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エルヴォート家の厨房

-エルヴォート家-


目を覚ましたアーノルドは寝返りをうった。

ん~朝かぁ…いつもより早く起きちゃったな~…

部屋を見渡した

侍従のトーマスはいない、か…でも、喉乾いてしまったな…

ベッドの端に腰かけてぼんやりしながら水差しに手を伸ばしたとき、なにやら廊下が騒がしくなった。

パタパタパタ

「お、お嬢様、お待ちくださいませ」

バタバタバタ

「リリー、早く!」

あぁ、シトリーヌと侍女のリリーだな。まったく朝からなにしてるんだ…16にもなって、シリヌはお転婆だな…

まぁ、これまでのことを思えば、朝早くから廊下を駆けられるくらいになって家族はみんな安心だな…とアーノルドはコップの水を飲みながら笑みを浮かべた。


しかし、なにをそんなに急いでるんだ?


気になり出したら確かめないといられない性質(たち)だ。好奇心から、寝間着の上にカーディガンを1枚羽織っただけの姿で部屋を出た。春はまだ朝は肌寒いから。

1階まで降りると厨房の方がなにやら騒がしいのが分かった。途中、メイドとすれ違うと彼女たちは"キャ"と顔を赤らめて廊下を去っていった。よく見ればボタンが外れ胸元がみえてしまっていた。


フッ…寝起きの俺、色っぽいんだな…


そんなふうにお花畑の頭が厨房についた途端、一気に覚めた。

「シリヌ?な、なにやってるんだ?」

「あ、お兄様、おはよう」

「おはよう…じゃなくて、なに?」

「あ?これ?ランチだよ」

シリヌはホイップクリームを頬っぺにつけ、にっこり笑っている。妹ながら、か、可愛い…。リリーがクリームに気がついて、慌ててシリヌの顔を拭こうとした。

「そんなの料理長に頼むか、食堂でいいじゃないか」

「アーノルド様、申し訳ない。お止めしたんですが、自分で作らないと意味がないとおっしゃって」

料理長が申し訳なさそうに、こちらを見る。

「そうよ!お兄様、自分で作ってこそ愛が伝わるってもんよ?」

「は?なにを言ってるんだ?エドワード殿下が口にするとでも思っているのか?」

その言葉に厨房中のみんなが振り返った。


え?俺、なんか変なこと言った?俺のほうがまともだよね?


「お兄様?エドワード殿下にお渡しするものではありません。私と彼が食べるのです」

「彼??」

「そうです、彼です」

えっへんとでも言うようにシリヌは腰に手を当て言い切った。

「アーノルド様、エドワード殿下ではありません。アーノルド様もよくご存じの愛しの彼です」

リリーまで言い切った。厨房のみんなは忙しそうに手を動かしながらも一斉にうんうんと頷いている。

「え?は?」

「はい、そうと分かったら、お兄様。さっさと厨房から出て行ってくださいな。きっと今頃、抜け殻のベッドを見てトーマスの顔は真っ青です」


確かにそうだろうけど、いや、トーマスの顔が青かろうが赤かろうが白かろうが、今はそれどころじゃない!

シトリーヌ!!どうするんだ?王家との婚約だぞ?父さんは許したのか??


「お兄様、訂正しますが、婚約者ではありません。お父様はこう仰いました『()()()()婚約者候補にあがった()()()』と。選考はこれからです。『しっかり嫌われるつもりです』とお答えしました。」

「!!?」










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