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・ヤバい草もいるので


 何度でも言うが、ビオトープの基本は引き算である。

 とくに「草地ハビタット」では、これを強めに頭に置いておいた方がいい。

 つまり「狙った状態の草地ハビタット」にするには、困った連中を抜いて抜いて抜きまくるのが基本。どうせ放置しておけばいろいろと生えてくるのであるから、邪魔なものを選んで抜いていけばいいということだ。


 草地ハビタットを作り始めたら、最初のうちは、前項で書いたように外来植物、ヒメジョオン、ハルジョオン、セイタカアワダチソウ、オオアレチノギク、ヒメムカシヨモギなど、厄介者を抜いていき、出来るだけ在来種を残していくようにするといい。

 裸地が見えてくるとブタナなど、背の低い外来種が台頭してくる場合もあるが、こいつらも抜く。

 彼らに対抗できるススキやオギ、チガヤなどといった、わりと強力な在来種もいるが、こいつらはこいつらで増え始めると厄介。

 これまた前項で述べたように、草刈りの頻度で制御するしかない。


 だが、いったん入り込んだら、全くおとなしくしてくれず、荒療治でもしないとほぼ根絶不可能な連中もいる。

 とりあえず、ヤブガラシ、スギナ、ミント(ハッカ)、クズ、ササを『厄介植物五人衆』として挙げておこう。

 たとえばギシギシなども厄介だが、抜きまくればなんとか制御可能だ。根茎が固くて太く、根張りも強くかなりヤバいが、増殖力は大したことはない。素手で抜くのはほぼ不可能だが、でかいスコップでガッツリ掘り上げてしまえば、なんとか殲滅できる。

 そもそも在来種でもあるし、ベニシジミというチョウの食草でもあるから、ハビタットに一株や二株は、あってもいい植物でもある。

 だが、上記の『厄介植物五人衆』は、どれも地下茎が横に伸びて異常に増殖する。

 中でも、スギナの地下茎の深さは尋常ではない。三十センチから深い場合は一メートルにも達することがあり、引っこ抜こうとしても必ず残るため、殲滅しきれない。

 そんなものを掘り上げて物理的に殲滅するのは不可能に近い。では、化学兵器、すなわち除草剤でも使って滅ぼせるのかと言えば、それすら難しい。

 地表の植物体こそ枯れるが、地下深くの根茎や根までは薬剤が届きにくいためで、これらを殲滅するほどの薬剤を使えば、殲滅できた頃には、他の植物はとっくにすべて枯れてしまっていること請け合いだ。

 ヤブガラシの恐ろしさは、つる植物の項で述べたので割愛するが、同じつる植物のクズは、ヤブガラシよりも恐ろしい。

 クズは、根茎が固く大きく深い上に、地を這ってあちこちに根を下ろし、そこにまた固く太い根茎を作り出す。つる植物のくせに自分たちだけで絡み合って茂みを作り、他の植物を圧倒してしまう。

 紫の花は薫り高く、葉は草食動物にとって栄養価が高い。しかも近年、このクズの根元にカナブンの幼虫が住むことが発見されたということもあって、可能なら草むらビオトープに加えたい種ではあるのだが、数千坪の敷地ならともかく、小さなビオトープではクズしか育たないなんてことにもなりかねない。

 ササもなかなか強力な敵となる。

 庭に植えられている場合も多いし、自然下の林床でも、放置するとササが優占してしまうくらい、身近な在来種ではある。だが、林床を埋め尽くすような植物を、狭い庭に植えようものならえらいことになるのは自明だ。

 根茎はそう深くはないが、網目状に地面を覆いつくし、他の植物が生えられないほどにしてしまう。

 繁殖力も旺盛で、少しでもサボろうものならササのエリアは年々拡大し、草むらハビタットは、日を経ずしてササ群落ハビタットになってしまうわけだ。

 そして五人衆の中でも最悪といえる植物が「ミント」である。

 これに異論をはさむ経験者は、まずいないのではあるまいか。根茎はスギナほど深くはないのだが、非常に密に地面を覆い、手鎌程度では完全に取り除くのは不可能。しかも、周囲への浸食力が普通ではない。

 コンクリで囲んで、周囲に地下茎が絶対伸ばせないようにして庭に導入してみたときがあるのだが、地下茎が伸ばせないとなると、コンクリと敷石の狭い地上の隙間へと地下茎を伸ばし、あらぬ場所に姿を現す。

 植えてしまったことを後悔し、処分しようと上部を伐っても伐っても芽を出してきて、消えない。そのうち、ササ群落の中から芽を出し始め、ササとミントの連合軍となってしまった。そして、結局今も根絶出来てはいない。

