明日は曇天
最近寒くなってきましたね、冬に差し掛かる頃の風に当たることが好きです。
予報外れの雨が降ってきた。
道路に雨粒が当たる音が聞こえたので、そう思った。
ガラス越しにある少しだけ濁った曇り空を見て、もうすぐ夜だなぁとか、お腹すいたなぁとか、できるだけ脳を働かせないようにぼんやりと考えていると小さかった雨音がザァーという音に変化していた。
急いで窓を開けると篭っていた音が先ほどよりも新鮮な音色で私の耳に届いた。
既に水溜まりはできてしまっているし、びしょ濡れになって走っている子供もいる。あの子は家に帰ろうとしているのか、この雨にあたるのを楽しんでいるのか。
たいへんだ、洗濯物が濡れてしまう。
ああ、朝は晴れていたからたくさん干していたんだ。
明日に着る服がなくなってしまう、窓を閉めるのも忘れたまま向かった。
回収したは良いものの、どうしたものか、全て濡れているんじゃ本当に明日に着るものがない。
しかし、アクリルの屋根から滴る水は見ていてどこか引き込まれるものがある、地面に落ちる音じゃなく、弾かれて響ききらない雨音が、私を部屋に帰そうとしない。
せっかくだから、上がるまで見ていることにした。
風も吹き始めて豪快な雨が横降りに変わった、小さく冷たい雨粒が私の頬に張りつき反射的に顔が動いた、私がこれまでの生活で、少々熱くなりすぎていたのがわかった。
そういえば、こんな風に椅子に座ってなにか作業するわけでもなく、ただ景色を眺めているだけだなんていつ振りだろう。
忙しく動く世間についていくことに必死でいつからか、そこらを這うカタツムリを見てノロノロとした動きに少しイラついてしまって、途方もない思考がグルグルと脳内で動き回る。
それを処理せず、誤魔化すように体を動かす、考える余地も与えないように。
考え事に負けてしまう私は精神的に弱いと思いたくないから、誤魔化す。
泣いてしまったあの日を忘れたくて。
それを思い出して、また今日も泣く。
啜り泣く声を、雨が打ち消してほしい。こんなに泣いてるんじゃ、誰かに聞かれた時に恥ずかしい。
弱くないと思い込みたくて、能力以上のことをこなしてきたつもりだけどそれでも泣き虫な私の本質が変わっているわけではなかった。
今こうして泣いている間にも雨は勢いを衰わすことなく降り続けている。
私を一人にしないでくれている気がして、暖かいような、肌寒いような、不思議な感覚がした。
少し休憩を挟もう、私が弱いのは否定しきれない、でも誰が強いということもないはず。
渡っていく世間は辛く、いつまでも流れ続ける。
ただ今思うことはみんな必死に追いつこうとして、いつの間にか抜かしてしまうんだろう。早く走りすぎて熱くなってしまう。
そんな時には熱が冷めるまで落ち着いてまた走ればいい、次は熱くなりすぎないように。
上がる気もしない雨だが、雲の先には青空が広がっているらしい。もちろん晴れている方が洗濯物が干せるし、外に出かけることもできる。
ただ今すぐ晴れろとは思わない、この雨を十分に楽しんでから、眩しすぎるほどの太陽を見せてほしい。
虹なんかもおまけでついてくると、さらに素晴らしい。
皆さんは天気だとどれが好きですか?僕は晴れも好きですが、やっぱり雨が好きですね。
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