冒険に行きますよの巻
とある休日。
ティー:
「というわけでクエストを受けるぞ」
トーリ:
「ティーはかわいいね。買ったばかりの玩具に目を輝かせている子どもみたい」
ジル:
「積もった雪を見て尻尾振ってはしゃぐ犬」
サキ:
「ティー様はぁいつもかわいいですよぉ」
ティー:
「しゃらぁッ!」
ティーはオーディエンスを振り返って吠えた。
ティーは礼法の講義で、トーリは普通に多忙なので、冒険に出られる日程を確保できずに今日まできていた。絶好の機会をモノにするべく意気込んでいる。
登録したてのティーは冒険者としてDランクである。朝から掲示板の前に集まって依頼争奪戦に混じってやるぜ!と意気込むティーであった。
ギルドの依頼掲示板前。
ティーは思っていたより活気がなく、肩透かしに感じながら依頼票をみている。
依頼掲示板:
『D推奨) 採取依頼、薬の材料:メメント森』
『D推奨) 猫捜査依頼:王都』
『C推奨) 採取依頼、魔獣素材:メメント森』
『C推奨) 再・害獣駆除依頼:メメント森』
・・・
・・
・
ティー:
「……。なんか、森の多いな」
トーリ:
「メメント森か。最寄りの低難易度エリアだね」
ジル:
「お嬢様はてっきりSランクの依頼持ってこいなど言い出すかと」
ティー:
「それは風情がないじゃん違うじゃん――推奨Dランクで森のやつやるか」
サキ:
「あたしはどこでもぉ」
そういう事になった。
・・・・・・
『
推奨ランクD) 採取依頼、薬の材料 対象地:エリア『メメント森』
求) ヨロズハマチ草×10束 ホシノナカ花×10輪 蜂蜜×3小瓶
出) 6100G 鮮度、数量、その他要因で追加有
依頼主:乾物屋 セジウィック
』
ティー:
「これ受けたいんですけど」
受付:
「かしこまりました。個人ですか?パーティですか?」
ティー、親指でトーリを指し示す。
ティー:
「二人。と、同行者が二人」
受付:
「かしこまりました。では入場許可証を発行いたします」
エリアは、国営で管理される資源地。というイメージだ。
資源の乱獲を防ぎ、実地の環境を保全するため――、
戦闘力のない一般人が迷い込むと危険なため――、
エリア周縁は物理壁あるいは魔術結界によって隔離されており、入場には許可証が要る。
受付:
「――そういえば。該当エリアに別件で向かったCランクパーティがまだ帰還しておりませんでして。……もし何か分かることがあれば、情報を持ち帰ってください。報酬は別途」
ティー:
「――ふーん」
依頼のランクは推奨と必須の二通り。
必須の依頼は基本的には指名依頼となるため、依頼募集板には推奨ランクが記載される。
Dランク以上とは要するに、冒険者なら誰でも。の簡単な依頼を指す。
パーティを組んでいる場合は、リーダーが推奨を満たしていればよく――今回でいえば、トーリのSが基準になる。
S行っても寄生にしかならんしな……と、ティーは思ったのでDから選んだ。
・・・・・・
ジル:
「お嬢様。到着しました。――お嬢様。さっさと降りてもらえますか」
ティー:
「――――はっ?!夢?!ループ入った?!」
ジル:
「寝ぼけてないで行きますよ。森です」
王都から現地まで馬車で移動した。ティーは寝ていた。
一行は、エリアを眼前に立つ。
―― 『メメント森』 ――
それは、大きな影絵のようだ。鬱蒼としたシルエットが風に揺れる。
陽の光の届かない、暗く湿った地面。風の通りも悪い、繁茂した草木と淀んだ空気。
ぽっかりと――そう、ぽっかりと開けた森への入口。両隣に警備の兵が立っている。
入場許可証を掲示する。「……どうぞ」無表情で暗い声が応える。
ティーたちは森へ足を踏み入れた。
食虫植物が誘っている。餌が自ら飛び込んでくるように。
(探索パートは)(文章力の問題で)ないです