ててててーてーてーてっててーの巻
ティーたちはギルドに帰還した。
受付:
「おかえりなさい。依頼は達成できましたか?」
ティー:
「――――あッ」
トーリ:
「うん。実はトラブルがあって――――」
Sランク冒険者かつ王族のトーリの証言、およびジルが提出した遺品により、依頼は失敗扱いではなく無効となった。影狼の討伐及び異変の原因究明・解決の報酬がギルドより支払われた。
ティーの冒険者ランクがCに昇格した。
ティー:
「お、おう……。私は何もしてないけどな……」
ジル:
「口止め料でしょうね。ギルドからしたら、脅威度Bのリスクを把握せずにDランク冒険者に依頼を回した失態――しかも、やんごとなき身分の相手に」
トーリ:
「ティー。昇格したからといって、一人で依頼を受けたらダメだからね?」
ティー:
「行かねーよ!自分の戦力は自分が分かってるっての……魔法も使えないのに……」
サキ:
「――え?ティー様、魔法、使えないんですか?――本当に?」
ティー:
「魔力なんてねえよ。うるせーよ!」
ジル、無表情。
サキ:
「実は使えたりしませんか?!」
ティー:
「お?――――我が真の力をみせるときが来たか……?」
ジル:
「…………。やめなさい、サキ。発作が……」
ティー:
「すぅぅ…………。魔力――展開」
ティーは念じた。何かおきろ、と。魂から希った。
丹田(正直どこかは知らないけどノリで)に気合を込めて、
ティー:
「暗く昏く影と陰の死の夜も 深く穿つ雨 永遠への岐路――」
心なしかティーの周囲に凄味が渦巻いている気がするような感じがしないでもない。
ティー:
「顕現しやがれェ!! 『大蛟』!!」
ティーは叫んだ。ギルドの中心でティーは叫んだ。
しかし何も起こらない。
サキ:
「――――やっぱり」
ティー:
「はぁああああぁぁ……はー」
サキは嬉しそうに微笑んだ。ティーはげんなりした。
ジルは眉をひそめた。トーリは周りの人たちに向けて、口元に人差し指をあてた。