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あたためますか?

作者: 忍龍

わたしはコンビニ店員



高校入学と同時にこのコンビニでバイトを始め

大学も通える距離だったので、そのままこのコンビニでバイトを続け

勤続七年にしてこのコンビニの正社員になってしまって、今も勤めている



品出しをしたり、清掃をしたり

おでんとか肉まんとかから揚げとか季節ごとに保温器に入れたり

新人バイトの教育をしたり、そんな仕事



お客さんにも色んな人がいた

朝来店する社会人、お昼に来店するトラックの運転手

下校時刻に訪れる学生達、夜には帰宅途中の社会人

深夜にもトラックの運転手や水商売の人



工事作業員姿の人もいれば、結婚式帰りのドレス姿の人もいる

すっぴんの人も、ばっちりメイクの人も



たまに、俳優か女優か、なんて顔立ちの整った人も訪れたり



色んな人がコンビニを利用するの






ピ!ピ!ピ!



あ、お弁当



「あたためますか?」



お決まりのセリフでわたしがそう聞くと

明らかにオーダーメイドそうなスーツを着た、

全身整形なんじゃないの?!というくらいの整った顔が、

それはそれは嬉しそうにとろけるような笑顔で



「是非、お願いします」


「は、はぁ」



わたしの手をそっと両の手でとって、

すりすりと手の甲を撫で回すように触りつつ返事をした



あの…手を離してもらわないことには

温めるもへったくれもないんだけれど……



「貴女の愛で、わたしの心も身体もあたためてください」



て!……ててて、



「店長ォォォォオオオオオオオ!!!」



わたしの叫びに奥の休憩室から、何事かと店長が顔を出すには出してくれたけれども

わたしたちを見た途端



「そういうことは、二人だけの時にやってね」



そういうことってどういうことだヲイこらぁぁぁあああああ!!



「はい」



はいじゃねぇよ!!



「うーん、彼女の休憩までまだ後20分くらいあるんだけど、まぁいいよ

 今から休憩にして店空けても」



余計な気を利かすなぁぁぁあああああああ!!!



「ありがとうございます」


「うん、だからこれ買ってね」



ちょ、それ売れなくて返品の在庫!!



「彼女の人生込みですべて買い取らせていただきます」



をぃぃぃぃいいいいいイイイイイイッッ!!!





Q、こうして悪徳商法紛いに売り払われたわたしの未来や如何に?!


A、コンビニから15分の市役所で入籍

最近、コンビニ行ってないな…

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