表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしとんでもロボが異世界の第三王子に転生したら  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/38

第24話:ライバルキャラ登場(一方的に敵視される)

 本選二日目の朝。


 ルーカスは、いつも通り朝食を済ませ、闘技場に向かっていた。


 今日は、三回戦が行われる。




「殿下、調子はいかがですか」


「はい。昨日よりは、力加減のコツが分かってきた気がします」


「良かったです」


 セラと並んで歩く。


 朝の空気は、爽やかだった。




 しかし、その平穏は長くは続かなかった。




「待て!」


 突然、声が響いた。


 ルーカスとセラは、立ち止まった。


 振り返ると、一人の青年が立っていた。




 背が高く、筋肉質な体格。


 金髪を後ろに撫でつけ、鋭い目つきをしている。


 胸には、剣術部のバッジがついていた。




「お前が、第三王子ルーカスか」


「はい。そうですが……」


「俺は、レオナルド・フォン・アルブレヒト。剣術部のエースだ」


「剣術部のエース……」


 ルーカスは、その名前を聞いたことがあった。


 学院最強の剣士と噂される人物だ。


 三年生で、昨年の実技祭では剣術部門で優勝している。




「レオナルド殿、何か用ですか」


 セラが、警戒した様子で言った。


 レオナルドは、セラを一瞥した。


 そして、視線をルーカスに戻した。




「お前に、宣言しに来た」


「宣言……?」


「俺は、この実技祭で、お前を倒す」


「……」


 ルーカスは、困惑した。


 倒す?


 なぜ?




