた。


 しかし、その度に、身体が押し戻される。


 ふわふわ棒の威力が、尋常ではなかった。




「柔らかいはずなのに……この威力……」


「すみません。力を入れすぎたかもしれません」


「入れすぎ……いや、これでいい。これこそ、お前の本気だ」


 レオナルドが、にやりと笑った。


 そして、反撃に転じた。




 * * *




 観客席では、誰もが息を呑んでいた。


 これほど激しい戦いは、見たことがなかった。


 学院最強のレオナルドと、謎の第三王子。


 二人の戦いは、想像を超えるものだった。




「すごい……」


「何だ、あの動き……」


「第三王子、本気を出していたのか……」


「レオナルドが、押されてる……」


 囁き声が、あちこちから聞こえる。


 皆が、目の前の光景に釘付けになっていた。




 セラは、観客席の最前列で試合を見ていた。


 その顔には、複雑な表情が浮かんでいた。


 嬉しさと、心配が混ざり合っていた。




「殿下……」


 ルーカスは、本気で戦っていた。


 これまで見せなかった力を、発揮していた。


 それは、素晴らしいことだ。


 しかし、同時に危険なことでもあった。




 この力を見れば、誰もがルーカスの「異常さ」を認識するだろう。


 監察官たちは、喜んで「証拠」として使うだろう。


 それでも、ルーカスは戦っている。


 全力で、戦っている。




「頑張れ、殿下……」


 セラが、小さく呟いた。


 声を出して応援したかった。


 しかし、昨日の騎士科団体戦のことがあるので、控えていた。




 * * *




 闘技場では、激しい攻防が続いていた。


 ルーカスが攻め、レオナルドが受ける。


 レオナルドが反撃し、ルーカスが避ける。


 どちらも、一歩も引かなかった。




「お前、本当に強いな」


「レオナルドさんも、強いです」


「だが、まだ俺の方が上だ」


「そうですか」


「証明してやる」


 レオナルドが、構えを変えた。


 長剣を、高く掲げる。


 全身に、力を込める。




「秘剣、雷光斬!」


 レオナルドが、叫んだ。


 長剣が、稲妻のように振り下ろされる。


 常人には見えない速さだった。




 しかし、ルーカスには見えた。


 すべてが、スローモーションのように見えた。




 ルーカスは、ふわふわ棒を横に構えた。


 レオナルドの攻撃を、真正面から受け止める。




 ガキィン!




 金属がぶつかり合うような音がした。


 ふわふわ棒と長剣が、激しくぶつかる。


 衝撃波が、周囲に広がった。


 観客席の前列まで、風が届いた。




「……受け止めた」


 レオナルドが、信じられないという顔をしていた。


 雷光斬は、彼の必殺技だった。


 これまで、受け止めた者はいなかった。




「すごい技ですね」


「受け止めるな……普通は」


「すみません。反射的に」


「反射的に……はは」


 レオナルドが、笑った。


 乾いた笑いだった。




「お前、本当に何者だ」


「人間です。たぶん」


「たぶん……」


「はい。たぶん」


 ルーカスが、真顔で答えた。


 レオナルドは、その答えに言葉を失った。




 * * *




 試合は、さらに続いた。


 二人の戦いは、もはや常人の域を超えていた。


 レオナルドは、持てるすべての技を繰り出した。


 ルーカスは、すべてを受け止め、反撃した。




 しかし、ルーカスは気づいていた。


 レオナルドの動きが、少しずつ鈍くなっていることに。


 体力の限界が、近づいていた。




「レオナルドさん、大丈夫ですか」


「うるさい。まだ戦える」


「でも、息が乱れています」


「だからどうした。試合は、終わっていない」


「……」


 レオナルドは、諦めなかった。


 体力が尽きかけていても、戦い続けた。


 その姿に、ルーカスは心を打たれた。




 これが、戦士だ。


 最後まで諦めない。


 全力で、戦い抜く。


 それが、レオナルドの生き方だった。




「分かりました。最後まで、付き合います」


「当然だ」


 ルーカスが、構え直した。


 レオナルドも、構え直した。


 二人は、お互いを見つめた。




「行くぞ」


「はい」


 二人が、同時に動いた。


 最後の攻防が、始まった。




 * * *




 レオナルドが、渾身の一撃を放った。


 全身の力を込めた、最強の一撃。


 これで、勝負を決める。


 そう思っていた。




 ルーカスは、その攻撃を見切った。


 そして、カウンターを放った。


 ふわふわ棒が、レオナルドの胸に向かう。




 当たる直前、ルーカスは力を抜いた。


 軽く、当てる。


 相手を傷つけない程度に。




 ボフッ。




 柔らかい音がした。


 ふわふわ棒が、レオナルドの胸に当たった。


 しかし、レオナルドは倒れなかった。


 ふらりと、よろめいただけだった。




「……手加減、したな」


「すみません」


「謝るな。それが、お前の答えか」


「はい」


「……そうか」


 レオナルドが、長剣を下ろした。


 その顔には、複雑な表情が浮かんでいた。


 悔しさと、納得が混ざり合っていた。




「俺の負けだ」


「え……」


「体力の限界だ。これ以上は、戦えない」


 レオナルドが、膝をついた。


 息が荒い。


 全身に、汗が滴っている。


 限界だった。




「勝者、第三王子ルーカス殿下!」


 審判が、宣言した。


 観客席から、大きな歓声が上がった。


 誰もが、この試合に感動していた。




 * * *




「レオナルドさん、大丈夫ですか」


 ルーカスが、手を差し出した。


 レオナルドは、その手を取って立ち上がった。




「お前、強いな」


「レオナルドさんも、強かったです」


「だが、お前の方が上だった」


「……」


「最後に、手加減しただろう」


「はい。すみません」


「謝るな。それが、お前の優しさだ」


 レオナルドが、にやりと笑った。




「俺は、お前を認める」


「認める……」


「ああ。お前は、強い。そして、優しい。それは、武人として最高の資質だ」


「ありがとうございます」


「決勝も、頑張れ。俺の分まで」


「はい。頑張ります」


 二人は、握手を交わした。


 観客席から、また歓声が上がった。




 * * *




 控え室に戻ると、セラが待っていた。


 その目には、涙が浮かんでいた。




「殿下、おめでとうございます」


「ありがとうございます」


「すごい試合でした」


「力を出しすぎたかもしれません」


「いいえ。殿下の本気を、見られて良かったです」


 セラが、微笑んだ。


 ルーカスも、微笑んだ。




「明日は、決勝ですね」


「はい」


「相手は、誰でしょうか」


「まだ分かりません。もう一つの準決勝の結果を待ちましょう」


「そうですね」


 二人は、しばらく黙っていた。


 疲れた身体を、休ませていた。




「殿下」


「はい」


「今日の試合、本当に良かったです」


「そうですか」


「はい。殿下が、本気で戦っている姿を見て、私は嬉しかったです」


「……」


「殿下は、いつも力を抑えています。でも、今日は違いました。全力で戦っていました」


「レオナルドさんが、本気で来てくれたので」


「はい。彼は、良いライバルですね」


「そうですね」


 ルーカスが、頷いた。


 レオナルドとの戦いは、自分にとって大きな経験になった。


 全力で戦う喜び。


 認め合う喜び。


 それを、教えてもらった。




「明日も、全力で戦います」


「はい。応援しています」


「ありがとうございます、セラ」


「……はい、ルーカス」


 二人は、お互いの名前を呼び合った。


 その声には、深い信頼が込められていた。




 実技祭も、残りわずか。


 明日は、決勝だ。


 最後の戦いが、待っている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