 ミント以外でハーブが定着したという話はあまり聞かないのだが、ハーブというのはそもそも『薫り高いだけの草の総称』であるから、その性質はただの草と変わりない。

 ホームセンターや園芸店では、様々なハーブの苗が販売されているが、ミントのみならず、『ハーブ』として販売されている植物には用心した方がいい。

 鉢やプランターで管理するならまだしも、間違っても地植えしようなどとは思わないことである。


 この他、草むらハビタットに入れてはいけないヤバい草はいくつもあるが、細かく説明すると大変なので、某漫画の『最大トーナメント方式』で、ざっとご紹介しておこう。


 ではッ!! 全選手ッ入場ッ!!!!


 地上部をどんだけ毟っても生えてくる!!

 更なるエネルギーを蓄え、不死身のつる植物が甦った!!!

 ヒルガオ類だァ――――!!!


 このハビタットの全域は、すでに我々が占拠している!!

 イネ科の女王!! チガヤ(外来系統)だァ――――!!!


 全草トゲだらけは俺が嚆矢!! 綿毛ができ次第、飛ばしまくってやる!!

 危険植物代表!!!! アメリカオニアザミだァッ!!!


 日光の取り合いなら、我々の草丈と密度がものを言う!!

 悪夢の外来種、ブタクサ!!!


 真の生態戦略を知らしめたい!!

 地下茎の丈夫さはワイヤー並!!!!

 カッパにすらくっつく実のうっとうしさは文句なしのトップ!!!!

 アレチヌスビトハギだァ!!!


 乾燥地じゃ3階級制覇だが湿地なら全階級オレのもの!!

 休耕田の猛者 ノビエだ!!!


 在来系統とは臭いが違う!! 味が違う!! 繁殖力が違う!!

 キク科多年草 ヨモギ(外来系統)!!!!


 特定外来生物がヤバいのは当たり前!!

 以前は国交省が種を蒔いていた!!!

 オオキンケイギクがきた―――!!!


 全草本のベストパフォーマンスは私の中にある!!

 乾燥適応の神が来たッ セダム!!!


 日陰なら何者にも負けん!!

 在来植物の意地見せたる!! 薬効も臭いも超一級!! ドクダミだ!!!


 遺伝子汚染ならこいつが怖い!!

 台所から来たピュア・ファイター セイヨウカラシナだ!!!


 でかぁーーーい!! 説明不要!! 草丈最大4メートル超!!!!

 オオブタクサ!!!


 実さえ付けたらオレの勝ち 人や獣にくっつけて運ばせる!!!!

 種子の数もハンパねえ!!

 アメリカセンダングサ!!!!


 在来ユリなどすべて雑種にしてやる!!

 台湾から来た強姦魔!!!! タカサゴユリだ!!!


 水生植物じゃなかったのかッッ!!!!  水が無くてもその命は絶えず!!

 キショウブだ!!!


 巨大地下茎の威力、未だ衰えずッ!!

 イタドリだ!!!


 そして……

 荒地の覇者が帰ってきたッ

 繁殖力、戦闘力、生命力すべての部門でチャンピオンッッ!!!!

 できれば君には来てほしくなかったッッッ!!

 ワルナスビの登場だ――――――――ッ!!!!


 ざっとこんな感じである。

 どの種も、生えているなら駆除した方がいいものばかり。

 だが、駆除するといっても並大抵の覚悟では駆除しきれない植物たちばかりである。もちろん、決して植えてはいけない、ただ中には在来種もあるので、植える、残すという判断もあり得るかもしれない。しかしもしそうなったならば、相当な覚悟が必要である。

 そして、ここにあげていない植物にも、そういう猛者はまだまだ多数いる。

 重要なのは、植物を「草」とひとまとめにしないで、自分の敷地に生えているものくらいは全て名を特定し、性質を把握しておくことであろうと思う。

 どんな場所でも、植物相は年々変化していくもの。特に人為的に攪乱された庭のような場所は、去年生えた植物がまた生えるとは限らないし、来年は新たな植物が出てくるかもしれない。そして、それが上記のような厄介植物でないとは限らない。

 どんな厄介者も、侵入当初は小さくて脆い。つまり初動対応がモノをいうわけで、常に庭の植生を把握し続けていれば、恐れるに足りぬということだ。

 まあ、ここまで煽っておいてなんだが、彼らに悪気があるわけではない。外来種といっても、持ち込んだ人間が悪い。その罪を憎んで草を憎まず、粛々と抜いてほしい。

 そしてどうか、「草」を嫌わないでいただきたい。

 「雑草などという草はない」のだし。


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