「あの、レオナルドさん。僕、何かしましたか」


「何もしていない。だが、お前は俺の前に立ちはだかる存在だ」


「立ちはだかる……」


「昨日の試合、見た。ふわふわ棒で相手を吹っ飛ばし、触れずに勝ち、判定で勝つ。どれも異常だ」


「異常……」


「お前は、強い。それは認める。だが、俺の方が強い」


 レオナルドが、自信満々に言った。


 その目には、炎のような闘志が宿っていた。




「だから、俺がお前を倒して、学院最強を証明する」


「はあ……」


「準決勝か決勝で当たるはずだ。そのとき、全力で来い。手加減するな」


「手加減……」


「お前は、力を抑えているな。見れば分かる。だが、俺には通用しない。全力で来い」


 レオナルドが、そう言い残して去っていった。


 ルーカスとセラは、呆然と見送った。




 * * *




「何だったのでしょうか……」


 しばらくして、ルーカスが呟いた。


 セラも、首を傾げていた。




「ライバル宣言……でしょうか」


「ライバル……」


「はい。殿下を倒すべき相手として、認識しているようです」


「なぜ?」


「殿下が強いからでしょう」


「でも、僕は目立たないようにしているのですが」


「その『目立たないようにする努力』が、逆に目立っているのです」


 セラが、苦笑した。


 ルーカスも、苦笑した。




「困りましたね」


「はい。レオナルド・フォン・アルブレヒトは、学院最強と言われています。彼に目をつけられたのは、まずいかもしれません」


「まずい……」


「はい。彼と戦えば、力を隠すのは難しいでしょう」


「全力で来い、と言われましたし」


「そうですね……」


 二人は、考え込んだ。




 レオナルドと戦えば、力を見せざるを得ない。


 力を見せれば、さらに注目される。


 そして、監察官たちに「証拠」を与えることになる。




「どうしましょうか」


「……難しいですが、避けることはできません。もし準決勝か決勝で当たったら、戦うしかありません」


「はい」


「そのときは、力加減を上手くやりましょう」


「やってみます」


 ルーカスが、頷いた。


 しかし、不安は消えなかった。




 * * *




 三回戦の会場。


 観客席は、昨日よりもさらに賑わっていた。


 本選の三回戦ともなると、実力者同士の戦いが増える。


 観客の期待も高まっていた。




「次の試合、第三王子ルーカス殿下対、マルティン・ホフマン」


 審判の声が響いた。


 ルーカスは、ふわふわ棒を持って闘技場に入った。




「また、ふわふわ棒か……」


「あれで三回戦まで来たのか……」


「今度の相手は強いぞ。ホフマンは騎士科のホープだ」


 観客席から、囁き声が聞こえる。




 対戦相手のマルティン・ホフマンは、騎士科の二年生だった。


 均整の取れた体格で、落ち着いた表情をしている。


 手には、標準的な木剣を持っていた。




「殿下、お手合わせ願います」


「よろしくお願いします」


 二人が、構えを取った。




「試合、開始!」


 審判の合図。


 マルティンが、じりじりと距離を詰めてくる。


 慎重な動きだ。


 ルーカスの試合を、よく研究しているのだろう。




「殿下、お聞きしたいのですが」


「何ですか」


「なぜ、ふわふわ棒を使っているのですか」


「安全だからです」


「安全……なるほど」


 マルティンが、少し笑った。


 しかし、その目は真剣だった。




「では、私は普通に戦わせていただきます」


「お願いします」


 マルティンが、攻撃を仕掛けてきた。


 木剣が、横から薙がれる。


 速い。


 しかし、見える。




 ルーカスは、後ろに下がって避けた。


 そして、ふわふわ棒を振った。


 軽く、当てる。




 ボフッ。




 マルティンの腕に、ふわふわ棒が当たった。


 軽い音がした。


 しかし、マルティンは動じなかった。




「効きませんね」


「はい。力を抑えていますので」


「では、もう少し強く打ってください」


「でも……」


「大丈夫です。私は、簡単には倒れません」


 マルティンが、自信を持って言った。


 ルーカスは、少し考えた。


 そして、頷いた。




「分かりました。少しだけ、強く打ちます」


「お願いします」


 試合が、再開された。




 マルティンが攻撃し、ルーカスが避ける。


 ルーカスが反撃し、少し強く当てる。


 ボフッ、という音が響く。


 しかし、マルティンは倒れない。




「もう少し、強くても大丈夫ですよ」


「本当ですか」


「はい」


 ルーカスは、力を少し上げた。


 ふわふわ棒が、マルティンの胴体に当たる。




 ドスッ。




 今度は、少し重い音がした。


 マルティンが、一歩後ろに下がった。


 しかし、倒れなかった。




「いい威力です。でも、まだ耐えられます」


「すごいですね」


「鍛えていますから」


 マルティンが、にやりと笑った。


 そして、攻撃を再開した。




 試合は、白熱していった。


 マルティンの攻撃は、どんどん激しくなる。


 ルーカスも、それに応えて反撃する。


 力加減が、少しずつ上がっていく。




 * * *




「いい試合だな……」


 観客席で、レオナルドが試合を見ていた。


 その隣には、剣術部の副部長がいた。




「ホフマンも、なかなかやりますね」


「ああ。だが、第三王子の方が上だ」


「そうですか?」


「見れば分かる。まだ、本気を出していない」


 レオナルドの目が、鋭く光った。


 闘技場では、ルーカスとマルティンの戦いが続いていた。




「あのふわふわ棒、見かけによらず威力がある」


「柔らかいのに、不思議ですね」


「武器の問題じゃない。使い手の問題だ」


「使い手……」


「第三王子は、力を抑えている。それでも、あの威力だ。本気を出したら、どうなるか」


 レオナルドが、にやりと笑った。


 その笑顔には、闘志が溢れていた。




「楽しみだ。奴と戦うのが」


