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ジュリアとマリアとパトリシア

「新作が出たのさ!」

アーノルドは俺から離れると、ニコニコしながら横を歩き始めた。

「で、いつ?」

「え?ジルの都合のいい今日でいいよ。もう一週間も行ってないしね」

「いや、週1で通いつめるとこじゃないだろ?」

「そうかな?」

「そうだろ?」

「でも、僕の心が砂糖切れをおこしそうなんだよ」

「は?」

「大事な心の栄養さ」

「おまえ、……そのうちデブるぞ」

「ははっ。そんな僕の姿も可愛いって言ってくれるよ」

「いや、ジュリアはぜってぇ言わないよ」

「あぁ、ジュリアはね。じゃなくてマリアだよ」

そうこうしているうちに教師がやってきて、授業が始まった。

高等部2年になると、魔法属性の異なる誰かとペアになって魔法の掛け合わせ実験をする

ちなみに俺のシュクリーヌ家は風、アーノルドのエルヴォート家は水、おおよそ家系と属性は連なっている


アーノルド・エルヴォート、隣に座っているコイツは昔っからのクサレ縁で、学院に入ったときから一緒にいる

教師に叱られるときは、だいたい隣にコイツがいるな…だけど、要領がいいから、いつの間にか俺ばかりが叱られることになるんだよ…

理不尽…まぁ、もう慣れて腹もたたなくなったけど。

俺がサボると代返したり、ノート見せてくれたりしてくれるし(頼んだ覚えはないけどな)

そして、コイツは大のスィーツ好き、というか街にある『マリアのお庭』というカフェの店長マリアさんが好き、なんだろうな。通いつめてるけど、甘いものに手をだすのは、新作が出たときくらいで、後は店で一番高級な紅茶を飲みながら、マリアさんをニコニコ見ているだけだから。

俺はその付き添い。まぁ、美味しい紅茶は飲めるし、帰りには我が家にお土産をもたせてくれるから良しとしてる

でも、ジュリアにはばれないようにしないとな…

ジュリアはオルガンジー侯爵令嬢で、アーノルドの婚約者だ。2人は仲が悪いわけではない。家が決めた結婚にしては上手くいってる方だろう。だからこそ、ジュリアにアーノルドのあのデレデレした顔は見せられない。きっと、ジュリアは傷つくだろうから。

「パトリシアとは大違いだな」

つい言葉に出てしまった…

「ぇ?なんか言った?」

「いや…」

「パトリシア嬢がどうかした?」


俺は極力小声で言ったぞ?そこは聞き逃せよ?

そんな俺の心の声まで聞こえたのか、アーノルドは俺の後ろを指差した

「そうもいかない、ね?」


「げっ!」

「なんですの?婚約者を見て、その声は!」

後ろにいたのはパトリシア、とその取り巻きたち

「アーノルド様、ごきげんよう」

「あぁ、パトリシア嬢、ごきげんよう」

アーノルドはにこやかに挨拶を交わすと、俺の肩をポンポンとし「じゃ、校門で」と教室を出ていった。

残されたのは、パトリシア、とその取り巻きたちに囲まれた俺…

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