「レオナルド、あまり無茶をしないでくださいよ」


「無茶はしない。ただ、全力で戦うだけだ」


 レオナルドが、立ち上がった。


 自分の試合の準備をするために。




 * * *




 闘技場では、試合が佳境に入っていた。


 マルティンの攻撃が、さらに激しくなる。


 連続技、フェイント、変則的な角度からの攻撃。


 あらゆる技を駆使して、ルーカスに迫ってくる。




 ルーカスは、すべてを見切っていた。


 しかし、反撃するたびに、力加減に悩んでいた。


 強すぎれば、相手を傷つける。


 弱すぎれば、ダメージを与えられない。


 その中間を探っていた。




「殿下、もう少し本気で来てください」


「これでも、結構本気なのですが」


「嘘でしょう。まだ余裕があるじゃないですか」


「……」


 マルティンの言葉は、正しかった。


 ルーカスには、まだ余裕があった。


 しかし、それ以上の力を出すのは、怖かった。




「では、少しだけ」


 ルーカスが、構えを変えた。


 ふわふわ棒を、両手で握る。


 少しだけ、力を入れる。




 マルティンが、攻撃を仕掛けてきた。


 ルーカスは、それを避けて、カウンターを放った。




 ドンッ。




 重い音がした。


 ふわふわ棒が、マルティンの胸に当たった。


 マルティンが、大きく後ろに吹っ飛んだ。


 しかし、彼は空中で体勢を整え、着地した。




「……今のは、効きました」


「大丈夫ですか」


「はい。でも、もう一発は耐えられないかもしれません」


 マルティンが、苦笑した。


 胸を押さえている。


 息が乱れていた。




「続けますか」


「もちろん」


 マルティンが、再び構えを取った。


 その目には、諦めの色がなかった。


 むしろ、闘志が燃えていた。




「殿下、私は負けません」


「分かりました」


「最後まで、戦わせてください」


「はい」


 二人が、再び向き合った。


 観客席から、歓声が上がった。


 熱い試合に、皆が興奮していた。




 * * *




 試合は、さらに続いた。


 マルティンは、何度も攻撃を仕掛けてきた。


 しかし、ルーカスには当たらなかった。


 ルーカスの反撃は、確実にマルティンを削っていった。




 そして、ついに。




「ぐっ……」


 マルティンが、膝をついた。


 体力の限界だった。


 ルーカスの攻撃を、何度も受け続けた結果だ。




「勝者、第三王子ルーカス殿下!」


 審判が、宣言した。


 会場から、拍手が起こった。




「マルティンさん、大丈夫ですか」


 ルーカスが、駆け寄った。


 マルティンは、顔を上げて笑った。




「大丈夫です。いい試合でした」


「ありがとうございます」


「殿下、強いですね。本当に」


「いいえ。マルティンさんも、強かったです」


「そう言ってもらえると、嬉しいです」


 マルティンが、立ち上がった。


 二人は、握手を交わした。




「準決勝、頑張ってください」


「はい。ありがとうございます」


 マルティンが、闘技場を去っていった。


 ルーカスは、その背中を見送った。




 * * *




「殿下、三回戦突破おめでとうございます」


 セラが、控え室で待っていた。


 ルーカスは、少し疲れた表情で座った。




「ありがとうございます。でも、力加減が難しかったです」


「見ていました。マルティン殿は、強い方でしたね」


「はい。最後まで諦めずに戦ってくれました」


「そういう相手がいると、殿下も力を出しやすいのではないですか」


「そうかもしれません」


 ルーカスが、少し微笑んだ。




「次は、準決勝ですね」


「はい」


「対戦相手は、誰でしょうか」


「おそらく……」


 セラが、言いかけたとき、控え室の扉が開いた。




「第三王子殿下、準決勝の対戦相手が決まりました」


 係員が、告げに来た。


 その名前を聞いて、ルーカスは息を呑んだ。




「レオナルド・フォン・アルブレヒトです」




 * * *




「やはり……」


 セラが、顔を曇らせた。


 ルーカスも、複雑な表情を浮かべた。




「レオナルドさんと、当たりましたか」


「はい。準決勝で」


「……」


 朝の宣言が、現実になろうとしていた。


 レオナルドは、自分を「倒すべき相手」として認識している。


 全力で戦え、と言っていた。




「殿下、どうしますか」


「どう、とは」


「力を抑えて戦いますか。それとも、全力で戦いますか」


「……」


 ルーカスは、考え込んだ。


 力を抑えれば、レオナルドを失望させるかもしれない。


 全力で戦えば、異常さがさらに露呈する。




「分かりません」


「殿下……」


「でも、逃げたくはありません」


「逃げる……」


「はい。レオナルドさんは、真剣に僕と戦おうとしています。その気持ちを、無駄にしたくありません」


「……」


「だから、できる限り、真剣に戦います」


 ルーカスが、決意を込めて言った。


 セラは、しばらく黙っていた。


 そして、頷いた。




「分かりました。私は、殿下を応援します」


「ありがとうございます」


「でも、くれぐれも、怪我をしないでください」


「大丈夫です。僕は、頑丈ですから」


「そうですね……」


 セラが、少し笑った。


 ルーカスも、笑った。




 準決勝は、明日だ。


 レオナルド・フォン・アルブレヒトとの戦いが、待っている。


 それは、ルーカスにとって、大きな試練になるだろう。


 しかし、逃げるつもりはなかった。


 人間として、正々堂々と戦う。


 それが、自分の目指す道だから。




「明日、頑張ります」


「はい。応援しています」


 二人は、お互いを見つめた。


 その目には、信頼と決意が宿っていた。




 実技祭は、まだ続く。


 そして、最大の試練が、近づいていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